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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
3章:沖縄ダンジョン編

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3章43節

毎日17:30投稿

ヤチヨは、一歩踏み込んだ。


迷いのない踏み込み。

剣を振るための予備動作すら、もはや削ぎ落とされている。


閃光。


虎嘯大曲剣が、空気を裂く。


「――遅い」


ジップの低い声。


だが、その言葉とは裏腹に、

彼の反応は僅かに遅れた。


金属と金属が噛み合う音。


セスタスで受け止めきれず、

衝撃が腕を通して身体に流れ込む。


「……っ」


ジップの足が、半歩下がる。


その瞬間を、

ヤチヨは逃さない。


二撃目。

三撃目。


剣は、重い。

だが、その重さを速さで誤魔化さない。


一撃一撃が、

確実に殺すための軌道を描いている。


(――浅い)


(だが、十分)


剣圧が、ジップの防御を削る。


地面が抉れ、

砂埃が舞う。


周囲の米兵が、一斉に距離を取った。


「……信じられんな」


ジップが、息を吐く。


「この環境で……この精度か」


魔素の薄い、ダンジョン外。


本来なら、

彼女のような存在ですら、動きは鈍るはずだった。


それでも、ヤチヨの動きは落ちていない。


それどころか――


「……押している?」


誰かが、そう呟いた。


事実だった。


剣が、セスタスを上から叩き落とす。


防御。

回避。

反撃。


そのすべてが、ヤチヨの想定内。


(――これで、終わる)


そう、確信しかけた瞬間。


ジップが、笑った。


「……ああ」


「なるほど」


「我慢は、やめだ」


その声は、低く、熱を帯びていた。


次の瞬間。


――空気が、変わった。


ドン、と。


まるで、地面の奥で何かが爆ぜたような衝撃。


ジップの足元から、

見えない圧が広がる。


「……っ!?」


ヤチヨが、目を見開く。


剣を通して伝わる感触が、

さっきまでとは、まるで違う。


硬い。

重い。

――怒りそのもの。


「……憤怒の力」


ヤチヨが、低く呟く。


セスタスが、

赤黒く、脈打つように震えている。


憤怒。


抑え込んできた感情が、

堰を切ったように溢れ出す。


「……殺せない」


「壊せない」


「奪えない」


その一つ一つが、

燃料だった。


「だから――」


踏み込む。


今度は、

ジップの番だった。


一撃。


拳が、

空気ごと叩き潰す。


剣で受けたはずのヤチヨの身体が、

衝撃だけで吹き飛ばされる。


「――っ!」


空中で体勢を立て直すが、

追撃が、間に合う。


二撃目。


セスタスが、

剣の腹を真正面から叩く。


衝撃。


虎嘯大曲剣が、

悲鳴のような音を立てる。


(……重い)


(さっきまでとは……違う)


ヤチヨの表情から、初めて余裕が消える。


ジップは、止まらない。


「来い」


怒りを、

一歩も引かずに叩きつける。


その背後で、

米兵たちが息を呑む。


「……これが」


「本気の……」


誰かの声が、掠れる。


二人は、再び激突する。


剣と拳。

誇りと怒り。


――まだ、終わらない。


だが、

戦場は確実に、次の段階へ進んでいた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。

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