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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
2章:富士山ダンジョン編

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2章28節

毎日17:30投稿

勝利の余韻は、三呼吸も続かなかった。


――ズゥゥン。


低い振動が、足裏から伝わる。


「……来る」


ユイが、短く告げる。


火山灰の向こう。

赤い光が、複数、揺れていた。


翼の影。

地を蹴る影。

空と地の両方から、数が増えていく。


「……は?」


ツダが目を見開く。


レッサードラゴン。


一体、二体、三体――

数えきれないほどの群れ。


「おいおい……」


ツダの声が、乾く。


逃げ場はない。

背後は、溶岩流。


上層は、選ばせない。

立つか、死ぬか。


そのときだった。


「ははっ」


ヤチヨが、笑った。


大曲剣を、肩に担ぐ。


「いいじゃん」


目が、完全に戦場を見ている。


「さっきの続きだろ?」


「ヤチヨ、待て!」


ツダが制止する。


「数が――」


「関係ねえ」


ヤチヨは、一歩前へ。


剣を構えた瞬間、

空気が、変わった。


圧。


見下ろすような殺気。


「雑魚が何匹いようが――」


――虎嘯。


剣が鳴く。


「私が、格の違いを教えてやる」


踏み込み。


地面が、砕ける。


最前列のドラゴンが、

まとめて吹き飛んだ。


「っ……!」


ヤヒロは、息を呑む。


斬撃が、

数をまとめて処理する発想だった。


だが。


空から、溶岩弾。

左右から、突進。

数の暴力が、牙を剥く。


「先輩!」


ヤヒロが盾を構える。


衝撃波反転。

音衝撃波反転。

着弾を、片端から弾き返す。


だが――

数が多すぎる。

反転しきれない。


「ユイ!」


ヤヒロが叫ぶ。


ユイはすでに撃っている。

矢が、空を裂き、

翼を次々に落とす。

それでも、追いつかない。


「チッ……!」


ツダが槌で地面を叩き、

突進してくる個体を止める。


だが、その隙に――


「――邪魔だ!」


ヤチヨが、前へ出る。


完全に、前線を越えていた。


「ヤチヨ、下がれ!」


「下がる理由がねえ!」


剣が、乱暴になる。


豪快。

強引。

自分が斬れない状況を想定していない。


ドラゴンの爪が、

ヤチヨの脇腹を掠める。


「……ッ!」


一瞬、動きが止まる。


その瞬間を、

上空の個体が狙った。


――溶岩弾。


ヤヒロは、迷わず割り込む。


盾で受け、

姿勢安定制御が発動。


地面を滑りながら、耐えきる。


「……無茶、しすぎだ!」


「黙れ!」


ヤチヨは、歯を剥く。


「強い奴が前に出る!」

「弱い奴は、後ろで支えてろ!」


剣が、再び唸る。


だが。


その背中を見て、

ヤヒロは、嫌な既視感を覚えた。


(……昔の、俺だ)


数を無視し、

自分の力を過信し、

「勝てるはずだ」と踏み込む。


違う形だが、

壊れ方は、同じだ。


「……ツダ!」


「わかってる!」


ツダが叫ぶ。


「このままじゃ、押し切られる!」


ヤヒロは、盾を強く構え直す。


攻撃しない。

前に出ない。


守る。


挑発が、発動する。


複数の視線が、

一斉にヤヒロへ向いた。


「こっちだ!」


溶岩弾が、集中する。

盾が、悲鳴を上げる。

だが、耐える。


逸らす。

受け流す。


その“溜め”を

ユイが、撃ち抜く。

ツダが、叩き潰す。


少しずつ、数が減る。

だが、ヤチヨは止まらない。


「まだだ!」


血を流しながら、前へ。


「まだ、足りねえ!」


剣が、狂気を帯びる。


「……ヤチヨ!」


ツダの声が、震える。


次の瞬間――

空から、一斉降下。


残りのドラゴンが、

同時に襲いかかる。


完全包囲。


ヤヒロは、歯を食いしばった。


――ここが、限界。


守り切れるか。

仲間が、壊れるか。



いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

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