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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
3章:沖縄ダンジョン編

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93/125

3章21節

毎日17:30投稿

熱帯樹林区画。

湿った空気が、肌にまとわりつく。


倒壊したビルの残骸を覆うように、

巨大な蔓植物が絡みついていた。


「……いた」


ユイの声が、低く落ちる。


視線の先。

瓦礫の高所で、

一人の冒険者が戦っている。


刺剣が、流れるように閃いた。


モンスターの動きが、

一瞬、“遅れる”。


次の瞬間、急所を貫かれ、敵は沈んだ。


「……噂通りだな」


ツダが、モノクル越しに呟く。


(嫉妬の刺剣の所有者)


ヤヒロは、

盾越しに観察する。


剣は、まだ静かだ。


欲望は、抑え込まれている。


だが――


「近くに冒険者の気配もある」


ヤチヨの声が、硬い。


ツダも、同時に感じ取っていた。


(……第三者の介入も視野か)




樹林の奥では、妬みを抱く冒険者たちが、また刺剣の所有者を見ていた。


「……また、あいつだ」


「今日も、派手にやってるな」


三人組。


装備は、中層相当。


腕も、悪くない。


だが――

目だけが、異様だった。


「新聞に載るほど、特別か?」


「俺たちの方が、長く潜ってる」


「……奪えばいい」


誰かが、吐き捨てる。


「ダンジョン内だ。問題にならない」


「死に戻るだけだ」


嫉妬が、空気を歪めた。




そしてさらに奥では、米軍部隊が待機していた。


瓦礫の間を、迷彩服の兵士たちが静かに進む。


足音は、極限まで抑えられていた。


「前方、交戦反応」


「例の冒険者だ」


「他に、三人組の冒険者も確認できます」


ジップは、手信号で部隊を止める。


(……日本側とは、別の連中か)


視線の先。


刺剣の閃きが、

木々の隙間から見えた。


(あれが、例の異常)


米軍としての判断は、明確だった。


「今回の騒動を、完全に終わらせる」


沖縄での駐留を継続するためには、

曖昧な決着は許されない。


「最悪の場合、排除だ」


ジップは、低く呟く。




「おい!」


第三者の一団が、刺剣の所有者の前に姿を現した。


「その剣、よこせ!」


「英雄気取りも、ここまでだ!」


所有者が、振り向く。


驚き、そして――

笑み。


「……君たち」


「僕を、見てくれてたんだね」


刺剣が、脈打つ。


淡い光。


嫉妬が、共鳴する。


(まずい)


ツダの背中に、冷たい汗が流れた。


「ヤヒロ!」


「割って入れ!」


ヤヒロが、盾を前に出し、距離を詰めようとする。


だが――


その時。


「止まれ」


低く、異国の声。


樹林の奥から、武器を構えた米軍兵が姿を現した。


一瞬の静寂。


冒険者たちが、凍りつく。


先頭に立つ男を見て、

ツダは、一瞬だけ目を細めた。


(……やはり来たか)


「久しぶりだな、ツダ」


ツダは、モノクル越しに

ジップを捉える。


最低限の言葉を交わした相手。

互いに、危険な人物として認識している。


「こんな場所で再会するとは、皮肉だな」


ツダの声は、

落ち着いている。


だが、モノクル越しに視たジップの拳。


その男の拳に装着された

異様なセスタス。


――レジェンダリー。


しかも。


(……憤怒)


直感が、

確信へ変わる。


ジップも、ツダを見る。


確実に、同類だと理解していた。

そして同時に、ここにいる全員が、

一歩間違えれば、殺し合える存在だとも。


妬み。

承認欲。

国家の思惑。


すべてが、

この場で

噛み合おうとしていた。


ツダは、

前に出る。


「ここは、俺が止める」


ツダは、一歩前に出た。


「ジップ。ここは日本のダンジョンだ」

「お前の“排除判断”は、まだ早い」


ジップは、肩をすくめる。


「そう言うと思った」


「だが――事態が悪化すれば、俺たちは躊躇しない」


視線が、刺剣へ向けられる。


ツダは、歯を食いしばった。


(守らなければならないのは、敵だけじゃない)

(――仲間もだ)

いつもありがとうございます。


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