3章47節
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沖縄から戻って、しばらくの間。
大きな事件は、起きなかった。
いや、正確には――
起きないように、全員が慎重になっていた。
彼らは、ダンジョンに潜る回数を減らした。
ヤヒロは盾の点検と手入れだけは欠かさなかったが、
以前のように、強化を求めて前に出ることはなくなった。
「今日は、やめとくか」
そんな言葉を、何度も口にした。
ユイは、変わらず弓を整えながら、
それを止めもしなければ、急かしもしなかった。
ただ、食事のときに一言。
「……無理しない日も、必要」
それだけ。
ツダは忙しかった。
報告書と、後始末と、問い合わせと、説明と、謝罪。
それでも、ダンジョンに潜るときだけは顔を出して、三人分のコーヒーを買ってきた。
「生きてるかー?」
軽い調子で。
だが、目だけは、以前より鋭かった。
ダンジョンに潜らないとき、
ヤチヨは、時々いなくなった。
理由はおろか、どこにいたのかさえ言わない。
聞いても、答えない。
戻ってきたときは、何事もなかったように、
「腹減った」
とだけ言った。
そんな日々が、数か月。
季節は、確実に進んでいった。
街に、薄手のコートが増え、
コンビニの肉まんが、目立つ場所に置かれるようになり、
いつの間にか、カレンダーの端に
小さく「12」の数字が見えるようになった。
ヤヒロは、その数字を見つめて、
理由もなく、息を吐いた。
何かが終わったわけでも、
解決したわけでもない。
ただ――
立ち止まっていた時間。
それでも、
誰もいなくならなかった。
それが、唯一の救いだった。
そして、その静けさの延長線上に――
冬が来る。
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