麻薬カルテルの討伐②
屋敷に入ったレインは千里眼を頼りに敵の掃討を開始する。
しかし…
(この感じ気取られたか……?かなり優秀な魔道師がいるな…)
屋内はエルザからは見えない。レインは出し惜しみすることなく血操術使うことにした。
両手を短剣で切り裂き、血を放出、変形させる。
血は植物の蔦のような形状に変形させ、それを複数作成した。
その蔦を1階、2階の敵に向かって放出した。血の蔦は敵に伸びる過程で分裂増殖させ、次々に仕留めていく。
そしてもう気付いているであろう3階の敵に対しても攻撃を仕掛ける。
その部室の1部に殺した構成員の血を集め、血溜まりを作る。
そこから槍に形状を変化させた武器を風魔法で次々と飛ばしていく。
その槍は敵を次々と始末していく。残っているのは3人だが、この3人がしぶとかった。
魔法師が3重の防御結界を張り、血の槍に耐え続けていた。
(このままではこちらの魔力が底を尽きて終わる…)
レインは外で幻覚魔法を使用している。この幻覚魔法は魔力の消費量が多く、それを外で使用したため、できる限りの温存したかった。
これは長期戦になると感じたレインは瀕死状態の構成員達の精神と脳を乗っ取る。
そして、3階の奥の部屋に向かわせた。
そこで攻撃を受けていた3人のうちの1人がこちらに向かってきた。
それは大剣を携えた偉丈夫。クローバーと呼ばれている男だ。
遠隔で狙うレインを仕留めるため階段を駆け下りてきた。
そこに剣を持ったオロチの構成員達が立っていた。
「お前らここに敵がいるはずだ!!どこにいる!?」
クローバーはそういい放つが、返事が返ってこない。
視界が定まっていないのか、フラフラとした足取りだ。
(様子がおかしい…。)
クローバーがそう思っていると、オロチの構成員たちが一斉に襲いかかってきた。
(なんだ?どうなってる?)
クローバーに対して一斉に剣を尽きたてる。
クローバーはそれをローリングで回避して、大剣で一斉に薙ぎはらう。
それに臆することなく、構成員たちは突撃してくる。
(なんだ?攻撃が単調すぎる。これなら人数が多くても…)
次々と構成員たちを斬り刻んでいく。
ふと首元に殺気を感じ、体を捩らせる。
(くっ…)
顔側面に大きな傷をつくり、攻撃した相手をみる。
「やりますね…」
そう言って、レインはクローバーを見据えている。
「お前か…。槍みたいなやつで攻撃してきたのは?」
レインは無表情のまま答える。
「その質問に意味はない。だって、僕じゃないと言っても信じないでしょう?」
「まあ、そうかもな!!!」
そう言って、クローバーはレインに突進してくる。
レインはバックステップでそれをよけ、操られた構成員達を前に出し攻撃させる。
「チッ!!クソが!!」
そう言って、クローバーは敵を薙ぎはらっていく。
(もう魔力が残り少ない。幻覚魔法は1度が限度だろう。でも…血と傀儡と化した人間はいっぱいいる…)
そんなことを考えているといきなりテレパシーの通信が入る。
『レイン君。今どう?マズいことになったわ!!キリがついたら撤収して!!』
(何かトラブルだろうか?だが、そんな詳細を聞いてる余裕はない)
「落ち着いたら連絡します」
そう言ってテレパシーで伝達した。
(決めに行く!!)
レインは構成員達が時間を稼いでいる間に血操術を使い、倒れている死体の血を回収していく。
そこで屋敷の3階の部屋が目に入る。
魔法師が膝をついて座り込んでおり、もう1人が窓の近くにいて、2人の距離が離れている上に消耗している。
(これなら…)
レインは標的を変更し、3階の死体の血を使い2人を攻撃した。
血で作成した棘は2人に命中した。
1人は心臓部を貫き即死した。だが、もう1人は防御結界との接触により、棘の命中位置がズレてしまったようだ。
レインは横をチラリと見るが、まだクローバーはまだ戦っていた。
クローバーを仕留めるのは少し時間がかかりそうだ。だが上の魔法師は今は虫の息。
回復魔法で回復し、戦線に復帰されたら面倒だ。
それにあの手の人間は後に残しておくほど厄介だ。
(先に魔法師の方を殺す。)
レインはクローバーの横を通り過ぎ、奥の3階の部屋まで勢いよく駆け上がる。
「おい!!待てや!!」
そう言って、襲いかかってくるオロチの構成員を振り切り、こちらを追いかけてきた。
(煩わしいオッサンだ。だが、あの魔法師が殺られたら自分が境地に追い込まれるとわかっているんだ。)
レインはクローバーより先に3階の1室に入る。
そこには自分の肩に回復魔法をかける青年の姿が見えた。
(させない!)
もうスピードで青年に迫り、短剣を振り落とす。
「ちっっ!!」
そう言って青年は回復魔法を中断し、防御結界を自分に張る。
魔法師といわれる人間は集団戦、遠距離線においては絶大な力を発揮するが、接近されると脆い。
レインは短剣の連撃で結界を破壊し、青年の腹部を蹴り上げる。
「ぐぁぁ!」
そう言って、倒れ込む青年に短剣を刺そうとするが…。
後ろから大剣が飛んできた。
レインはそれを避ける。
「大丈夫か!!スペード!!」
クローバーはスペードと向き合うようにして、レインの前に立ち塞がる。
「あ…ああ。」
青年は力なく答えて、顔を上げる。
そして、レインが操っていた。オロチの構成員達も到着する。
(そろそろ肉体が限界か…)
そう思い、肉体の制御を解除する。
するとオロチの構成員達は床に倒れ込んだ。
クローバーはレインを見据えて問いかける。
「お前は何者だ。何が目的だ。」
レインは無表情で答える。
「僕はレイン。目的はわかるでしょう?オロチの壊滅だよ」
フッ…そう呟いてクローバーは答える
「なら、もう用は済んだな。俺達はそこに転がっているフラークに雇われた護衛だ」
「…………」
(わからないな……。オロチは色々な犯罪組織を壊滅させる実力のある組織だ。そんな連中がわざわざ傭兵なんて雇うものなのか?)
これはレインの単純な疑問だった。
(ただ、向こもあまり戦いたくは無さそうな感じだ……。)
これはもしかしたら好都合かもしれない。
「俺達は金にならない戦いは避けたいんでな」
そう、両手を上げる。
「おふたりは何者ですか?」
レインはそう問いかけた。
「【エプトリカ傭兵団】のクローバー。そして、こっちがスペードだ。」
(エプトリカ傭兵団って……何か聞いたことある気がするけど……。まぁ、いい。)
(エルザさんに確認するか……。あ、さっき通信入ってたな……)
「少し待ってもらっていいですか?」
「あいよ。」
そうクローバーは返した。
「こちら決着がつきました。状況を教えてください」
そう言うと、
『レイン君。助けて』
そう言って、通信がきれた。
(まさか……。僕が通信に応答できなかったから、敵と応戦を……)
レインの顔は真っ青になる。
「おふたりはもう戦う意志がない。そう判断していいですね?」
「ああ。」
(もう時間がない……)
「なら、もう家に真っ直ぐ帰ってください」
「いいのか?」
クローバーがそう返す。
「いいも何も。こっちは時間がないんです。ではよろしくお願いします。」
そう早口で言って、レインは窓から勢いよく外に飛び出していった。
緊張の糸が切れたかのようにクローバーは座りこんだ。
「はぁ……。おい!大丈夫か…」
「問題ない」
そう言って、ヨロヨロとしながらスペードは立ち上がり、呟いた。
「今回は失敗だ……。」
「まぁ……。生きてるだけ儲けものだろう。」
そうクローバーが返答した。
その時、クローバーが魔力同士の激突を感知した。
「多分今日来るはずだった奴ら。レッドドラゴンと戦っている仲間の援護に行ったんだろう」
「せっかくだし、結界だけ見届けて帰るか……」
そう言って、クローバーが立ち上がった。
当作品を読んでいただきありがとうございます。
拙い文章ではございますが、楽しんでいただければ幸いです。




