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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第16話 「三者面談」

六月。

雨。

校舎の窓を叩く雨音が、 いつもより静かに聞こえる。

今日は——進路三者面談。

三年生にとって、 “夢”を現実へ変える日。

そして。

“無理”を突きつけられる日でもあった。

朝。

超難関進学コース。

教室の空気は重い。

誰もが落ち着かない。

結衣は机に突っ伏していた。

「帰りたい……」

隣で天野一将が普通に問題を解いている。

「まだ始まってない」

「それが怖いの!」

後ろで瑠姫愛が笑う。

瑠姫愛

「結衣ちゃん朝から情緒ジェットコースター」

龍也も頷く。

龍也

「分かるけどなー。親いる状態で進路話すの緊張する」

茉優は静かにプリントを見ていた。

茉優

そこには。

“慶應義塾大学 教育学部”

隣には、 兼次郎の名前。

“慶應義塾大学 法学部”

茉優が小さく笑う。

「なんか、不思議」

兼次郎が見る。

「何が」

「本当に未来決めてる感じする」

兼次郎は短く答える。

「もう三年だからな」

その言葉が、 妙に現実的だった。

昼。

面談開始。

廊下には保護者たち。

静かな緊張感。

まるで受験会場みたいだった。

最初に呼ばれたのは、 結衣。

結衣

「うぅ……」

母と父が横にいる。

結衣の母

結衣の父

担任が資料を開く。

担任教師

「結衣さんは現在、学年でもかなり上位です」

父が驚く。

「そんなにですか」

「はい。特に最近の伸びが大きい」

結衣が恥ずかしそうに俯く。

担任は続ける。

「東大教育学部は非常に難関です」

空気が少し張る。

「ですが、現時点で十分挑戦圏内です」

結衣が顔を上げる。

「……ほんとですか」

担任は頷く。

「もちろん油断はできません」

「ただ、“無謀”ではない」

その言葉に、 母が少し安心したように笑う。

父が聞く。

「本人、最近かなり頑張ってまして」

担任が頷く。

「分かります」

そして少し笑う。

「天野くんの影響も大きそうですね」

結衣が真っ赤になる。

「えっ!?」

父がニヤッとする。

「なるほど?」

「違っ!」

母まで笑い始める。

「青春ねぇ」

「やめて!?」

教室の外。

一将が壁にもたれて待っていた。

天野一将

結衣が出てくる。

「……死ぬかと思った」

一将は短く聞く。

「どうだった」

結衣は少し笑う。

「東大、“無理じゃない”って」

一将は当然みたいに頷く。

「そうだろ」

「その反応なんなの!?」

でも。

その言葉が嬉しい。

次。

玲緒菜。

篠田玲緒菜

隣には母。

篠田玲緒菜の母

玲緒菜は緊張で姿勢が固い。

担任が資料を見る。

「京都大学志望、ですね」

玲緒菜は頷く。

「はい」

「正直に言います」

空気が止まる。

「簡単ではありません」

玲緒菜の指が少し震える。

でも。

担任は続けた。

「ただ、最近の伸び方は非常に良い」

「特に英語と現代文」

母が少し驚く。

「そんなに伸びてるんですか?」

「はい」

担任は笑う。

「かなり努力しています」

玲緒菜は少しだけ目を伏せる。

そんな風に言われるの、 少し嬉しかった。

母が静かに言う。

「この子、本気なんです」

担任は頷く。

「伝わっています」

そして玲緒菜を見る。

「ここからです」

「今の努力を止めなければ、十分可能性はある」

玲緒菜の胸が熱くなる。

“無理”じゃない。

その一言だけで、 救われる。

廊下。

面談後。

雷斗が待っていた。

武田雷斗

玲緒菜が近づく。

「どうだった」

玲緒菜は少し笑う。

「“無理ではない”だって」

雷斗は短く言う。

「なら行ける」

玲緒菜は吹き出す。

「ほんとブレないね」

その後。

雷斗の面談。

父が教室へ入った瞬間、 担任が少しだけ緊張した。

武田雷斗の父

見た目が怖い。

でも本人は普通に座る。

「よろしくお願いしまーす」

担任が少し安心する。

担任は資料を見る。

「武田くんは数学が突出しています」

父が笑う。

「俺に似なかったな」

「絶対違うと思います」

雷斗が即答する。

「おい」

少し空気が和らぐ。

担任は真面目な顔になる。

「京都大学、十分狙えます」

父が少し目を細める。

「マジですか」

「はい。ただし、ここからの集中力次第です」

雷斗は静かに頷いた。

帰り道。

雨が止んでいた。

結衣。

玲緒菜。

一将。

雷斗。

偶然校門前で合流する。

「お疲れー……」

結衣が完全に燃え尽きている。

玲緒菜も苦笑する。

「分かる」

一将は普通。

雷斗も普通。

結衣が指差す。

「なんで男子二人そんな平然としてるの!?」

雷斗が答える。

「終わったから」

「そういう話じゃない!」

一将も静かに言う。

「結果出たなら次やるだけ」

結衣と玲緒菜が同時にため息をつく。

「こういうとこ似てる……」

でも。

誰も少しだけ分かっていた。

今日。

“夢”が、 少しだけ現実になった。

遠かった大学名が、 今はちゃんと未来として見えている。

怖い。

でも。

逃げたくない。

四人は並んで歩く。

それぞれ違う道を目指しながら。

それでも今は、 まだ同じ空の下にいた。

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