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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
2章:富士山ダンジョン編

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2章29節

毎日17:30投稿

包囲。


空から、地から、

残ったレッサードラゴンが、一斉に距離を詰める。


火山灰が巻き上がり、

視界が、完全に潰れた。


「……来るぞ!」


ツダの声。


だが、その警告より早く


「遅ぇよ」


ヤチヨが、前へ出た。


独りで。


「先輩、戻って!」


ヤヒロの叫びは、届かない。


虎嘯大曲剣が、空気を切り裂く斬撃を放つ。


二体、同時に叩き落とす。


だが、三体目。


死角からの突進。


ヤチヨは、避けない。


「――当たらねぇよ、そんなもん!」


肩で受ける。


鱗が砕け、

肉が裂け、

血が飛ぶ。


それでも、踏みとどまる。


剣が、さらに重く鳴った。


虎が吼えるような音。


――装備が、完全に主導権を握っている。


「……っ」


ツダが、歯を噛みしめる。


「まずい……!」


ヤヒロも、同じ違和感を覚えていた。


(――あれは)


勝ちに行っている動きじゃない。


叩き潰すこと自体が目的になっている。


ヤチヨの目は、

敵を見ていなかった。


見ているのは、

自分より下にいる存在だけ。


「もっと来いよ」


笑う。


「この程度で、終わりか?」


挑発。


だが、ヤヒロのそれとは違う。


守るためじゃない。

見下すための挑発。


ドラゴンが、反応する。


一斉に、牙と爪。


――ここで、ヤヒロが割り込む。


盾を前に。


衝撃波反転。


音衝撃波反転。


無理やり、押し返す。


「先輩!」


至近距離で、叫ぶ。


「下がってください!死んじゃいます!」


一瞬。


ヤチヨの視線が、

ヤヒロに向いた。


その目に――

理解が、なかった。


「……は?」


心底、意外そうに。


「私が?」


笑う。


「死ぬわけないだろ」


次の瞬間。


空から、

最大級の溶岩弾。


避けきれない角度。


ヤヒロは、

反射的に前へ出た。


盾を、構える。


――間に合わない。


そのとき。


「……ッ!」


ユイの矢が、

溶岩弾の“核”を撃ち抜いた。


爆散。


熱風。


それでも、余波が来る。


ヤヒロは、

盾で全てを受け切った。


膝が、地面に沈む。


視界が、白くなる。


「……ッ、ヤヒロ!」


ツダが叫ぶ。


その声で、

ようやく――


ヤチヨの動きが、止まった。


目の前。


盾を構えたまま、

倒れかけているヤヒロ。


血。


焦げた地面。


自分の、立ち位置。


一歩、間違えれば――


自分が、

“守られる側を殺していた”。


「……」


ヤチヨの笑みが、消える。


剣の震えが、

わずかに止まる。


装備が、

まだ何かを囁いている。


――踏み込め。

――全部、斬れ。

――強いのは、お前だ。


だが。


ヤチヨは、

歯を食いしばった。


「……クソ」


低く、吐き捨てる。


剣を、下げた。


その瞬間、

圧が、抜ける。


「……悪い」


誰にともなく。


「ちょっと、調子に乗った」


その言葉に、ツダが息を吐く。


ユイは、何も言わない。


ヤヒロは、盾を支えに立ち上がりながらヤチヨを見つめるしかなかった。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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