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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
3章:沖縄ダンジョン編

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3章20節

毎日17:30投稿

「……以上が、俺の掴んだ範囲だ」


ツダはそう言って、

卓上端末をスライドさせた。


投書の写し。

潜入時間。

活動階層。

交戦ログの抜粋。


どれも、

“事件”には至っていない。


「静かすぎるな」


ヤヒロが言う。


盾を膝に立て、

腕を組んだまま、

端末の表示を見つめている。


「ええ。でも――」


ユイが、

言葉を継いだ。


「ダンジョン内では、

 もう目立ってます」


ヤチヨが頷く。


「見たわ。

 遠目だけど、確かに強い」


「……妬まれてた?」


ツダの問いに、

ヤチヨは肩をすくめた。


「露骨に、ね」


「“あいつだけ装備がいい”とか」

「“刺剣はズルだ”とか」

「“あれ、運が良かっただけだろ”って」


ヤヒロが、

ゆっくり息を吐く。


「……噂は、

 もう回ってるな」


ツダは内心で、

同意した。


(やはり、

 内と外が繋がった)


「俺の方でも確認したが」


ツダは淡々と続ける。


「所有者本人は、

 まだ暴走していない」


「羨望も、

 制御できている」


「だが――」


一拍置く。


「武器が、

 “次”を求めている」


室内が、

わずかに静まった。


ヤヒロが、

顔を上げる。


「つまり」


「放っておけば、

 ダンジョン外に

 持ち出される可能性がある?」


「高い」


即答だった。


「しかも、

 本人は“善意”のつもりで

 動く可能性がある」


ユイが、

小さく顔をしかめる。


「それ、

 一番止めにくいやつ……」


「ええ」


ツダは頷いた。


「だから――

 中で奪う」


ヤヒロが、

ゆっくり立ち上がる。


盾を背負い、

剣の位置を確かめる。


「生け捕り前提だな」


「殺したら、

 死に戻りで逃がす」


「しかも、

 復活ラグ付き」


ツダは、

ヤヒロの判断を肯定するように

視線を送った。


「正解だ」


ヤチヨが、

一歩前に出る。


「私が前に出るわ」


「刺剣の動きは、

 私が一番近くで見られる」


一瞬、

ツダと目が合う。


その奥に、

傲慢の光がちらりと覗く。


だが――

ツダは何も言わなかった。


(今は、

 止める段階じゃない)


「役割を整理しよう」


ツダが告げる。


「ヤヒロ。

 盾で隔離」


「所有者と刺剣を、

 周囲から切り離せ」


「ユイ。

 拘束補助」


「射撃は牽制のみ。

 決定打は不要だ」


ユイが、

真剣な表情で頷く。


「了解」


「ヤチヨ」


ツダは、

ほんの一瞬だけ言葉を選んでから続けた。


「――奪取役」


「殺すな」


ヤチヨは、

短く笑った。


「わかってる」


だがその笑みは、

どこか鋭かった。


(……理解しているかどうかは、

 別問題だな)


ツダは、

最後に告げる。


「これは、

 公安任務じゃない」


「ギルド案件でも、

 まだない」


「俺たちが動く理由は一つ」


視線が、

全員に行き渡る。


「――

 “外で誰も死なせないため”だ」


ヤヒロが、

静かに頷いた。


「行こう」


「ダンジョン内で、

 終わらせる」


その言葉を合図に、

全員が装備を確認する。


転移ゲートが、

低く唸りを上げ始めた。


ツダは、

最後にモノクルをかける。


(……さあ)


(嫉妬の刺剣)


(君は、

 どこまで人を

 煽れるかな)


光が、

視界を覆った。


――奪取作戦、

開始。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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