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あくまでも部長です ― 悪魔契約コーポレーション営業部 ―  作者: 白神ブナ


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第43話 裏紙再利用―①

 パソコン入力していると、同じフロアの魔女先輩に注意された。


「チルさん、プリント失敗したり、使い終わったりした資料は、裏面を部署内で再利用するのよ」


「はい」


「あなたのパソコン周辺、ちょっと整理した方がいいんじゃない?」


「すみません。今、きれいにします」


「はいはい、この辺ね。……」


バサバサ、バサバサ……


「要らない紙は、裏紙用のボックスに入れて。要るものはファイリングね」


魔女先輩の指導を受けて、机の上をきれいにした。


挿絵(By みてみん)


しばらくすると、今度は仕事を頼まれた。


「チルさーん、別の案件抱えて忙しいと思うけど、いいかしら。

会議に使う資料を印刷するから、一部ずつホチキスどめ、お願い」


「はい、わかりましたー!」


パチン、パチン……


「終わったら、会議室に運んでくれる?」


「はい」


「ごめんねー。忙しいのに……」


「お安い御用です。なんでもおっしゃってください」


「あら、頼もしくなったわね」


「えへへへ」


「プッ、なにその笑い。前言撤回するわ」


魔女先輩は、笑った。

へー、魔女でも笑うんだ。

よかった、職場に認められた気分。



 昼休みになった。

午前中の会議が終わって、オクト部長がオフィスに戻って来た。


「部長、お疲れ様です」


「ああ、長い会議だったな……」


ちょっと疲れた様子だった。


すると、魔女先輩は、わたしに助けを求めた。


「チルちゃん、ごめんねー。急ぎでこの資料を印刷しなきゃいけないの。

でも、わたし総務部に呼ばれちゃって。わたしが居ない間、これやっててくれる? 終わったら、休憩とっていいから」


「はい、お任せください」



 昼過ぎ。

わたしはコピー機の前で、資料を整理していた。


ガチャ


「オクトくん、ちょっと……」


優しいおじさんの声。

振り向くと、本部長が立っていた。

片手には、紙袋と資料を持っている。


(あの紙袋の中身は、おそらくあんパン……)


オクト部長は顔を上げた。


「今、……ですか?」


「今だけど? いいかなー。さっきの会議の件で、ちょっと話が……」


「……了解しました」


二人は、そのまま小会議室に入っていった。


バタン


ドアが閉まった。


何だろう。

……気になる。

いや、ダメダメ。

業務、業務。


わたしは、コピー機のボタンを押す。


ウィーン……


でも、足が動かない。


(ちょっとだけ……)


わたしは、そっと会議室のドアの近くに移動した。


魔女先輩は総務部へ行ったし、他の営業マンは外回りに出ている。

誰にも見られていない。

……はず。


わたしは、ドアの側で耳を澄ました。


挿絵(By みてみん)


「……でね?」


本部長の声。


「例の契約、どうなってるのか、心配になったんだよ」


「問題ありません」


オクト部長の、いつもの落ち着いた声。


「履行は順調です」


「順調ねぇ……」


ガサガサと紙袋を開ける音。


「さっきの会議、長かったよね。お腹すいちゃった」


(打ち合わせ中に食べるんだ……)


「君もあんパン、食べる?」


「いえ、わたしは結構です」


「そお? お腹すいたなら我慢しないで言ってね。君、いつも我慢しちゃうタイプだから。そういう子はね、突然破綻するんだよ」


「空腹は我慢しません。大丈夫です」


「空腹のことじゃないよ。そ……。で? 契約の対価の処理は?」


突然、空気が重くなった。


「済んでいます」


「“選択権”のやつだよ?」


ドクン


わたしの胸が、跳ねた。

選択権……?


(え、部署の配属とか……そういう話かな?)


「将来における意思決定権の一部を……」


本部長が、書類を読み上げる。


「――なんたらかんたら……」


……え?


一瞬だけ、胸の奥がざわついた。


(……なんか、聞いたことあるような……)


でも、思い出せない。

頭の中に、もやがかかる。

なぜ思い出せないのだろう。


思い出そうとすると、そこで思考が止まってしまった。


チル「……これ、いいところで終わってません?」

オクト部長「終わっているな」

チル「続き、気になりますよね!? ブクマですよね?」

オクト部長「そう願いたい」




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