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DAY98 遮る光と深い影

陽炎の様に、

近くに見え、そして離れていく。


巨大なショッピングモールが、

あと少しの所まで近づいてきていた。


隼人は声かけを積極的に行い、

みんなの集中力を切らさない様に努める。

歩き続けたお陰で、

日が暮れる前に目的を果たせそうだった。


今回は食料品の確保が最優先課題である。

しかし、荒廃した世界で皆、考えることは一緒だ。


一馬(どこまで確保出来るかな・・・。)


巨大な商業施設は、途切れること無く来客で溢れる。

まともだった世界線では、

週末の家族連れでいっぱいになる。


荒廃した世界では、命を繋ぐ為の巨大倉庫。

生きる為に食料を求め、命を奪い合う。


そして、ゾンビ達のベッドタウン。


錬次「デカッ」


誠「はぁ、はぁ、た、確かに凄いね」


超現実世界の舞台は海外。

大きな土地から大勢の人が集まる場所。


日本の大きなショッピングモールが霞んで見える。


一馬「ひゃー凄ッ!建物デカッ駐車場広ッ奥行きヤッバッ見た目派ッ手」


錬次「アイスあるかな?」


一馬「は?あるわけ無いだろ!電気通ってねーよ。ポテチ・・・ギリあるかな?」


錬次「いいな!ポテチッ」 

一馬「油と塩気が欲しい」

錬次「行くか?」

一馬「おうよ!行くか?」


目的地も手前まで来ると、

緊張感の糸も切れ始めていた。


黒羽(クロウ)「おい!馬鹿コンビ、ほどほどにしておけ」


一馬・錬次「あっ?」


隼人は楽しそうに笑いだし、

釣られて誠と葵が笑いだす。


朱華は我関せずと遠くを見つめる。

瑠奈と六花と武臣は、周囲を警戒している。


トーマス「一馬!」


一馬「ん?」


トーマス「ゾンビもそうだが、どんな奴等が居るかわからない。」


一馬「ああ、わかってるよ・・・理解してる。」 


一馬の雰囲気に緊張感が走る。

経験則として、当然の展開が待っている。


一馬「よし、侵入ルートを探そう!隼人さん」


隼人「OK!ココから僕と黒羽(クロウ)が前を先導する・・・よし、行こう!」


それぞれ荷物を担ぎ直し、駐車場から建物内を目指す。


メインの入り口は、

分厚い防火シャッターが降りている。


ショッピングモールの構造で特徴的なのは、

外界の()や光が入らない構造であること。


屋上を含め4階ほどの建物である。


()の光が入るのは、

2階イートインと屋上、そして1階エントランス。


一馬達は時間は掛かるが、

ぐるっと建物周辺を歩いて回る。


瑠奈「侵入出来そうな所はないわ。」


一馬「そうだな、上から侵入するしか無いな。」


一馬は屋上駐車場に向かう、

建物を回り込むように作られた、

車両用スロープに視線を向ける。


侵入を妨げようと、

廃車を無理やりスロープ入口に放置してある。


葵「きゃっ」


よく見ると白骨化した死体が所々にある。


朱華「ふん」


六花「一馬、躊躇する暇はないでしょ?」


一馬「だな」


身軽な瑠奈が率先して、

廃車によじ登りロープを垂らす。


運動神経の無い誠は予想通りだが、

葵は意外に苦戦しないでスロープにたどり着く。


ショッピングモールは、

通常の建物の2倍の高さがある。

大きな空間を演出する為、

1フロアの高さが部屋の2倍。


その為、スロープの傾斜は高く、

誠は息を切らしながら後ろを付いて歩く。


一馬「隼人さん、先に行ってて下さい。誠と向かいます。」


朱華「だったら私も・・・」


一馬「いや、俺も頼りにしてるけど、朱華は最強戦力だから最前線で敵を一掃してくれ・・な?」


朱華はまんざらでもない表情を浮かべる。

一馬は朱華のあしらい方に磨きが掛かってくる。


黒羽(クロウ)「・・・時間が無い。追いつけよ」


一馬「ああ」


隼人は軽く笑みを浮かべ、前に進みだす。


瑠奈も不満げな顔を浮かべるが、

一馬以外は上に向かう。


一馬「誠、大丈夫か?」


誠「はぁはぁはぁごめん。」


一馬「謝るな・・・次謝ったら流石に殴る。とにかく息を整えろ!」


誠「ご・・・わ、わかった。」


一馬は誠を座らせ、

誠に残り少ない水を飲ませる。


味をかみしめるように、残り少ない水を飲み干す。


5分・・10分・・


一馬「よし、行くぞ!」


誠「う、うん。」


隼人達は屋上にたどり着く。

屋上には意外な光景があった。


六花「(すす)・・火を使った跡ね」


黒羽(クロウ)「ああ、確かに。テントまで」


屋上には以前、人が暮らしていた跡がみられる。

テントは風化し、加水分解を起こしボロボロだった。


隼人「ん~2、3年は経っているね」

瑠奈「わかるんですか?」


トーマス「これだな!ナイロン製のテントが指でボロボロになる。加水分解・・・経年劣化でどんなものでも砂のようになる化学現象だ」


瑠奈「そ、そうなんですね・・・」


朱華「化学の授業は後だ!」


六花「入り口はあそこですね。」


隼人「朱華さんと錬次くんは一緒に・・・」


隼人は入口の確保と確認の為、人員配置をする。


・隼人、錬次、朱華で入口確保と侵入確認

黒羽(クロウ)と武臣は周辺の確認

・六花と葵と瑠奈で周囲の確認

・トーマスは一馬が来るまで待機


隼人「瑠奈ちゃん・・・六花さんと葵さんからしっかり盗むんだよ」


隼人は瑠奈に悪戯な笑顔を向ける。


瑠奈「はい」


隼人「さてと、行こうか!」


()が真上を通りすぎ、傾き始める。

時折雲が光を遮り、建物に暗い影を落とす。

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