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私の可愛い奴隷人形  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 信頼する人 ――プレリアシティ――
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第12話 ウォプル量産機

 【プレリアシティ 西部市内 下水処理場】


 トワイラルとミュートがプレリアシティに来て一週間、2人はウォプル達を倒しながらようやく地下に行く手段を見つけた。

 それは下水処理施設から地下エリアに侵入するというものだった。マンホールや他の場所からも地下に行く事は出来るのだが、道が狭く、またウォプルの通り道である為、利用するのは不可能だった。


「……ここから行けるの?」

「ああ、傭兵によるとそうらしい」


 暗く、広い廊下にいるトワイラルらの目の前には大きな鉄扉が立ちはだかる。そこには立ち入り禁止を示すマークがあった。

 トワイラルは近くの操作パネルを使い、その大扉を開ける。扉はゆっくりと、左右に開いてゆく。中から湿った空気が出てくる。


「でも、ウォゴプルはどうするの? 例え、ウォプルの発生源を取り除いてもアレに勝つのは至難の技だよ……」


 ミュートが心配そうに尋ねる。ウォゴプルはビルに匹敵するほどの高さだ。その体は大きく強大な魔力をも有する。今まで、大勢の傭兵が挑み、敗北した。普通に立ち向かえば、返り討ちに合う。


「んー、ソイツの事は後で考えよう。まず発生源を取り除かないとどんどんデカくなる」

「……そうだね、まずは小っちゃいのから何とかした方がよさそうだね!」


 ミュートは黒色をした鉄製のクロスボウ(弓)を手に歩き出す。このクロスボウは軍用の武器で、自動で魔法アロー(矢)を作り出し、飛ばす事の出来る武器だった。

 一方、トワイラルはアサルトソードと呼ばれる普通の軍用剣を武器にしていた。剣の技はピューリタンから教えて貰ったものだった。





 【プレリアシティ 地下】


 同時刻、プレリアシティの地下では何体かのバトル=アルファが歩いていた。歩いている場所は鋼色の壁がある廊下だった。まるで研究所を連想させるようなエリアだった。


[はい、将軍]


 バトル=アルファらの集団に混ざって彼らと同じ金属の体をした機械がいた。身長は2.5メートル前後もある。

 ソイツはバトル=アルファらに何らかの命令を下した。命令を受けたバトル=アルファはアサルトライフルを携えて奥へと進んでいく。


 バトル=アルファらがいる場所から比較的近い場所では1つの広い部屋があった。そこにいるのは大勢の人間だった。黒い服を着た人間。服に連合軍のマークを持った人間……

 彼らこそがプレリアシティにウォプルを量産させている人間達だった。彼らはモニターを見ながらキーボードやパネルを操作していた。その人数は30人ほど……


「中尉、ウォプル17体放出」

「よし、ウォズプル2体とウォプル10体をエリア178Gに放出しろ」

「イエッサー」


 リーダーの男の命令を受けた操作員が椅子に座り、コンピューターを操作し始める。その時だった。部屋の唯一の扉が左右にスライドして開かれる。

 扉の近くにいた黒服の警備兵がアサルトライフルの銃口を向けるがすぐに下ろす。なぜなら入って来たのは味方である連合軍の軍用兵器バトル=アルファだったからだ。


「……バトル=アルファ? 何の用だ?」


 リーダーの男が20段ほどの段差の低い階段を上り、バトル=アルファに近づく。その瞬間、バトル=アルファは持っていたアサルトライフルの銃口を向け、発砲した。

 血が階段に散り、男の体は階段から転げ落ちる。最高司令室にいた操作員や警備兵は突然の事に唖然とする。


[“バトル=オーディン”将軍の命令でお前たちを抹殺する!]


 先頭のバトル=アルファの声と共に他のバトル=アルファもアサルトライフルの銃口を上げ、一斉に射撃を開始した。

 無数の銃弾が飛び、武器を持たない操作員たちは次々とその銃弾に倒れる。アサルトライフルを持っていた警備兵は慌てて反撃を開始するも多勢に無勢だった。

 結局、僅か数分で操作員や警備兵は全員射殺された。最高司令室に残ったのは破壊されたバトル=アルファと全滅した連合軍の操作員・警備兵だけであった。


[ハッハッハッ! よくやったぞッ!]


 長身の鋼色をした人間型機械兵器――バトル=オーディンがやって来る。最高司令室を眺め回し、生存者がいない事を確認すると、階段を降りてゆく。その後ろにバトル=アルファが続く。

 バトル=オーディンはメイン・コンピューターの操作パネルにうつ伏せになって死んだ操作員の首を掴むと、放り投げる。その死体は宙を舞って遠くの液晶画面に激突し、大きくヒビを入れる。


[これがウォプルの量産機か! クラスタの考え出した自動量産機!]


 バトル=オーディンは鋼の細く尖った指で操作パネルを使い、メイン・コンピューターを勝手に操作してゆく。

 しばらく操作すると、液晶画面に文字が表示される。そこには赤色の背景に白文字で「ウォプル製造停止」と書かれていた。


[これで俺のミッションは完了だ! 後はパトフォー閣下に報告するのみ!]


 バトル=オーディンは更にメイン・コンピューターを勝手に操作していく。その姿を見守るのはバトル=アルファのみ。クラスタの部下である操作員や警備兵は全員、死んでいる。

 大型の液晶画面に黒いフードを被った男が表示される。黒のサングラスをかけた男の姿が…… この男こそ、連合軍のリーダーであった。


[パトフォー閣下、ミッションは成功しました!]

[よくやった、バトル=オーディン。お主はこれより“生物兵器ウォゴプル”を軍艦に乗せ、プレリアシティから運び出せ]

[はい、閣下]


 バトル=オーディンは一礼してから通信を切る。そして、無線機を使い、他所と連絡を取る。

 ウォゴプルは連合軍の開発した生物兵器であった。1体のウォプルに手を加え、突然変異を起こさせ、あそこまで大きくしたのだった。

 ウォゴプルの核には遠隔操作チップが埋め込まれ、バトル=オーディンの指揮下にあった。プレリアシティで勝手に暴れ出さなかったのはそのチップがあったからだった。


[あー、将軍閣下]

[なんだ!]

[施設に侵入者を感知しました。トワイラルとミュートです]

[デスピアを殺したヤツらか! 俺が相手をしてやろうではないか! お前たちは別ルートより施設を脱出し、プレリアシティ内に隠してある部隊と共にウォゴプルを軍艦に乗せ、俺の旗艦へ向かえ!]

[イエッサー]


 そう言うとバトル=アルファらは方向を変えてその場を去ってゆく。

 バトル=オーディンはメイン・コンピューターを再び操作する。液晶画面に再び文字が表示される。「起爆装置作動 00:29:59」。起爆装置作動までのカウントダウンが始まった。

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