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殺し屋レインのお仕事  作者: ナマケモノ
1章 無法都市編

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酒に溺れた人間の末路

※この話では未成年の飲酒、ギャンブルをするシーンがありますが、未成年の飲酒もギャンブルも本来、法律上禁止されております。


カジノの中央にあるバーカウンターのテーブル席に4人で座った。


昨日あったばかりのオッサンと今日始めてあった女の人。この人達との親密度はかなり低い。にも関わらず、一緒に飯を食べようとしている。


(これは世間一般では普通のことなのだろうか?)


何とも奇妙なことだ。レインはそう思った。

改善しつつはあるものの人見知りのレインにとってこの情況ははかなりハードルが高かった。


なんならエルザとも一昨日会ったばかりだ。




「お前は何にするんだ?レイン」

クローバーがそう言った。


「赤ワイン」

それを聞いてクローバーが金を出してくれた。



「レイン君……。そればかりじゃん他のも飲んでいいんだよ?」


「お酒って種類いっぱいありますけど、わからないですよね……」


「なるほどね……。あっすみません。私サングリアお願いします」

そう言って、スタッフに注文した。



「次くるやつ一緒に飲もうか」

そうレインに言った。


「ありがとうございます。」


そして、1通り会話したレインは正面に座る今日始めて合う女性に顔を向ける。


女性にしてはがっしりし過ぎている体型をしており、後ろを三つ編みにして纏めている。


先程の一見を見る限りこの女性は力でいえばクローバーよりも強い。


「ねぇ……ちょっとこの子お酒飲んでいいの?まだ飲める歳じゃないんじゃないの?」


そう問いかけた。


「まぁ、そう堅いこと言うなよ~」

「え~。レイン君飲める歳じゃなかっけ?」


そうレインの両脇に座る2人が言った。


「おなた名前は?」

女性はそう問いかけてきた。


「レイン」



「レイン?ああ…。君がスペードをボコボコにした少年か?」


(スペード?ボコボコ?……ああ、あの魔法師のお兄さんのことか……)


「クローバーに聞いたのよ。」

そう言って、クローバーの方を見た。


「私はダイヤ。昨日の君が闘った2人の同僚。よろしく。」

(顔が怖い。何をよろしくされるのだろうか……。)


「よろしくお願いします」

レインはひとまずそう返しておく。



「2人の名前は……本名?」

レインは思った疑問をそのまま聞いた。


「俺は本名じゃないな。つか俺は物心ついた時には孤児だったからな…。自分の名前なんてわからん…。クローバーという名前はボスから与えられたコードネームだ。」


「私も違うわ……。ダイヤみたいな体だからって言われてそうなったの」


そう言って握る力が強いのか、コップにヒビが入る。


「ほら……レイン君。飲んでみて……」


「は、はい。」

エルザから差し出されたものを飲む。


(なんか…。間接的にキスしてる見たいでドキドキする…)

レインは始めて飲むサングリアよりもそちらに意識が向いてしまっていた…。

(うん。甘い!!)




「それよりもさっきは随分と荒れてたわね~」

エルザが頬杖を着きながら、からかうように言った。


「そうなのよ。全然勝てなくて……。絶対あれイカサマだわ!イカサマ!!」


「本当に~?貴方がゲーム下手なだけではじゃなくて?」

さっき自分が大負けしたことを棚に上げ、エルザはそう言った。


「っ!!!」

「何よ偉そうに……。そういう貴方はさぞかし上手なんでしょうね?」

そう言ってダイヤはエルザを睨み付けた。


「まぁ…。貴方はよりは?さっきも程良く勝たせてもらったわ~」


(この人息をするように嘘つくじゃん……)

そんなエルザを見て、レインは驚きを隠せなかった。


それを聞いてダイヤは拳を握りしめながら、憤怒に顔を歪める。



「おいおい!!そこまで言うなら黙ってられねぇな!」


そう言って、クローバーはビールを飲み干して言った。


「なら、俺らとこのチップ賭けて勝負しようじゃねぇか!!自信があるんだろ?」

そう声を張り上げた。


「本気?やめておいた方がいいわよ!」

そうエルザは笑いながら言った。


「うるせぇよ。昨日はレインのせいで報酬が入らなかったんだ!絶対にここで回収させてもらうからよ!!」


「オッケー!いいわよ……。身の程を教えてあげる」


(あんたのその自信はどこから来るんだ?)

レインは心の中でそう突っ込まざるを得なかった。



◆



カジノを出たとこに立ち並ぶ飲食店では、カジノチップを使って、飲み食いしながら遊べる場所が存在する。


そこは2階だての建物で1階では飲食店、2階は遊戯スペースで飲みながらカジノ遊戯で遊ぶことができる。


レインは服、武器、月光丸を取り戻し勧められた店に向かう。



部屋には色々な種類のゲーム台があり、店員がディーラーを引き受けてくれるようだ。


「そうだな……。ポーカーはどうだ?」

「かまわないわ。何をやっても一緒よ…」

そうクローバーが提案して、エルザが了承した。


「面白いわね。私たちに搾り取られてどんな顔をするか楽しみだわ」

ダイヤがそう挑発した。


ポーカーはトランプを使用するゲームで自分の手札2枚と共通カード5枚を使い、強い役を作り勝負するゲームだ。

公平性を守るため、魔力封じの腕輪は着用のままにして勝負した。



早速お酒を頼み、ゲームを始める。

まずはチップを中央に置き、ディーラーがトランプを配る。


2枚のカードを見て、全員がコールをする。



カードが5枚出揃って、新たに出来上がった役は2のワンペア。


(基準がわからない…。これは勝負…する!!)


そう言って、コールした。


ダイヤ、クローバーも共にコールを行い、勝負に出た。


しかし、エルザは勝負から降りた。

正直なところレインからしたら、意外だった。 


「あらあら!威勢がいいこと言ってた割に降りるのね?」

ダイヤがニヤつきながらそう言った。


「負け戦にわざわざ首突っ込むわけないでしょ?」

そうエルザは冷静に言った。


そして結果が出る。


ダイヤ【4~8のストレート】

クローバー【1,3の2ペア】

レイン【2の1ペア】


それを見て、ダイヤが総取りした。


「ああ…。そうだ!!単に勝負をするだけならつまんねぇ…。勝ったやつ以外はこのウォッカを一気飲みするってのはどうよ?」


「面白そうねぇ…。是非やりましょうよ。」

ニヤリと笑いながらダイヤは言った。


(この2人、頭沸いてんのか?)

そう思い、レインは絶句した。


(それにあんたは賛同したらダメだろ!さっき俺に酒飲ませるなって言ってだろ…)

そうダイヤに向かって突っ込んだ。


「私はかまわないけど、レイン君にはあんまり無理させないようにね…」

エルザはそう言って、レインを見た。


(エルザさん…。貴方って人は…。見直したよ!!)


レインはエルザの評価を改めた。



そして2ゲーム目。

レインは1ペアしか揃っていなかったため、勝負からおりた。


そして結果が出る。


ダイヤ【2,Aの2ペア】

クローバー【5のスリーカード】

エルザ【2~6のフラッシュ】


この勝負はエルザが勝ち、コインを総取りした。


(危なかった。勝負に出ていたら、確実に負けていた。)

まぁ、一気飲みは確定してしまった訳だが…。


そしてウォッカを3人は一気に飲み干した。


「……プハッ!!ハッ!余裕だなこりゃ!」

そうクローバーが言っているが、強がりであることはすぐにわかった。


「…………」

正反対にダイヤは押し黙っていた。


かなり2人が酔っていると思い、少し安心したが…。レインは人のことを心配する余裕などなかった


(ううっ!!……ヤ、ヤバい!!)

少し視界が揺れるような錯覚に襲われた。

呼吸を安定させ、深呼吸を大きくした。


「おいおい!レイン~!……お前、ヘロヘロだな~おい!」


ふっと鼻で笑いながら、レインは言った。

「僕はれすね……。何種類もの毒の耐性もっているんれす!!このていろ!よゆーです!よゆー」

顔を真っ赤にしながら、レインは言った。


「レイン君。説得力ないわよ」

エルザにそう突っ込まれてしまったが、もはや他に気を回す余裕がレインにはなかった。


「おおおぅし……。やるぞ!!」

顔が真っ赤にやったクローバーはそう声をあげる。


ダイヤも目の焦点が定まっていないかのようだ。




そして3ゲーム目。

酔いながらも、今回の手札は確かな手応えを感じた。

(これは……いける)


今回はエルザは勝負からおりた。

そして変わらず、クローバーとダイヤは勝負に出た。


ダイヤ 【5のスリーカード】

クローバー 【Kのワンペア】

レイン 【Kと3のフルハウス】


レインは始めて勝利した!


「うっしゃあああ!」

レイン珍しく声を上げて、よろこんだ。


「くっ!!」

クローバーは悔しげな声をあげ、ウォッカを一気に飲み干す。


「…………っ!!」

ダイヤは顔を歪ませながら、飲み干す。

さっきから一言も発していない。大丈夫だろうか。


そうレインは思った。


エルザも一気に飲み干しが、意識はハッキリしているようだった。



そして、4ゲーム目。

いつものように全員がコールすると思いきやエルザはレイズを行い、多くチップを出した。


「…あ?なんだ??」

クローバーは頭を押さえながら、エルザに問いかけた。

「そう思うなら、勝負してみれば?」


それを聞いて、ダイヤは勝負をおりた。


「はっ!!ハッタリだろ?やってやるよ!!」

クローバーはそれに流されずに勝負に出た。


レインの手札は3のワンペア。勝てるとは思えなかったので、レインはおりた。

 


結果が出る


クローバー【Kの1ペア】

エルザ【3,5の2ペア】


「クソ!!」

そう言って、クローバーは机を叩いた。



そして、ウオッカの入ったジョッキが運ばれてくる。


ダイヤ、クローバー、レインはウォッカを一気に飲み干した。


「…………」

レインの心拍数が急に早まり、言葉を発することができなかった。


そして、横でバタンと大きな音が聞こえる。

ダイヤだ……。

うつ伏せになって倒れこみ、彼女がこのゲームで起き上がることはなかったので。


その横で飲み干した。クローバーもハァハァと息を荒げ、歯を食い縛る。


1人脱落しながら、5ゲーム目が始まる。


(あれ……?カードがぼやける)

頭が倒れそうになるのを必死に耐える。


すると膝に座っている月光丸が腕を叩く。


「う…うう。勝負しおってことかぁ?」


レインは勝負に打ってでた。

目がボヤける……。だが、これは全員コールしたのだろう。

そう思い、意識がない中カードを出した。


クローバー【1~5のストレート】

レイン【3~7のロイヤルストレートフラッシュ】

エルザ【3とKのフルハウス】


「くっ!やるわね…月光丸ちゃん…」

そう言って、エルザは月光丸を見ながら、ウォッカを一気に飲み干す。

その時すでにレインの脳は機能を失っていた。


「まだだ。負けられねぇ!!」

そう言って、クローバーは一気にウォッカを飲み干す。

「まけられねぇって…。あんたコインもうないじゃない?」

ケラケラと笑いながら、エルザは言った。


「おい!ディーラー、換えてくれ。そう言って袋を出す」


そしてその分だけディーラーはコインを手渡した。


「あ?おい!すくなくないか?」

そう言って、クローバーは顔を近づけた。

「ちょっと!!店員さんに絡まないで!」


「確かに全てコインに変換いたしました」

店員は冷静にそう告げた。


「なら、これで…どうだ!!」

そう言って、服を脱いだ。

「これをコインに替えてくれ!!」


「アハハハッ!あんた正気?」

そう言いながら、エルザは笑い転げる。


それに驚くことにそれで交換できた。


「お……おっさん。頭イカれてんのか…」

そうレインは声を振りしぼって言った。


「黙れ!死に損ない!さぁ、やるぞ!!」

瞳孔が開き、息が上がりきった。クローバーはそう言い放った。

「私からしたらあんたも死に損ないよ」


そして、6ゲーム目が始まる。

2人は勝負に出るようだ。

「げ、月光丸…。どうら?」

そう問いかけると月光丸は首横にふる。

(……だが、次飲んだら確実に死ぬ…。分が悪くても…ここは勝負に出る!!)


そう決意し、レインはコールする。


結果が出る。

クローバー【3と4の2ペア】

レイン【ペアなし】

エルザ【3のスリーカード】


(ぐっっ!!)

レインは気が遠くなるような気がした。


そして、クローバーが一気飲みしたのを見て、レインもそれに続いた。


そして、レインの意識はそこで途絶えた…。




◆



(………………?何だこれ?)

真っ暗な視界の中に微かに水の音が聞こえる。


それに耳を澄ませる。


(ん?何か苦し……。お、溺れる!!!)



「バハ!!」

そう言って、レインは目を覚ました。

口から水が垂れている。どうやら水を大量に飲まされたようだ。


辺りを見渡すとクローバーとダイヤが酔いつぶれて倒れていた。


「はぁ……良かった。目が覚めたみたいね」

そう言って、エルザはにこりと笑う。


(う……。気持ち悪い…。)

「ハァ…。すみません。ご迷惑をおかけしたようですね!」


「まぁ、次からは気を付けるように!」

「はい」

ぐうの音も出ない。

「まぁ、今回はほとんどコイツらが悪いから!!」


そう言って、エルザは倒れてる2人を見た。

ビックリすることにクローバーは身ぐるみが剥がされパンツ1枚の姿になっていた。


憐れ…。あんな大人にはなりたくないものだ。レインは強くそう思った。


「レイン君。ちょっと動ける?」

「はい。なんとか……」


「もう退店時間だからさ……。こいつら外に引きずり出すの手伝ってくれない?」


「わかりました……」


そして僕とエルザさんは2人を外に引きずりだし、投げ捨てた。


(少し運動したせいだろうか……。なんか胃から何か……!!)



「オロオロオロオロオロオロ!!!」

レインは地面に向かい、昨日食べた夕食だったものを吐き出した。目から涙が溢れてくる。


そして背中をゆっくりと擦られるのを感じる。


「すみませんすみませんすみませんすみませんすみません」


僕は人生で今日ほど自分が情けないと思ったことはなかった。


「はいはい。ほら水飲んで!」

そう言って、水をゆっくり飲む。


時間をかけてゆっくりと落ち着いていった。だが、やはり涙だけはまだ止まらなかった。


そんなとき、こちらに足音が近づいてくる。

茶色の髪に小柄で細身の青年だ。レインはこの少年に見覚えがあった。オロチの屋敷であったスペードだ。


「……」

「……連れが迷惑をかけてしまったようですね」


スペードは情況を察して、そう言った。


「かまわないわ…。「それ」の後始末お願いね」

「わかりました。」


スペードはそう一礼して、「それ」扱いされた2人の首もとをつかんで、引きずりながら帰っていった。



◆



歩けるようになったレインはエルザに問いかけた。


「エルザさんはあれ!大丈夫だったんですか?」

レインの言うあれとは一気飲みしたウォッカのことだろう。


「ええ。大丈夫よ!ありがとう」

そうにこりと笑った。


(おかしい……)


レインは正直なところ一気飲みを1回した段階で既に限界だった。なのにこの人はなんで?カジノでは顔が赤くなっていて、そんなにお酒が強いとは思えなかった。


そして、レインはあることに気づいた。


「あの…その腕輪取らないんですか?」

それはカジノで着用が義務付けられている魔力封じの腕輪だ。


「ああ……。取り忘れていたわね。」


そう言って、腕輪を取る。


(ん?僕が持っているのと何か紋様が違うような……)


「まさか……」


それを聞いて、エルザはニヤリと笑う。

「あら、ようやく気づいたのねレイン君。」


「にせ……もの」

「フフッ。そうよ。でもカジノではその場で着用させられるから誤魔化すことはできないのよね」


「付け直したのはカジノを出て、飲食店に入ったときよ。ウォッカはね……。液体の温度を上げて沸騰させてアルコールを飛ばしたの。それで魔法で蒸発分は水を生成して誤魔化したの」


「…………」


「いい?レイン君。ギャンブルにおいて、ああいう馬鹿共は私みたいなズル賢い人間のカモにされちゃうの……」

「いい勉強になったわね。」


そう言って、カジノコインが大量に入った袋を微笑みながら見つめていた。



(まさか……。最初の挑発から外への誘導まで全て計算に入れて……)



(……本当に恐ろしい)


レインはしみじみとそう思った。


























当作品を読んでいただきありがとうございます。拙い文章ではございますが、楽しんでいただければ幸いです。

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