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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第17話「夜の自習室」

三者面談から数日後。

学校全体かの空気が変わっていた。

廊下では進路の話。

教室では模試の話。

放課後になっても、誰もすぐ帰らない。

三年生全員が、少しずつ受験生の顔に

なっていた。


夜7時。

学校の自習室。

静かな空間に、シャーペンの音だけが響く。

結衣は、英語長文と睨めっこしていた。

「…長い」

隣で天野一将が普通にページをめくる。

「まだ半分」

「うそでしょ?」

「しっかり長文を読まないと理解できないよ!」

後ろで瑠姫愛が笑いを堪えている。

瑠姫愛「結衣ちゃん!毎回リアクション大きいよね!」

龍也も頷く。

龍也「でもさ、一将の基準がおかしいよな!」

「普通やな!」

「その普通が怖いんだって!」


少し離れた席。

兼次郎と茉優が並んで勉強してた。

茉優が小さく伸びをする。

「…うん。疲れた」

兼次郎はノートから目を離さない。

「少し休もうか!」

「兼次郎くんは休まないの?」

「まだ平気やで!」

茉優は苦笑いする。

「そいうとこ本当に受験向きやな!」

兼次郎は少しだけ止まる。

「お前もだろ?」

茉優が少し照れる。

「…そういうの急に言うのずるい!」


同じ頃。

別の机。

玲緒菜は参考書を睨んでいた。

玲緒菜「…意味分からない!」

隣で雷斗が問題を解いている。

雷斗「どこ?分からない?」

玲緒菜がノートを見せる。

「ここの数列が分からない!」

雷斗は数秒見る。

「ここの計算飛ばしてるぞ!」

玲緒菜が固まる。

「…本当だ。この計算のとこ、抜けてた!雷斗、ありがとう!」

雷斗は淡々と続ける。

「途中式書けば、大丈夫やで!」

「まるで雷斗、先生みたい!」

「玲緒奈菜は、効率が悪いだけで基本は出来てる!」

「もう、言い方悪いな!」


静かな自習室。

でも。

以前と違う。

今は誰もやらされてる顔をしていない。

未来にために、自分で座ってる。


休憩時間。

自販機前。

結衣がジュースを抱えてため息をつく。

結衣「東大って結構、やばいよね!」

一将が隣で水を開ける。

一将「いまさら言っても仕方がない!」

「今までは名前だけだったの!」

「今は?」

結衣は少し黙る。

「…リアルに現実」

一将は少しだけ目を細めた。


そこへ玲緒菜と雷斗も来る。

「休憩…」

玲緒菜が完全に疲れている。

結衣が笑う。

「そっちも今から休憩?」

「京大の数学、意味分かんない!」

雷斗が即答。

「数学は慣れるしかないからな!」

「その慣れが無理!」

結衣が吹き出す。

「本当にこの二人会話ずっとこれだよね!」


玲緒菜がふと結衣を見る。

「東大の問題はどう?」

結衣は缶を握る。

「そうだね!難しすぎて怖い!」

正直な言葉。

「でも行きたい!」

玲緒菜は少し笑う。

「分かるよ!その気持ち」

雷斗が静かに言う。

「怖くない目標なんて意味ないじゃん!」

結衣が目を丸くする。

「雷斗くん、今日ちょっとかっこいいこと言ったじゃん!」

「そこなん?」

みんな笑いだした。


夜10時。

自習室に戻る前。

窓の外には雨上がりの街。

オレンジ色の灯り。

受験まで、まだ時間はある。

でも。

確実に減っていく。


結衣は小さく呟く。

「みんな、来年ってどうなってるんだろな!」

一将は迷わず答える。

「おそらくみんな受かってバカ騒ぎしてると思うで!」

「自信すご」

「事実にするだけじゃん!」

結衣は少し笑った。


玲緒菜も窓を見る。

「来年の今頃は、京大生か…想像もつかないね!」

雷斗は短く言う。

「まだ受かってないし、受験まだやし!」

でも。

少し前まで、大学は遠い世界だった。

今は違う。

怖いくらい近い。

だからこそ。

全員が必死に手を伸ばしていた。

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