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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
3章:沖縄ダンジョン編

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3章23節

毎日17:30投稿

ツダの声が、飛ぶ。


「ヤチヨ!」


その声に、

彼女の動きが、ほんの一拍だけ鈍る。


「……チッ」


舌打ち。


だが、もう止まらない。


「遅いのよ!」


踏み込み。

地面が、爆ぜる。


次の瞬間――


妬みを抱いた冒険者の一人が、

所有者に突進した。


「う、うわあああ!」


剣が、暴発する。


それを――

ヤチヨは、反射で斬った。


重い感触。


血飛沫。


(しまっ――)


刃が、

深すぎた。


冒険者は、倒れる。


即死ではない。


だが――致命傷。


場が、凍りつく。


「……あ」


ヤチヨの口から、音が漏れた。


所有者が、それを見て、一瞬だけ正気に戻る。


「ひ……」


次の瞬間。


刺剣が、歓喜する。


所有者の心に、一気に流れ込む。


――見られた

――殺した

――英雄だ

――もっと、もっと


「違う……!」


ヤヒロが、叫ぶ。


ヤチヨは、剣を握ったまま、動けない。


(……やった)

(私が、“選んだ”)


その表情は、

勝者のものじゃない。


嫌悪と、

後悔と、

――ほんの僅かな、安堵。


「……くそ」


「だから……嫌だったのよ」


傲慢もまた、一歩踏み出しかけていた。



血の匂いが、濃くなる。


倒れた冒険者の身体は、

もう動かない。


その事実が、この場の全員に、

遅れて突き刺さる。


「……っ」


ヤヒロは、歯を噛みしめた。


(間に合わなかった)


だが――

それでも。


「……まだだ」


盾を、前に出す。


倒れた冒険者と、

残された者たちの間に。


「もう、これ以上――」


言葉は、途中で遮られた。


「邪魔」


ヤチヨの声。


感情が、抜け落ちている。


「どいて、ヤヒロ」


「……先輩」


「そいつらは、もう『戻れない』」


刺剣の所有者と、襲撃した冒険者らを

それぞれ一瞥しながら一歩、

ヤチヨが、前に出ようとする。


ヤヒロは、盾を強く構えた。


「それでもだ!」


声が、震えた。


「ここで殺したら――刺剣は逃げる!」


「死に戻りだ!」


「また外で、誰かが殺される!」


一瞬。


ヤチヨの動きが、止まった。


(届いたか――)


そう思った、次の瞬間。


「……だからよ」


ヤチヨは、小さく言った。


「“ここ”で終わらせる」


剣が、振り上げられる。


狙いは――

所有者ではない。


周囲。


妬みに飲まれ、

恐怖と欲望で動けなくなった冒険者たち。


「ッ、待――」


間に合わない。


ヤチヨの剣が、走る。


速い。

迷いがない。

盾で、受けられない。


二人目。


三人目。


急所を避けない、

確実な斬撃。


殺すための――剣。


「やめろおおお!!」


ヤヒロの叫びが、遅れて響く。


最後の一人が、崩れ落ちる。


沈黙。


血の滴る音だけが、耳に残る。


ヤチヨは、剣を振り払った。


表情は、もう感情を映していない。


「……これで、邪魔はいない」


所有者が、震えながら後ずさる。


「ひ……っ」


刺剣が、脈打つ。


鈍い光が、妖しく瞬く。


「すごい……」


所有者の声が、歪む。


「みんな……見てたよな……?」


「俺……すごいよな……?」


次の瞬間。


ヤチヨが、踏み込んだ。


地を蹴り、一直線。


狙いは――

魅了する刺剣の所有者。


「――終わりよ」


剣が、

振り下ろされる。


ヤヒロは、

盾を構えながら、

理解していた。


(これは――止められるか)


(……いや)


(もう一つ)


(“仲間から、敵を守る”っ)


ヤチヨの刃が、

所有者に届く――



いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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