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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第10話「同じ未来を見れるのか」

放課後。

超難関進学コースの教室には、まだ何人か残っていた。

窓の外は夕焼けだった。

赤く染まる校舎の中で、問題集をめくる音だけが響く。

でも今日は、いつもより少しだけ空気が違った。

理由は簡単。

進路を知ってしまったから。


結衣は机に突っ伏していた。

「…無理」

隣で天野一将が問題を解いたまま返す。

「何が」

「全部だよ」

「雑だね」

「だって東大って何!?」

一将は顔を上げる。

「大学やで!」

「知ってる!そういう意味じゃない!」

後ろで瑠姫愛が吹き出す。

瑠姫愛「結衣ちゃん!今日、ずっとそれ言ってるじゃん!」

龍也も笑う。

「東大って聞いて普通にビビるだろ?結衣ならさ!」


教室前方。

大将は静かにノートを書いている。

結衣はちらっと見る。

「大将君も普通に東大を受けるなんて怖い!」

大将はペンを止めずに言う。

「一将が行くなら行けるで!」

「その理論、どう考えたらそうなるの?」

瑠姫愛が笑いながら言う。

「このクラスってみんな難関大学を選ぶ基準がおかしいんだよね!」


その時。

教室の扉が開く。

篠田玲緒菜と武田雷斗だった。

結衣が顔を上げる。

「玲緒菜!!」

玲緒菜は少し笑う。

「みんな差し入れ持ってきたよ!」

「神!」

龍也が即座に反応する。

「好き!!」

「軽いな!」

教室の空気が少し柔らかくなる。


玲緒菜は教室を見渡した。

超難関進学コース。

以前と同じメンバーなのに、どこか遠く見える。

瑠姫愛が手を振る。

「玲緒菜!こっちやで!」

「お、お邪魔します!」

結衣が机を叩く。

「聞いてよ!玲緒菜!」

「え、なに結衣!」

「東大だって!」

玲緒菜が一将を見る。

「…ほんと?」

一将は即答。

「ほんと。結衣も東大行くんだぜ!」

雷斗が後ろで少しだけ笑った。


結衣は玲緒菜に詰め寄る。

「ねえ、どう思う?東大だよ!」

玲緒菜は困ったように笑う。

「いや、凄いと思うけどレベル高くないの?」

「誰でも頑張れば東大は入れるはずさ!」

「なんか、一将君に普通に言われても実感ない。」

教室中が笑う。

龍也が俯く。

「わかる気がする!」

瑠姫愛も笑った。

「一将にとって東大へ行く!はコンビニへ行くのと同じ

くらいのテーションだよね!」

一将「絶対東大を結衣と行く!」

結衣は顔を赤くして下を向いた。


その空気の中。

玲緒菜はふと雷斗を見る。

玲緒菜「雷斗はどうするの?」

雷斗は少し間を置く。

「まだ決めてない!」

結衣が驚く。

「決めてないんだ雷斗くん!意外やね!」

龍也も頷く。

「てっきり絶対に決めてるタイプだと思ってた!」

雷斗は窓の外を見る。

「決める必要ある時に決めるのが、俺の定義だ!」

玲緒菜が呆れる。

「その生き方ってズルいよね?」

雷斗は少しだけ横を見る。

「お前は行きたい大学は決まったんか?」

玲緒菜は止まる。

「…まだ決めてない」

その瞬間だけ空気が少し静かになる。


瑠姫愛が柔らかく言う。

「でもさ」

全員が見る。

「結局、どこ行くかより、誰と頑張るかじゃないの?」

茉優が小さく頷く。

茉優「うん!最近ちょっと思う時があるかも!」

兼次郎も珍しく口を開く。

兼次郎「環境も重要だな!」

結衣が笑う。

「珍しく優しいこと言うじゃん!」

「事実を言っただけ」

龍也がニャッとする。

「でもさ~」

瑠姫愛の肩に腕を回す。

「俺は大学も瑠姫愛と行くからな!」

瑠姫愛が顔を真っ赤になる。

「ちょ、こんなところでみんなの前で急に言わないでよ!」

「本音やで!」

教室が笑いに包まれる。


その空気を見ながら、結衣は小さく呟く。

「…なんかさ~」

一将が見る。

「ん」

「みんな未来の話してるのって不思議だね!」

一将は静かに答える。

「未来が近いし、みんな真剣に考えるんだよな!」

結衣は少し黙る。

その言葉がやけにリアルだった。


夕焼け。

教室はオレンジに染まる。

玲緒菜は窓の外を見ながら言った。

「…来年、みんなどうなってるんだろうね!」

誰もすぐには答えない。

でも。

雷斗が静かに言う。

「みんな変わってると思う」

玲緒菜が見る。

「何が?」

雷斗は短く答える。

「全部だよ」

その一言で、全員が少しだけ黙った。

未来はまだ遠い。

でも確実に近づいている。

大学・進路・別れ・恋愛・夢。

全部が少しずつ、現実になり始めていた。

そしてその中で。

誰と隣にいるのかだけは、まだ誰にも分らなかった。

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