表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/438

第6話 「名前が消える瞬間」

朝。

三年A組の教室は、 昨日よりさらに静かだった。

誰もが分かっている。

今日、結果が出る。

結衣は、机の上の手を握りしめていた。

「……心臓うるさい」

隣で天野一将が淡々と返す。

「普通」

「普通じゃない!」

そのやり取りさえ、 少しだけ震えている。

教室の後ろ。

瑠姫愛は珍しく笑っていなかった。

「ねえ茉優」

茉優は小さく頷く。

「うん」

「これ、ほんとに誰か落ちるよね」

茉優は答えない。

答えられなかった。

廊下。

雷斗と玲緒菜。

武田雷斗

篠田玲緒菜

玲緒菜はプリントを見つめている。

「……怖い」

雷斗は歩きながら言う。

「結果は結果」

「冷たっ」

「現実」

玲緒菜は少しだけ唇を噛む。

でもその後、小さく言った。

「……でも、負けたくない」

雷斗は横目で見る。

「なら大丈夫」

短い言葉。

でも妙に重かった。

HR。

担任が教室に入る。

担任教師

手には一枚の紙。

教室の空気が一瞬で凍る。

「結果を発表する」

誰も息をしない。

「まず、A組残留」

名前が読み上げられていく。

1人ずつ。

静かに。

そして。

――読まれるたびに誰かが救われる。

結衣は目を閉じていた。

(お願い、残って)

一将は前を見ている。

動かない。

瑠姫愛は唇を噛む。

茉優は祈るように手を組む。

そして。

担任の声が止まる。

「以上で……A組残留はここまで」

一瞬の沈黙。

次の瞬間。

空気が変わる。

「今回、B組へ戻る者がいる」

教室がざわつく。

「名前を呼ぶ」

誰かが息を呑む。

そして――

名前が読み上げられる。

その瞬間。

空気が崩れた。

誰かが机を握る音。

誰かの小さな声。

そして。

名前を呼ばれた者は、 立ち上がるしかなかった。

結衣の視界が揺れる。

結衣

「……そんな」

隣で一将の表情がわずかに変わる。

天野一将

瑠姫愛が息を呑む。

茉優が目を見開く。

廊下の先。

雷斗は静かに聞いていた。

武田雷斗

「……想定内」

小さくそう言う。

でもその目は、わずかに細まっていた。

隣で玲緒菜が震える。

篠田玲緒菜

「……これ、ほんとに現実?」

雷斗は短く答える。

「これが学校だ」

教室の空気は、 もう元には戻らない。

誰が落ちたか。

誰が残ったか。

その差が、 人間関係そのものを変えていく。

結衣は小さく呟く。

「……次は、私かもしれない」

一将はその言葉を聞いて、 静かに言う。

「守れ」

たった一言。

でもそれは、 今までで一番重かった。

――そして、三年A組は知る。

順位は“数字”ではなく、

関係を壊す力を持っていると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ