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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第29話 「花火の下で」

夜。

祭りは最高潮を迎えていた。

人の波。

屋台の灯り。

笑い声。

そして——

間もなく始まる花火大会。

河川敷。

みんなで場所を取って座る。

結衣がジュースを抱えながら叫ぶ。

結衣

「青春すぎる!!」

龍也が笑う。

龍也

「今日ずっとそれ言ってるな」

「だって本当に青春なんだもん!」

瑠姫愛が夜空を見る。

瑠姫愛

「綺麗……」

浴衣姿。

夜風。

隣には龍也。

全部が少し夢みたいだった。

その時。

一発目の花火が上がる。

ドォン——。

夜空が一気に色づいた。

「おぉ……!」

全員が空を見る。

赤。

青。

金色。

大輪の花火。

一瞬で消える光。

でも。

だから綺麗だった。

結衣は完全に見入っていた。

「すご……」

隣で一将も空を見る。

天野一将

結衣がふと呟く。

「来年ってさ」

「ん」

「こういうの見る余裕あるのかな」

一将は少し考える。

「作ればいい」

「簡単に言う」

「簡単じゃない」

静かな声。

一将は続ける。

「でも、忙しくても」

「今日みたいな日は必要だろ」

結衣は少し目を丸くした。

「……なんか最近優しい」

「前から」

「気づかなかった!」

一将が少しだけ笑った。

少し離れた場所。

玲緒菜は花火を見上げていた。

篠田玲緒菜

その横には雷斗。

武田雷斗

人混みのせいで、 自然と距離が近い。

玲緒菜が小さく言う。

「なんか、不思議」

「何が」

「少し前までさ」

「京大目指すなんて思ってなかった」

雷斗は静かに聞いている。

「でも今は、行きたい」

玲緒菜は夜空を見る。

「怖いけど」

雷斗は短く答えた。

「怖くていい」

玲緒菜が見る。

「逃げなきゃ」

その言葉が、 胸へ真っ直ぐ入ってくる。

花火が上がる。

光が二人を照らす。

玲緒菜は少し笑った。

「……ありがとう」

雷斗は小さく首を傾げる。

「何が」

「いっぱい」

雷斗は何も言わない。

でも。

繋いだ手だけは、 少し強く握り返した。

一方。

瑠姫愛は花火に夢中だった。

「すごい……!」

龍也はその横顔を見ていた。

瑠姫愛が気づく。

「……なに?」

龍也が少し笑う。

「いや」

「花火より綺麗だなって」

瑠姫愛が完全停止。

「っ!!?」

「やば、今の恥ず」

龍也が自分で照れ始める。

瑠姫愛は顔を真っ赤にして俯いた。

「急にそういうこと言うのずるい……」

でも。

嬉しくてたまらない。

最後方。

兼次郎と茉優。

二人は静かに花火を見ていた。

兼次郎

茉優

茉優が小さく笑う。

「みんな楽しそう」

兼次郎は頷く。

「そうだな」

しばらく静かな時間。

そのあと。

茉優がぽつりと呟く。

「……受験終わったらさ」

「ん」

「またこうして来たい」

兼次郎は夜空を見たまま答える。

「来ればいい」

「簡単に言う」

「来たくないのか」

茉優は笑う。

「来たいよ」

その瞬間。

大きな花火が上がる。

夜空いっぱいの光。

歓声。

夏の音。

兼次郎は小さく言った。

「なら来よう」

茉優が見る。

「全員で」

その言葉が、 すごく嬉しかった。

花火は続く。

でも。

高校最後の夏は、 きっと一瞬で終わる。

だからこそ。

今この時間を、 全員が大切に感じていた。

夜空へ咲く花火みたいに。

儚くて。

でも、 忘れられない夏だった。

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