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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第9話 「進路という名の序列」

超難関進学コースが始まって数日。

教室にはもう一つ、 新しい“現実”が追加されていた。

それは——進路希望調査。

紙が配られた瞬間、 空気が少しだけ変わる。

結衣は、ペンを止めたまま呟く。

「……進路とか、急に重くない?」

隣で天野一将が淡々と言う。

「普通」

「またそれ!」

でも一将は本気でそう思っている顔だった。

教室前方。

すでに提出した者の進路が、 担任の手元で整理されていた。

担任教師が静かに読み上げる。

「上位層の進路希望を共有する」

一瞬、教室がざわつく。

最初に名前が出たのは——

兼次郎

「慶應義塾大学 法学部」

次に茉優

「慶應義塾大学 教育学部」

教室が少しどよめく。

「え、ガチじゃん……」

続いて。

瑠姫愛

「早稲田大学 法学部」

龍也

「早稲田大学 法学部」

瑠姫愛が小さく笑う。

「おそろいだね」

龍也は苦笑する。

「たまたまな」

でもその空気は、 少しだけ柔らかい。

そして——

担任の声が変わる。

「次」

空気が一気に締まる。

「大将」

大将

「東京大学 経営学系」

教室がざわつく。

「東大!?」 「え、マジで?」

大将はいつも通り無表情だった。

最後。

担任は一度だけ間を置く。

「天野一将」

天野一将

教室が静まり返る。

「東京大学 経営学系」

一瞬、時間が止まる。

「……当然」

誰かが小さく呟く。

結衣は固まったまま彼を見る。

「え、ちょっと待って」

一将は淡々としている。

「予定通り」

「予定通りって何!?」

瑠姫愛が笑う。

「一将くん、それ一番怖いやつだよ」

その時。

結衣の胸に、 妙な感覚が走る。

――みんな、もう“上”を見ている。

慶應。 早稲田。 東大。

名前が、 未来の高さを決めていく。

放課後。

屋上。

結衣はフェンスにもたれていた。

結衣

「……ねえ一将」

天野一将

「ん」

「東大行くの?」

一将は空を見たまま答える。

「行く」

即答。

結衣は少し黙る。

「すごいね」

一将は少しだけ横を見る。

「お前も来るだろ」

結衣は目を見開く。

「え?」

一将は淡々と続ける。

「来る側の人間だろ」

結衣は笑う。

「なにそれ、プレッシャー」

一将は少しだけ口元を緩める。

「事実」

その頃。

玲緒菜は廊下で立ち止まっていた。

篠田玲緒菜

遠くで聞こえる名前たち。

別世界のように思える。

その隣で雷斗が言う。

武田雷斗

「同じ学校だろ」

玲緒菜は小さく笑う。

「でも、見えてる未来違いすぎる」

雷斗は即答する。

「合わせろ」

玲緒菜は少しだけ目を細める。

「ほんと、簡単に言うね」

雷斗は前を向く。

「簡単だからな」

その言葉が、 また少しだけ玲緒菜を前へ押す。

教室。

誰もが自分の進路を見つめている。

でも同時に、 隣の未来も見てしまう。

結衣は小さく呟く。

結衣

「……同じ場所にいたいな」

その願いは、 まだ現実には届かない。

でも確かに——

物語は、 “未来の競争”へと進み始めていた。

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