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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
3章:沖縄ダンジョン編

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3章42節

毎日17:30投稿

弓弦が、鳴った。


短く、鋭い音。


ユイの放った矢は、

所有者の剣先をわずかに逸らしただけだった。


――足りない。


魔素が、薄い。


ダンジョン外。

この環境では、彼女の矢は「止め」にはならない。


「っ……!」


ユイが息を呑む。


刺剣が、

そのまま軌道を修正し、喉元へ滑り込む。


間に合わない――


そう思った瞬間。


盾が、割り込んだ。


正確には、刺剣が盾に吸い込まれるように対象を変えた。


乾いた衝撃音。


剣先が、

使い捨てる盾の表面で火花を散らす。


「――ユイ、下がれ!」


ヤヒロの声。


重い衝撃が、腕を通して伝わる。


(……速い)


(人間相手で、ここまで――)


盾越しに感じる圧力は、

これまで相手にしてきたモンスターとは、明らかに違った。


所有者は、笑っている。


「いい反応だ……!」


「ほら、見ろよ!」


「ちゃんと“主人公”してるじゃないか!」


剣が、

盾をなぞるように滑り、角度を変える。


ヤヒロは、即座に身体を捻る。


受け流し。

踏み込み。

盾を前に出し、距離を潰す。


「……守る、ね」


所有者が、低く嗤う。


「守ってるつもりか?」


次の瞬間。


刺剣が、

盾ではなく、足元を狙った。


地面を抉る斬撃。


砂が舞い、

視界が一瞬、遮られる。


「――っ!」


その隙に、

所有者が横へ回り込む。


狙いは、

再びユイ。


「させない!」


ユイが、矢を放つ。


狙いは、

殺すためではない。


視線。

重心。

――動きを、止めるため。


矢が、所有者の肩口を掠める。


「……ちっ」


その瞬間を、

ヤヒロは逃さなかった。


盾を、

叩きつける。


衝撃。


剣を振る腕が、

わずかに弾かれる。


「ぐっ……!」


距離、ゼロ。


ヤヒロは、

盾を前に、踏み込む。


(殺さない)


(奪う)


(止める)


それだけを、考える。


所有者が、

歯を食いしばる。


「……それが」


「それがお前の“正義”かよ!」


剣が、

盾の縁を滑り、内側へ。


近い。


近すぎる。


「ヤヒロ!」


ユイの声。


同時に、

矢が放たれる。


狙いは――

剣を握る手。


矢は、

深く刺さらない。


だが、

十分だった。


指が、わずかに開く。


その隙を、

ヤヒロは突いた。


盾を、

真正面から押し付ける。


体重を乗せて。


「――止まれ!」


所有者が、

後ろへ倒れ込む。


地面に転がり、

剣が、砂を噛む。


息が荒い。


三人とも。


ユイは、

弓を構えたまま、震える指を抑えている。


ヤヒロは、

盾を前に、立ち続ける。


所有者は、

地面に座り込みながら、笑った。


「……なあ」


「やっぱりさ」


「俺、間違ってないよな?」


その瞳は、

狂気と、焦燥と、承認欲で歪んでいる。


ヤヒロは、答えない。


答えられない。

いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

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本作は毎日更新中です。

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