2章37節
2章完結まで連続投稿中
前話を未読の方は、前話よりご拝読願います。
毎日17:30投稿
報告書:富士ダンジョン攻略について
――記録開始。
提出者:津田
所属:公安ダンジョン対策課(臨時編成)
案件番号:FJ-Upper-███
本報告は、富士ダンジョン上層踏破および最終ボス撃破に関する正式記録である。
なお、本報告書は意図的な情報秘匿を行わないことを前提とする。
一.編成
・前衛防御役
曳舟八紘
・遠距離支援
ユイ(弓装備者)
・後衛打撃/分析
津田(記載者)
途中合流者あり:
成田八千代
※公安管理下、非公開レジェンダリー装備保持者
二.上層環境概要
富士ダンジョン上層は、現実の富士山とは異なり、噴火後の地形を固定化した空間である。
・恒常的な火山灰降下による視界不良
・溶岩流による地形分断
・熱、音、衝撃が相互干渉する異常環境
従来の「防御=無効化」は成立せず、
逸らし・分断・時間稼ぎを前提とした戦術が必須。
三.曳舟八紘の装備について(重要)
これまで非公開としてきたが、
曳舟八紘の盾装備について、正確に記載する。
装備名:
使い捨てる盾
分類:
レア装備
※ただし、他装備と異なり、将来的にレジェンダリー化する可能性あり
主な特性(確認済):
・他装備吸収による恒久強化
本盾は、敵性存在・ドロップ品を吸収し、性能を更新する。
四.戦闘評価
曳舟八紘は、当初「全てを受け止める防御」を志向していた。
しかし上層においては、その思想は通用しない。
彼は途中で戦い方を変えた。
・受けない
・逸らす
・分断する
・守る対象を選ぶ
結果として、パーティ全体の生存率は著しく向上。
特筆すべきは、防御役でありながら「戦場制御」を担った点である。
これは、上層適応の一つの完成形だと判断する。
五.最終ボス
名称:
ヴォルカニクス=エコー・ドラゴン(炎響竜)
特徴:
・反響鱗による衝撃・音吸収
・吸収量に応じて全体攻撃を増幅
・逆鱗破壊が必須条件
撃破を確認。
ドロップ:エリクサー 1
用途については、当事者の私的判断を自身の権限にて容認済。
六.結論
富士ダンジョンは、
もはや「個人の力量」だけで攻略可能な段階ではない。
七.私見(非公式見解)
曳舟八紘は、壊れかけた時期を越えた。
だが――盾は、まだ食う。
この先、同種の装備が表に出れば、必ず問題になる。
その時、公安は、国家は、
この「盾」をどう扱うのか。
判断を、仰ぐ。
――記録終了。
津田は、モノクルを外した。
レンズの奥で、
数値が消える。
改ざんは、もうしない。
隠せる時期は過ぎた。
この報告が、
波紋を呼ぶことは分かっている。
それでも――
今は、これが最善だ。
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