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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第11話 「置いていかれる怖さ」

数日後。

超難関進学コースの空気は、 さらに変わっていた。

授業速度。

問題レベル。

配布プリント。

全部が異常に速い。

「はい、ここ試験範囲な」

担任が黒板に大量の数式を書く。

教室から小さなどよめき。

結衣は完全に固まっていた。

「……え、待って」

隣で天野一将がノートを取っている。

「ん」

「今どこ!?」

「最初」

「嘘でしょ!?」

後ろで龍也が笑いを堪えていた。

龍也

「結衣、お前今日ずっとパニックじゃん」

瑠姫愛も苦笑する。

瑠姫愛

「でも正直、今回かなり速いよね」

茉優も珍しく眉を寄せる。

茉優

「うん……普通に難しい」

休み時間。

結衣は机に突っ伏した。

「無理かもしれない」

一将が即答する。

「無理じゃない」

「その自信どこから!?」

「今まで残った」

結衣は止まる。

一将は淡々と続ける。

「ここにいる時点で、お前は下じゃない」

結衣は少し黙る。

その言葉は、 妙に真っ直ぐだった。

その頃。

普通科。

玲緒菜は窓の外を見ていた。

篠田玲緒菜

遠くの別棟。

そこに超難関進学コースがある。

以前は同じ教室にいた。

今は違う。

「……遠いなぁ」

隣で雷斗が問題集を閉じる。

武田雷斗

「距離は変わってない」

「気持ちの話!」

玲緒菜は少しむくれる。

「なんかさ、みんな先行ってる感じする」

雷斗は即答する。

「なら行けばいい」

「簡単に言うよね」

「簡単だから」

玲緒菜はため息をつく。

でも、その言葉が少しだけ悔しい。

放課後。

結衣は珍しく教室に残っていた。

ノートは開いている。

でも、手が止まっている。

「……追いつけるかな」

小さな声。

その時。

椅子を引く音。

一将だった。

天野一将

「帰らないのか」

「勉強してから帰る」

「そうか」

会話が終わく……と思った瞬間。

一将が隣に座る。

結衣が固まる。

「……え?」

「分からないとこ」

「え?」

「教える」

結衣は数秒止まる。

「……天野くんが!?」

「そんな驚くか」

「驚くよ!?」

その頃。

屋上。

玲緒菜は缶ジュースを持ちながら空を見ていた。

雷斗が後ろから来る。

武田雷斗

「何してる」

篠田玲緒菜

「考え事」

「珍しいな」

「失礼!」

玲緒菜は少し笑う。

でも、そのあと静かに言った。

「……置いていかれるの、怖い」

風が吹く。

雷斗は少し黙った。

そして。

「なら追え」

玲緒菜は顔を上げる。

「それだけ?」

「それしかない」

玲緒菜は苦笑する。

「ほんとシンプル」

雷斗は前を見たまま言う。

「止まる方が終わる」

その言葉は、 やっぱり少し怖い。

でも。

少しだけ前を向ける。

夕方。

教室。

一将は結衣のノートを見る。

「ここ違う」

「え!? あ、ほんとだ!」

「だから計算崩れてる」

結衣は頭を抱える。

「うわぁぁ……」

一将は静かにシャーペンを動かす。

「こう」

結衣は目を丸くする。

「……分かりやす」

「普通」

「普通じゃない!」

龍也が遠くから笑う。

「一将、教えるのうまっ」

瑠姫愛も驚く。

「結衣ちゃん限定で優しくない?」

「気のせい」

即答。

結衣は少しだけ笑った。

帰り道。

玲緒菜は歩きながら呟く。

「……みんな、変わってくね」

隣で雷斗が答える。

「変わらない方が終わる」

玲緒菜は少し笑う。

「またそれ」

でも。

その言葉が、 最近少しだけ好きになっていた。

そして。

誰も気づかないまま、 “未来との差”は静かに広がっていく。

でも同時に。

その差を埋めようとする気持ちも、 確かに強くなっていた。

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