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私の可愛い奴隷人形  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 信頼する人 ――プレリアシティ――
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第17話 ファンタジア奪回作戦

 【プレリアシティ】


 政府軍陣地でプレリア警備軍の指揮を執る青年。それは少し前まで本部要塞のヘリポートでローブの女性と戦っていたトワイラルだった。彼は彼女に追い詰められたが、本部要塞内より出て来た警備軍の兵士に助けられたのだ。ローブの女性は多勢に無勢と悟り、近くのスピーダーを奪って逃走した。


「……連合軍は敗走しました」


 近くの将校が声をかけてくる。空に見えるのは政府軍の大型飛空艇プローフィビ。連合軍の軍艦はなくなっていた。

 政府特殊軍のディンター将軍とスロイディア将軍の援軍により形勢は一気に逆転。連合軍は一気に劣勢となり、敗走していった。


「よし、深追いはするな。街に残った連合軍の残党と魔物を駆逐しろ」

「イエッサー!」


 元気よく返事をすると、その将校はその場から去って行く。彼と入れ違うようにしてミュートがやって来た。


「トワイラル、ヴァランは連合軍の機械兵器に殺害されたって……」

「そうか…… その機械兵器はどうした?」

「政府特殊軍の兵士達によって全部破壊されたよ」


 トワイラルの頭にあのローブの女性が思い浮かぶ。戦っている最中、彼は彼女の顔を見た。鉄の仮面に覆われた上半分の顔。でも、下半分と髪の毛は見る事が出来た。そして、戦闘中のあの動き、剣の使い方。彼はそれを以前も見た覚えがあった。


「どうしたの?」

「……今回、攻め込んできたのはクラスタの軍なんだよな?」

「うん、そうだケド……?」


 蒼い髪の毛。白い歯。キレイな唇。あの剣の使い方。動き方。それを思い出した時、1人の女性が浮かび上がる。……かつての仲間ピューリタン。彼女と一致する点があまりに多かった。

 だが、彼女は政府特殊軍の将軍。連合軍の将軍ではない。何より、トワイラルを殺そうとした。だから、同一人物であるハズがないのだが……


「ピューリタンのヤツ、どうなったんだろうな……」

「分からない。殺されたって情報はないケド、生きてるのはちょっと考えにくいかも。もし生きていたら政府軍に戻っているハズだし……」


 しばらく重い空気が立ち込める。ピューリタンは死んだのか生きているのかは2人はもちろん、政府軍の誰もが知りたかった。だが、すでにファンタジアシティの戦いから2ヶ月。生きているという望みは消えつつあった。


「トワイラル軍曹、スロイディア将軍がお呼びです」

「分かったすぐ行こう」


 トワイラルはその特殊軍兵士と共に歩きはじめる。その後ろからはミュートも付いて来る。煙の上がる街ではすでに戦闘は終わり、ケガ人の運搬が行われていた。



 【ファンタジア防衛師団本部 最高司令室】


 ファンタジアシティではプレリアシティから引き揚げて来た軍艦が着陸していた。その数は旗艦を含む4隻。合計で9隻あった軍艦は5隻が撃ち落され、4隻に減っていた。


「なぜもっと早く軍を撤退させなかった!」

「……申し訳ありません」


 クラスタの前にひざまずく蒼い髪の毛の女性。トワイラルと戦った女性だ。今、彼女はローブを脱いでいた。黒い色の戦闘服。青色のラインが入った彼女の服。肌に密着するタイプの戦闘服。それはクラスタの着ている服と似ていた。


「これで残りの軍艦14隻か…… こうなったら私の軍をこのファンタジアシティに集めるしかない」

「はい、直ちに。クラスタ将軍」


 淡々と言うと彼女は立ち上がり、クラスタに背を向けて歩き出す。残されたクラスタは舌打ちをするとまた近くの将校やバトル=コマンダーに指示を出し始めた。





 夜。ファンタジアシティの周辺に連合軍の軍艦が集まってきた。クラスタはファンタジアシティ防衛とプレリアシティ侵攻の為、自軍を集め始めたのだ。

 連合軍の将軍たちは1人につき50隻もの軍艦を有している。死んだデスピア将軍も50隻の軍艦を有していたが、彼だけは全ての軍艦をバトル=オーディンに預けていた。


「他の将軍の援軍は期待できないでしょうか? 例えばケイレイト将軍とか……」


 ファンタジア防衛師団本部のテラスから外を眺めていたクラスタ。彼女の側に控えていた将校の1人が聞いてくる。


「ケイレイトやメタルメカは大陸の西部で戦ってる。距離がありすぎる。近くにいるのはオーディンだけだが、期待は出来んな。勝手にプレリアシティで生物兵器開発やって政府軍が来たら逃げ出すくらいだからな」


 防衛師団本部のすぐ横を軍艦が通り過ぎてゆく。空には無数の軍艦が浮かんでいた。


「敵はどんな動きをしている?」

「はい、政府元老院はこれを期にファンタジアシティの奪回を決め、大軍を送り込みました。プレリアシティに続々と政府軍が集まっています」


 ファンタジアシティは魔法発生装置と呼ばれる魔法を操る為の武器を作る為に最も必要な“魔法クリスタル”が大量に取れる地域でもあった。

 魔法クリスタルは貴重なもので、武器はもちろん、飛空艇や軍用兵器、家庭用の電力供給にも重宝されていた。このままファンタジアシティが占領され続ければ、戦争敗北の要因になりかねなかった。


「現在確認出来る政府軍の将軍は4名。スロイディア将軍、ディンター将軍、ビザンティア将軍、ウェスベ将軍です」


 政府特殊軍の将軍は全員で10名。彼らは各地で連合軍の将軍たちと戦いを繰り広げていた。プレリアシティに集まってきた将軍は全員、コスーム大陸南東部で戦っていた将軍たちだ。


「クラスタ将軍、オーディン将軍より通信が入っています」

「なに? すぐ行こう」


 将校の言葉にクラスタはテラスから室内へと戻っていく。ファンタジアシティ上空では軍艦が増え続けていた。クラスタの率いる軍艦の艦隊であった。

 【連合軍 軍艦保有数】


・ティワード総督(男性):100隻

・クラスタ将軍(女性):50隻

・メタルメカ将軍(男性):50隻

・ケイレイト将軍(女性):50隻

・バトル=オーディン将軍:100隻

・アヴァナプタ(女性):50隻

・プロパネ将軍(男性):50隻

・デスピア将軍(男性・死亡):0隻

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