第69話 新年の朝
昨夜の大晦日カウントダウンライブが終わって、帰ってきたオクト部長。
ビールを飲んだら、酔ってそのまま、わたしの膝枕で寝てしまった。
わたしは、そーっと膝を外して、ラグの上で寝ている部長に、毛布を掛けた。
いつもなら、天井にぶら下がって寝るのに、よほど疲れたのだろう。
それから数時間後。
元旦の朝がきた。
朝日が差し込むリビングルームの床に、オクト部長は寝ていた。
夜中、起きることもなく、そのまま寝ていたらしい。
「部長……、朝ですよ~。新年ですよ~」
いつもなら、天井で寝たら、早朝に起きてジョギングしてくる部長が……、なかなか起きない。
これは、激レアなシチュエーション……ではないだろうか。
まさか、死んでないでしょうね。
わたしは、オクト部長が呼吸しているのか確認しようと、顔にそっと近づいた。
スー、スー、スー、
よかった、生きている。
悪魔なんだから、あたりまえだ。
でも、ちょっと待って……。
この新年早々のお寝坊さんの寝顔、よくよく見ると超イケメンだ。
これは、絶好のチャンス。
キスする?
まさか、ダメよ。
元旦から、寝込みを襲うなんて、そんなこと、わたしは……する!
Chu!
やってしまった!
キャッ! わたしって悪い子。
小さな声でつぶやいた。
「起きないと、もっと、いたずらしちゃうぞー」
すると、
オクト部長の琥珀色の目が、ばっちぃぃーん!!!! と、開いた。
そして……
「ぜひ……」
そう言って、わたしを引き寄せた。
きゃーーーーー!
ごめんなさーーーい。
逃げようとしたけど、逃げられなかった。
もちろん、わざと寝ていたのだ。
悪魔だからね。
こういう手法は得意なんだって。




