スラム街の少年
路地裏にひっそり佇む堅牢かつ重厚感のあるその建物で男は自身が経営するバーの開店準備を粛々と行っていた。
焦げ茶色の髪に顎に不精髭を生やしたこの男が経営するこのバーは王国でも随一と呼ばれる巨大なスラム街に存在する。
国の闇を濃縮したようなこの場所では凶悪犯罪者やマフィアが多数潜伏している。また殺人、強盗、薬物の売買などの犯罪が日常的に行われている場所でもあり、無法都市とよばれている。
「すみません…」
突然抑揚のない声が部屋に響く。音なく開閉したその扉に立っていたのは中性的な顔立ちをした黒い髪に赤色の眼をした少年だった。見ない顔だ。
子供がこの街にいることは珍しくない。
子供を捨てる親はこのスラム街を捨て場所として選ぶ。証拠が残らないからだ。
捨てる理由は色々あるが、捨てられた子供は録な目に会わないだろう。
暴力で支配されているこの街は大人ですら身の安全が保証されない。子供が生き残るのはかなり難しい。
「何の用だ?お前にくれてやるものなんか何もねぇぞ?」
少年は首を横に振り、変わらず抑揚のない声で返答する。
「ここにくれば殺しの仕事をもらえるって聞いてね…」
訝しげに少年を見ると、ほんの少しの思案のあと男は答えた。
「誰から聞いたんだ?」
「この街に詳しいおじさんから聞いたんだ。」
「坊主。それは嘘だ。ここはただの飲み屋だぞ?」
確かにここで仕事を募集は行っている。ただ目の前の小さな少年にこなせるような仕事ではない。案件を片づけたいのは正直なところだが、幼い子供の命を無惨に散らすほど俺は腐ってはいない。
「おっさん。嘘は良くないよ。裏は取れてるんだよ」
感情は読めないが、随分と挑発的なもの言いだ。男はそう思った。
「坊主。これは親切心で言ってやってるんだ。わかるだろ?」
男は警告だと言わんばかりに鋭い眼光で睨み付ける。
「いや、ちょっとよくわからないや」
男の眼光に怯むことなく少年は答えた。
部屋中を静寂が支配し、お互いの視線が交錯する。
次の瞬間、男の足が地面を蹴り上げ少年の腹部に拳を叩き込んだ。
少年の身体はくの字に折れ曲がり、ドアに向かって吹き飛んだ。
衝撃でドアが開放し、外に投げ出された少年に近づこうとしたとき、背中に鋭利なものが触れるのを感じた。
「!!!」
半身で後方を向くと少年が男の背中に剣先を突き立てていた。
(バカな!こいつは拳で吹き飛んだはず。それに…感触もあった)
再び前方を向くと外に投げ出された少年の身体は霧が晴れるかのように掻き消えた。
「これは……。幻覚魔法か」
幻覚魔法はその扱いが難しく王国はおろか大陸でもその使い手がほとんど確認されていない魔法だ。
「お仕事の話。してもらえますか?」
そう言うと男の背中を少しだけ剣先で押した。
「わ、わかったから…。剣を下ろしてくれ」
それを聞いた少年は静かに剣をおろす。
男は心の中で胸を撫で下ろした。
戦闘にはかなりの自信が男にはあった。これまで襲われることもしばしばあったが、どんな人間でも全て薙ぎ倒してきた。しかし、そんな自分が陰気そうなこの少年にあっさりと敗北した。
「少し痛い目あわせて、帰らせるつもりだったが…」
乱れた気持ちを整えながら、少年に向き直った。
「坊主。名前は?」
「レイン」
◆
カウンターの前に立った男がレインに問いかける。
「俺は仲介屋兼このトレントのオーナーをしてるザックだ。よろしく」
トレントというのはこのバーの名前らしい。
「ここで受ける仕事はかなり危険な仕事が多い。なんせターゲットが高位の貴族や危険な盗賊団だったりするからな。」
「でもその分報酬はいいんでしょ?」
「比較的…な。だが危険度と釣り合うかどうかはわからないけどな…」
スラム街でも殺人や人さらいなどの依頼を出している仲介人は存在する。
しかし高位の貴族をターゲットにし、それに見合う高額な成功報酬を用意して依頼として成立させるのはこのザックだけだ。
「始めは簡単なテストだ。本当に依頼成功させられる人間なのかどうかのな」
「戦闘能力があるのはわかったが、その他にも情報収集を行う依頼も存在する」
「それに何より俺が出す依頼は失敗が絶対に許されないものも多い」
レインは緊張感がはりつめるのを感じた。
だが、レインはこういった緊張感に馴れている。
レインが頷くのを確認すると依頼の詳細を話す。
「最近、俺のことを嗅ぎ回っているやつらがいる。多分3人。そいつらを捕らえてきてほしい。報酬は1人につき、銀貨20枚。」
「情報は?」
「情報がないから捕らえてほしいってところだな」
「なるほど……。おっさん、水もらえる」
「マスターな」
そう言ってコップに水を注ぎ、レインに差し出す。
「ほらよ」
レインは少しだけ辺りを見渡す素振りをして答える。
「まあ、いいよ。銀貨20枚で。そこまで手練れじゃなさそうだから…」
レインは、コップの水を渦上にして、浮遊させる。
「ん?どうした?」
その言葉を無視して水の水量を上げていく。
すると3匹の蛇の形に変形させ、それらは店の窓を口で空け、獲物を追うが如く勢いで飛び出した。
ザックが言葉を発しようとする前にレインが答えた。
「マスター。探知は苦手?」
「…どういうことだ?」
すると外から悲鳴が重なり合いながら聞こえてきた。
「ターゲットらしき人を捕らえたみたいだね。ここ、張られていたよ」
「お、おお…。」
本来ターゲットだと断定できない状況で手を出して人違いだった場合、無法都市以外では罪に問われる。
こういった強引な手法でも通るのがこの都市のいいところでもあるとレインは思っていた。
蛇の形をした水は3人の男を拘束し、ズルズルとひきづってくる。
悶え苦しむ男達を見て、レインはザックを指差して問いかける。
「ここしばらく、この人のことを嗅ぎ回っていたのは皆さんですか?」
「な、何のことだ?知らねぇよ…。」
「でもこっちをみていたでしょう?
男達は小馬鹿にしたように言う。
「坊主の思い込みじゃあねぇのか?」
レインはため息を吐きながら問いかける。
「もう…。嘘はやめてください」
「嘘じゃねぇよ!!おい!これを早くほどけ…」
レインは仕方ないなぁ…と呟いて、男達に赤い球状の何かを口にねじ込む。
「んん!!んん!!」
「はいはい。暴れないでください」
男たちの抵抗は虚しく、赤い球状の何かを口に飲まされた。
すると男たちの眼は虚ろになり、大人しくなった。
「もう一度聞きます。この人のことを嗅ぎ回っていたのは皆さんですか?」
そう言って、レインは再度問いかけた。
「ああ」
蛇に締め付けられている男は力なく答えた。
「他のお二人方もそうですか?」
レインが問いかけると男達は頷いた。
「理由を聞いてもいいですか?」
「雇い主に言われたんだよ。トレントと言う店とザックという男のことを調べろってな」
それを聞くとレインは振り返る。
「依頼、完了…でいいですか?」
ザックは男達に近付いてじっと観察した。
「これは精神干渉魔法か?」
「はい。その通りです。」
精神干渉魔法は魔力により相手の精神に干渉し、特定の行動に誘導したり、感情を操作することができる魔法だ。
しかし、これは精神の操作や誘導どころではない。洗脳だ。
「でもこれは…」
「普通の精神干渉魔法ならここまで効果はでないですね。なので、アレンジを加えてるんですよ。」
「アレンジ?」
「あの赤い玉を体内にいれなければ、ここまでの効果は出ません。あれに関しては企業秘密です。」
「てことで、報酬ください。」
レインはこれ以上聞かれないように間髪いれずに要求した。
「ほら!これでいいか?」
確かに…と言ってレインは店から退出した。
扉を手にかけると、ザックが声をかける。
「次は報酬がもっと高いものを用意してやる」
「殺しの仕事だ……できるか?」
「問題ない」
間髪いれずにレインは答えて、扉を閉める。
◆
レインが店を出た数秒後、妙齢の女性が店に入った。整った顔だちで、茶色の髪は肩までのびているをしている。
「おう!来たかエルザ」
ザックの言葉に手をヒラヒラさせながら微笑む。
「お疲れ様~。ん?何こいつら?」
そして目の前に座り込んだ男がいたため、当然のように質問した。
「ああ…ここ数日俺のことを嗅ぎ回っていやがったからな~」
ザックは笑いながら答えた。
「だから、優しく聞き出してやろうかと思ってな」
ニヤリと笑いながら、ザックは言った。
「いや、優しくって…。」
エルザは呆れながら呟いた。
「いや、この状態にしたのは俺じゃねぇよ…。今出ていっただろ?黒髪のガキだ」
「これ精神干渉魔法っやつ?すごいわね~」
感心したようにエルザは頷いた。
「通常のものよりアレンジをくわえてるんだとよ…。だから普通はこんなにかかったりしないそうだ」
「まぁ、俺も初めて見たからわからんけどな…」
うんうんとエルザが頷く。
「これからも依頼受けてくれる感じなの?」
「ああ、そのつもりだそうだ。しかも殺しの方の…な。」
「良かったじゃない。これなら溜まってた依頼も少しずつ消化できていくんじゃない?」
「私1人だときついし、出来ないものもあったから…」
エルザはダルそうに肩を回しながら言った。
「でも、アイツ何者なんだ?凄腕どころかバケモンだったぞ…」
「そんなに?」
エルザは驚愕した。このザックとは長い付き合いになるが彼が人に対してここまでの評価をするのは始めてだ。
「もしかしたら、暗殺で成り上がった貴族の出身かもね。」
「ああ言ったところは幼い頃からそう言った教育をするらしいから」
「エルザと同じでか?」
「ええ…。そうね…」
確かにそう判断はできるだろう。ただ…
「そんなお貴族様の子供がこんなところにいるものなのか?」
「少なくとも孤児は多いんじゃないかしら?貴族様に求められる仕事ってここ同等かそれ以上のものになるから」
「一家全員が最終的に亡くなるのは珍しい話じゃない…。特に帝国との戦時中では多くの死者が出ていて、御家が解体された数も一つや二つってレベルの話じゃなかった」
少しだけ哀しげな表情でエルザは言った。
エルザの家もその帝国での戦時中に両親、兄弟が帰らぬ人となってしまった。
「それに半年前は王国一の名門と言われるクロード子爵家も全滅しているから…。それほど現実離れした話でもないわ…」
「全く裏稼業というものはつらいね…って、忘れてた」
話に夢中で目の前にいる3人の男のことをすっかり忘れてたことに気づいた。
「さて、お前らの知ってること全部話してもらおうか…」
◆
(あー。疲れた……)
ひとまず、苦境を乗り越えれたことに安堵する。
ここ無法都市では子供であるだけで舐められることが多い。なので第一印象にはこだわった。
ここは無法都市らしくハードボイルドでダンディーな男になりきることを意識して交渉に望んだ。
レインは自分は感情が顔に出やすいことを自覚している。
だからできる限り表情筋を硬直させていた。
これは仕事で戦闘になった際も同じことをしている。表情を読まれると不利な状態に追い込まれることも多いからだ。
そして、レインが家を出て半年になるが、わかったことがある。
レインは幼いころから家族以外の人とほとんど話したことがなかった。故に始めましての人と会話するときどうにも緊張してしまう。要するに人見知りなのだ。
ただ、これもこの半年間の放浪で改善しつつある。
この放浪生活は自分に欠けているものを見直すきっかけとなった。
それとレインは放浪している際、何もしていなかったわけではなく、武術や魔術の修行はしっかりと行っていた。
レインの正体が知られれば、父親を殺せるようなやつをレインに対して送り込んでくる可能性は高い。
その修行を経て、レインが新しく開発したのがトレントで使用した赤い玉だ。
家で襲撃を受けた際は情報を吐かせるのに手間取ってしまったからだ。
クロード子爵家には血操術という秘術が存在する。
己や相手の血を伸縮、硬化させて攻撃する技である。クロードの姓を持って生まれたとしても上澄みのごく一部の人間しか使用できないと言われている。
血は魔力の抱負に含んでおり、血を通じて魔法を遠隔で発動することもできる。熟練した達人であればこの血に猛毒を付与し、殺すこともできる。
あれはレインの血を固めたものだ。対象の体内に侵入して脳細胞に直接干渉し、対象の精神や行動を操るものだ。通常の精神干渉よりも遥かに強い効力を発揮する。
これにより、トレントの情報を聞き出すことができた。
◆
今日は初めて北部に来たので、住む家を探すことを目的としていた。
レインは当初、無法都市の西部にいた。だがそこは荒廃がかなり進んでいて、住めるような場所はなかった。
中央部や南部は都市としては発展しているそうだが、危険かつ強大なな犯罪組織が多く、安全のために北部に拠点を据えることにした。
北部はまだ騎士団の監視が届く可能性があり、巨大な犯罪組織は存在していない。
それに仕事の収集場所にになるかもしれないトレントが近くにあるというメリットもあったからだ。
ここに良さそうな物件がない場合、中央部や南部への潜伏も検討しなくてはならなくなるだろう。
その時はもう仕方ない…
『この世は弱肉強食。これは動物に限らず、人間社会でも同じことだ。だから強くなりなさい。そして進化し続けなさい。これができないものは滅びるか強者に奪われ続けることになる』
レインは昔父親が自分に言っていた言葉を思い出した。この無法都市という場所はこの父親が言っていたことが如実に表面化したような場所だ。
暴力により人を支配するもの
強者に寄生するもの
弱った人を狙い狩り取るもの
美しく着飾り他人を騙すもの
それらの人間相手に商売をするもの
そしてそれらに搾取され、それしか生き残る道がないもの
これができない人間は生き絶えることになる。
だからレインは思う。自分も覚悟が必要だ。
強者に抗い、食い破る覚悟が。
誇り高く自由に生きるために
そんなことを考えていると
野生のチンピラ5人が現れた。
(全くまたか…。)
少し早めに気づくことができたが、逃げるのは癪だ。そう思い、進路変更を行わず真っ直ぐ突き進む。
すると、レインに気づいたチンピラはずいずいと大きく胸を張り迫ってきた。
ここの人間は味方でない人間と出会うとあんな感じ自分を大きく見せたり、怒声などで威嚇してくる。
もしかしたら、これが生物に備わった防衛本能なのかもしれない。
「お~い。少年いい夜だな~。金。持ってるか?食料でもいいぜ~」
そう言うと、僕のポケットの膨らみを見て察したのかこういい放つ。
「持ってるじゃねぇか~。悪いことはしねぇからよこせブッ!!!」
言っている隙にみぞおちに拳を叩き込む。
そうすると、パンチを受けたチンピラAが倒れる。
それに激怒した。チンピラB,Cが襲いかかってくる。拳よりも早くBの金滴を蹴り上げる。そうすると、股間を押えながら泡を吹いて倒れ込む。
(身長が足りないんだ許せ…)
そして、Cのパンチをよけ、顎を拳でうつ!
「ぐあっ!!」
そう言ってチンピラCも倒れこんだ。
実力差を察したのかDとEが逃走。
一応、後を追ってみる。
すると大きな3階だてのレンガ作りの建物が見えてきた。そこに大勢のチンピラがたむろしている。ざっと10人程だ。その中にD,Eが転がりこんで、こちらを指差す。
(やれやれ…。比較的安全といわれる北部でもあんなのがいるなんてな…)
そう思うと、大勢のチンピラがらいる建物に注目する。
(あれ!めっちゃいいじゃん!!豪華そうだし!!それに建物損傷もすくない!!)
腹は決まった。あれを奪い取る!!!
大勢のチンピラがこちらに向かって怒声をあげながら、駆け出してくる。
(全員まとめて潰しやるよ!!)
そして、レインは大勢のチンピラ達の中心に切り込んでいった。
◆
先ほど交戦したチンピラ達がそこら中に横たわっていた。
討伐したチンピラ達をすぐ近くの小屋に全員押し込み。レインはその3階だての洋館をじっくり見て回ることにした。
広いエントランスを抜けると。周りにゴミが散乱して、壁に落書きが大量にしてあった。
(まぁ…これらは掃除すれば綺麗になるだろう)
そう思い、気にすることなく部屋を見て回る。
一階には3つ部屋があり、そのうちの2つは豪華なソファーとテーブルがある。お酒が置いてあることから、ここは飲食を出すお店だったのかな?
(ちっ…。さすがに飲めないか…)
ちょうどのどが乾いていたので、飲もうとしたが、製造年月日を見てさすがに踏みとどまった。
最後の部屋は一番大きい。何かを見せ物をするのだろうか……
ステージと観客席があり、ステージの中央、左右には鉄の棒が垂直に立てられていた。
(なんだこれは……。何かショーでもするのか?そんでこの棒では何なんだ?)
こういった知らないものを見るたびに自分の無知を思い知らされる…
(ん?ステージの奥に行けるのか?)
そう思ってステージに上がり、左に曲がって奥に進む。右にも行けたが、反射的に左に行った。
(これはロッカールームか…)
そう思いながらロッカーを空けると、女性用の下着だ…。それも布の面積が少なく、隠すべきところを隠せていない。それを手にとって調べる。
(お……おぅ……。何かいけないことをしている気分になる)
レインはそれを凝視して、そう思った。
(まさか……。これを着ていたのか?……何という刺激的な世界だ。無法都市ってこんな店は多いのかな?)
(あるなら……。行ってみたい!!)
(僕は地上の楽園を見つけてしまったかもしれない)
レインは年頃の男子らしく舞い上がっていた。
こういったことへの好奇心やスケベ心は止めることができなかった。
◆
興奮収まらぬなか、2階、3階の確認に向かう。
ここは全て同じような部屋だった。
その部屋にはベッドとシャワールームがあった。ベッドとシャワールームが一つの部屋にあるのは妙な感じだ。
ここで寝泊まりをしていたということだろうか…
何にせよ。ここまで寝室の数が多いなら、心配することもないだろうとそう思った。
順調に探索を続けていたとき、その部屋には何かがいた。
(ん?…これは…猫?)
白い色をした猫が小さな呻き声をあげながら、ベッドに寝転んでいた。
(か、可愛いいい!!ぬいぐるみみたい!!え、え、どうしよ!!触ってもいいのかな??)
そう思い近づいていくと、その猫は立ち上がりこちらを威嚇してきた。
「ニィヤオオオオ!!」
(これは…。警戒されているらしい)
そう思い下から猫の顎を撫でようとすると爪攻撃してきた。それはレインの腕に剣に斬られたかのような傷を残した。
(おお…。この猫。随分狂暴で攻撃力が高い。危険な無法都市においてこういったペットはいた方がいいかもしれない)
以前からレインは生き物を飼うことに憧れていた。
この猫。是非とも飼いたい。そして手懐けたい。
そう思ってしまった…
すぐさまレインは白猫に距離を詰め寄り、抱き寄せる。
腕の中の猫は暴れ回る…。そしてレインの首もとを噛みついた。
血管が切れ、白猫の口の中に血が大量に流れ込む。
レインは血操術を使い、血を固め、傷を修復した。
レインの血は猫の体をすぐさま巡り、精神干渉魔法を使用して白猫を落ち着かせることができた。
(随分と魔力と攻撃力の高い猫だったな…。まぁ、いいか…。こんなやつもいるんだろう)
すっかり大人しくなった白猫にレインの持っていた食べ物を与える。どうやらお腹が減っていたようなので、餌付けをすることにした。
白猫は御機嫌なのかレインの手をペロペロと舐め出す。
「うんうん。君は可愛いね~」
そう言って、精一杯猫を愛でる。
白猫は顔をレインに甘えるように擦り付けてきた、
レインの顔は自然と笑顔が溢れていた。
(はぁ~。可愛い!!)
「今日から僕が君の面倒を見るからね!!」
それに返事するように猫はにゃおお~と返事をする。
(ん?……ちょっと待て?いや、まさかな…)
「君は僕の言葉がわかるのか?」
そう言うと猫は顔を縦に2回ふる。
「ふっ!くくくくっ……!どうやら僕は天才を見つけてしまったようだね!!」
そう言って手の平を白猫に翳す。そうするとその手に合わさるように猫も前足を押し付ける。
(肉球……。いい!!)
「これからよろしく!!よし!君の名前は……」
レインは少し辺りを見渡して考える。
「今日は月が綺麗だから、月光丸!!」
「月光丸にするよ!!」
そう言って、月光丸の下顎を撫でた。
(でも、大食漢だな…。)
レインが食べるはずだったご飯が全部なくなってしまった。
(まぁ…。仕方ないか…。背に腹はかえられん)
「あの店まだやってるかな…。ご飯食べたい…」
当作品を読んでいただきありがとうございます。
拙い文章ではございますが、楽しんでいただければこれに勝る喜びはございません。
※投稿後、一部文章を変更しました。




