聖騎士
聖教十二騎士。通称 : 聖騎士。
聖教会最強と呼ばれる十二人の騎士の総称だ。
聖教会は現在、国王よりも強い軍事力を有しており、その主戦力がこの騎士達だ。
レインがエルザから聞いた話では、この12人は信仰心の厚い平民や貴族たちの中から選抜された騎士達で各自、自分の騎士団を所有している。
選抜方法は3種類。
・聖教への出資額の多い複数の貴族からの推薦
・聖教従騎士の中から実力による選考
・聖教最高幹部からの推薦
この3つのどれかが満たされており、12人の中に空席があれば聖騎士に認定される。
この聖教十二騎士には序列というものが存在する。戦功や力量によって格付けされるそうだ。
エルザ曰く、貴族からの推薦で選ばれた騎士達はそこまで脅威にはならないそうだ。それに他の騎士達よりも実力で劣るため、序列も下位になりやすい傾向にある。
これは自分達の息のかかった人間を送り込みたいという貴族側の都合が存在するため、実力で推薦されているわけではないからだ。
それ以外は王国内でも指折りの騎士達が選抜されるようだが、序列4位以上の【四騎士】。
この4人は他の聖騎士とは比較にならない程の化け物。これがこの【四騎士】に対するエルザの評価だ。
現在では王国最強と言われる騎士。【聖教十二騎士序列1位ランスロット】もこの【四騎士】のうちの1人だ。
故に聖騎士の暗殺と言っても、誰を暗殺するのかによって難易度が変わってくる。
レイン達はローザの部下に案内され、別室にて依頼内容の説明を行うこととなった。
「【聖騎士序列7位イノケンティス】。そして【序列10位ドロアス】の暗殺だ。」
ローザがレインに対して、そう言った。
「あれ?1人じゃなかった?」
ジョーカーの依頼書と相違があったため、レインはそう尋ねた。
「ジョーカーの依頼書でも見たのかい?なら、あの時とは変更点があるからね……」
「2日後、イノケンティス邸で行われる晩餐会でこの2人が揃う。その日に始末を頼む。」
「晩餐会には2人の部下達もいるが、そこは生かしてもらっても殺してもらっても好きにするがいいさ…。ただし、使用人と奴隷は絶対に生かして連れて帰ってきな」
「絶対に…か…。難しいね……」
(聖騎士相手にしながら、そこまでの余裕あるかな?それに部下の人数も結構いるんじゃないか?)
「おや?私は難しいと思わないさね。」
ローザは扇子で口を隠し、レインを見つめてそう言った。
「全く…随分な過大評価だね…」
「ジョーカーからお前の事は聞いてるよ。何でも自分の血液を武器にする技を使うそうじゃないか。」
「名前は血操術だったかね?王国最強の暗殺一族クロード家の人間しか使用できないものだったかね?」
「………誰から聞いたの?」
レインはローザを見ながら、そう言った。
「昔聞いたことがあるだけさね。裏の住人でクロードを知らない人間なんていないよ」
ローザは続けてレインに言った。
「それに私はお前が誰であろうと興味はない。私は興味があるのはこの依頼を真面目にやるかどうかさ。クロードの坊や」
少し悩んだがレインにはわからないことが多々あったので、エルザを見た。
「別に良いんじゃない?」
そう言ったのはエルザだった。
「この2人。イノケンティスは結構強いけど、ドロアスは聖騎士の中でも雑魚の分類よ」
(随分と容赦がない評価だ。可哀想にドロアス。)
(エルザがそう言うなら、問題ないか…。ま…報酬もかなり高いしね…)
◆
レインがローザと話している部屋の外でジョーカー、スペード、クローバーが待機していた。
ジョーカーは耳を扉に当てて、中の声を聞こうとしてる。
それを見て、クローバーが小さな声でスペードに耳打ちした。
「おい!昨日からボスおかしくないか?」
スペードは深く溜め息をついてそれに答えた。
「オリビアにいたときはいつもあんな感じだったよ?」
「え?」
「ちょっと…。言ってくるよ…。」
スペードはジョーカーに近づいていく。
「ボス…。そのドMかつストーカー気質なところどうにかならないんですか?」
スペードは目を細めて、ジョーカーにそう言った。
「おい…スレイン。寛容な私でも怒るときはあるんだぞ。」
スレインはスペードの本名である。
「言われたくないなら、扉に引っ付くのやめてもらえませんか?」
「これでも自重しているよ。」
やれやれと言いたげにジョーカーはそう言った。
「自重できてないから言っているんです。クローディアさんみたいに嫌われたくないでしょ?」
クローディアとはジョーカーが追いかけ回していたS級ハンターの名前だ。
「大丈夫だ…心配ない。私だって学習しているんだ。」
「レインはクローディアさんのように暴力を振るうタイプではないですが…」
「それは残念だね…」
ジョーカーはスペードの話を遮ってそう言った。
スペードは呆れながら、説得を試みる。
「それを残念だと思うのはボスくらいです。それに若い男性だから勘違いして襲われるかもしれませんよ?」
「それは好都合だね。」
「それを好都合と言うのもボスくらいかもしれません。いい大人の淑女が若い男を誑かさないでください。」
「淑女とは誰の事だい?」
「ボス……は違いますね。」
スペードは淑女としての振る舞いをジョーカーに諭そうしたが、無理だった。
すると扉ががチャリと開いた。
レインが部屋から出てきたのだ。
「レイン。終わったの~」
ジョーカーがそう言って、レインに笑い掛ける。
「ああ」
レインは短くそう言った。
「そっか!!じゃあ、飲みにいこうよ!!」
レインの腕に手を回しそう言った。
(な……なんか距離近くないか?この人。まぁ…美人だし、なんかエロいからいいけど…)
レインはそう考え、ジョーカーの行為を諌めようとしなかった。
「明日からここを出なければいけないから…。やめておくよ。」
「え~。じゃあ、ご飯だけでいいからさ~」
ジョーカーの言葉をきいて,レインはクローバーを見る。
「そのおじさんと飲んで早く帰れたためしがないからね…」
「じゃあ…コイツは連れていかないよ。それでいい?」
「ちょっとボス!!そんな殺生な…」
クローバーは悲痛な声をあげる。
「いや?やめておくよ。オッサンが可哀想だからね」
そう言って、レインは立ち去ろうとする。
「ここから出るって言ったよね?どこに行くの?」
ジョーカーは紅潮させた顔でそう言った。
「王都」
当作品を読んでいただきありがとうございます。
拙い文章ではございますが、楽しんでいただければ幸いです。




