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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第26話 「夏期講習」

夏休み中盤。

学校。

冷房が効いているはずなのに、 空気は熱かった。

理由は簡単。

——夏期講習。

受験生最大級の地獄。

朝八時。

超難関進学コース。

すでに教室は半分埋まっていた。

参考書。

赤本。

眠そうな顔。

完全に受験空間。

結衣は机へ突っ伏していた。

結衣

「……夏休み返して」

瑠姫愛が苦笑する。

瑠姫愛

「まだ始まって一時間だよ?」

「もう心折れた!」

後ろで龍也が笑う。

龍也

「結衣、合宿で鍛えられたんじゃなかったのか」

「HPゼロです!」

その隣。

一将は普通に英単語帳を読んでいた。

天野一将

結衣が指差す。

「なんで平気なの!?」

「慣れ」

「怖い!」

教室前方。

兼次郎と茉優。

兼次郎

茉優

茉優がノートを見ながら小さく息を吐く。

「夏期講習ってこんな本格的なんだ」

兼次郎は頷く。

「ここから差がつく」

茉優が苦笑する。

「受験生って大変」

「今さら」

「冷たい」

でも。

兼次郎の言葉はいつも現実的だった。

一方。

普通科教室。

玲緒菜は問題集と戦っていた。

篠田玲緒菜

「……京大数学嫌い」

隣で雷斗が問題を解く。

武田雷斗

「逃げるな」

「逃げたい!」

玲緒菜は頭を抱える。

「なんで急に難易度爆上がりするの!?」

雷斗がノートを見る。

「基礎不足」

「その言い方毎回刺さる!」

でも。

雷斗はちゃんと横へ座る。

「ここから」

玲緒菜が少し止まる。

「……教えてくれるの?」

「聞いたのはお前」

「素直じゃない!」

でも。

その時間が、 玲緒菜は嫌いじゃなかった。

昼休み。

購買前。

受験生たちが死んだ顔でパンを買っている。

結衣もその一人。

「疲れたぁ……」

龍也が笑う。

「午前だけだぞ」

「もう人生三周分くらい勉強した」

そこへ玲緒菜たちも来る。

「そっちどう?」

結衣が聞く。

玲緒菜は即答。

「京大数学が敵」

雷斗が短く言う。

「敵じゃない」

「味方でもない!」

瑠姫愛が少し笑う。

「でもさ、みんな前より勉強してるよね」

その言葉に、 少し空気が変わる。

確かにそうだった。

以前なら。

夏休みなんて遊ぶことしか考えてなかった。

でも今は違う。

全員が、 未来のために机へ向かっている。

午後。

自習室。

静かな空間。

シャーペンの音だけが響く。

結衣が小さく呟く。

「……東大ってほんと遠い」

一将が隣で言う。

「遠くない」

「いや遠いよ!?」

「届く位置にある」

結衣は少し黙る。

その言葉は、 不思議と安心する。

一将は、 絶対“無理”と言わない。

夕方。

講習終了。

空はオレンジ色。

みんな疲れ切っていた。

結衣が階段へ座り込む。

「もう歩けない」

一将が普通に立っている。

「帰るぞ」

「鬼!」

玲緒菜もため息をつく。

「受験生って毎日これ?」

雷斗が頷く。

「そう」

「地獄じゃん……」

でも。

その顔は少し笑っていた。

帰り道。

みんな並んで歩く。

疲れている。

でも。

誰も立ち止まらない。

受験は苦しい。

終わりも見えない。

それでも。

“叶えたい未来”があるから。

今日も彼らは、 前へ進き続けていた。

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