389話 パチンコ玉
空を飛ぶ魔物や魔族に対しての防御や、攻撃方法が確立していないため、どの国も手をやいている状態のようでないどうやって戦えば良いのか研究をしているが、魔族が襲ってくるたびに作業が中断してしまうようだった。
「空に飛ばれてしまうと、どうにも出来ませんよね」
飯を食いながらアオイちゃんが言ってくる。
「魔法攻撃をすりゃ良いじゃん」
俺が回答すると、アオイちゃんは小さく溜め息を吐く。何故、溜め息を吐くのだろうか。
「相手に避けられるから、困っているんですよ。魔法攻撃をしても避けられたら意味がないですよ。それに、魔法障壁を張るので、届いても効かないんですよ」
「なら、パチンコ玉でも打つけてやりゃ良くないか?」
「パチンコ? なんですか?」
パチンコも知らないのか……。
俺は紙とシャーペンを召喚して、アオイちゃんに描いてあげると、アオイちゃんは不思議そうな顔をして、俺の描いた絵を観ており、何やら絵よりも、紙とシャーペンの方が気になるようだった。
「これなら武器になるでしょ。これを生産すれば、空にいる魔物だって攻撃ができる」
「まぁ、確かに……。でも、いきなり使うのは無理じゃないですか?」
「そりゃ、訓練するしか無いだろうが、そこまで俺に求められても困るでしょ。これは見本としてアオイちゃんにあげるから、誰かに渡してみたら?」
アオイちゃんは返事をして出掛けていくが、それを誰かに話ができるような相手がいるのだろうか。
取り敢えず、カモネールの様子が心配なので、王宮へ行ってみると、門前払いされてしまう。
門兵曰く魔族の襲撃が多いため、女王陛下は人と会っている余裕が無いらしい。城の兵士を動員しているため、警備も手薄になっているのも原因の一つのらしい。
勇者軍は何をしているのだろうか。
その様な事を考えながらギルドハウスに戻り、自分の部屋で格闘アニメのDVDを観ていると、主人公の男がテレポートしたのを観て、俺もこれがあればドアを使わなくても良いのではないだろうかと思い、テレポートの魔法と、無詠唱のスキルをセットして試してみると、一瞬でバキアの町にやって来ることができた。
これは成功と考えて良いだろう。後はどうやって戦闘に役立てるかが鍵になるだろう。
それにしても、バキアの町も随分と変わったように見える。キツネィさんは元気にしているだろうか。
俺はキツネィさんのギルドハウスに向かうと、日向ぼっこしているキツネィさんを発見して話しかけた。
「お久し振りです、キツネィさん」
「おぉ! タイチじゃないか!」
俺に驚いたキツネィさんが立ち上がる。
「随分とバキアの町も変わりましたね」
「魔族との争いで、随分と大変な思いをしているからなぁ。あいつ等は空を飛ぶから面倒臭い」
「そこで提案なんですが、こんな物を作ってみたらどうですかね?」
アオイちゃんにみせた紙を召喚して、キツネィさんにみせると、キツネィさんは食い入るように紙を見つめている。
「タイチ、これは貰っても構わんか?」
「もちろん。あげますよ」
「ほな、直ぐに取り掛かるわ。これでうちも売上が上がるかも知れん!」
そう言ってキツネィさんはギルドハウスに戻って行くので、俺は王都のギルドハウスに戻ると、王都は鐘が鳴り響いており、魔族が攻めてきたことを知らせていた。
これはテレポートを試すチャンスだと思い、俺は魔族の真上にテレポートをして、脳天に踵落としをして、地上に落下して、地面に叩きつけられた魔族は、何が起きたのか理解していないようだったので、目の前にテレポートをして、顔面に数発殴りつけたあと、銃を召喚してとどめを刺す。
騒ぎになる前に俺はギルドハウスにテレポートして、昼飯の準備を始めることにした。
俺がやったことは色々な人に見られていたので、かなり騒ぎになっており、皆が息を切らせながら戻ってきて俺に詰め寄るように喋りかけてくる。
「新しい魔法を覚えたから、それを試しただけだよ。そんなに騒ぐなよ……。恥ずかしいだろ」
「そういう問題じゃないですよ! 勇者様が現れたと、王都では騒ぎになっているんですよ!」
シオンが唾を飛ばしながら言う。
「勇者は女性だったろ。俺は男性だし、勇者じゃない。五月蝿い警報を止めただけじゃん」
「他のやり方を考えて下さいよ!」
俺は適当に返事をして話を終わらせ、昼飯の準備をして皆は納得がいかなそうな顔をして昼を食べるのであった。
アオイちゃんに渡した紙については、何処かのギルドに渡したらしく、取り敢えず作ってみるようになったらしいが、王宮も協力した方が良いのではないだろうか。
しかし、二日も経たずに襲撃が多いのであれば、さぞかしカモネールも困っているはずだろう。
少しだけ調査する必要があるのかも知れないと思いながら、皆が食べ終わった食器を洗うのであった……。




