DAY99 残影と陰る道
日が傾き、夜になる為の支度を始める。
ガチャガチャガチャ
観音開きと自動ドアが降りた屋上入り口。
防火シャッターが内側から降りていて、
外側から太いチェーンと鍵が取り付けられている。
朱華「なんだい?」
隼人「丁寧に施錠してあるよ。ここからは無理かな・・・」
錬次「え?スレッジで叩けば一発じゃね?」
朱華「はっ!一馬の親友にしては単細胞だね。」
錬次「単細・・・俺が?そう?それで、壊す?」
朱華「ははっ」
錬次がスレッジハンマーを握りしめる。
隼人「待った、錬次君!ここまでするには理由があるはず。」
隼人は念入りに閉じられた、
入り口に違和感を感じている。
当然、朱華も理解していた。
朱華「別の入り口があるんだろうね」
隼人「そうだね、とりあえず戻ろう。」
隼人達は戻る事にした。
配置についている人間に声をかけ、集合するように促す。
一馬と誠が合流したので、作戦を練り直す。
隼人の考察を皆に伝える。
生活圏を維持する為に、以前の住人は、
屋上入り口を閉鎖する事を選択した。
ゲームの世界は置いておいて、
追いかけられ逃げる時、反射的に上に行こうとする。
今回のショッピングモールは、
上から下へスロープで逃げる事が出来る。
ゾンビが登って来れなければ、
生活圏の安全は最低限、約束される。
一馬「隼人さんの予想だと、誤算があった?」
隼人「そうだね。車で塞がれたスロープと白骨化した遺体・・・。」
隼人と黒羽の見立ては同じで、
白骨化した遺体は餓死によるもの。
骨折や裂傷による骨の傷が無く、
遺体としては綺麗に風化していた。
朱華「まわりくどいぞ色男。策はあるのか?」
隼人は苦笑いを浮かべ、考える。
黒羽「多分塞がれた別の入り口がある。」
隼人「そうだね。荷物の搬送エリアが必要だからね。」
一馬の脳裏に、嫌な予感をよぎらせる。
一馬「ち、地下から???」
黒羽「まぁそうなるな。」
一馬(なーにクールに"まぁそうなるな"だよ!お約束もお約束の地下侵入嫌すぎる!っとなると当然・・・)
隼人「今回は一馬君・錬次君・朱華さんと僕」
瑠奈・六花「反対!異議あり!」
六花「瑠奈さん流石です!では私から・・・」
朱華「おい!六花・・・」
六花の勢いは衰え、あからさまに肩を落とす。
六花は瑠奈にバトンを渡す様に手を差し伸べる。
瑠奈「隼人さんなんで私はメンバーに入っていないんですか?一馬!私まだ戦えるよ!」
隼人はバツが悪そうな顔をして、鼻を指で掻く。
隼人「瑠奈ちゃん・・・」
朱華「弱いからだ!」
隼人「朱華さん・・・」
一馬「朱華!黙ってろ」
朱華は不貞腐れながらも、あからさまに肩を落とす。
一馬「瑠奈、この状態は緊急事態でスピードが必要だ!わかるな?」
瑠奈「う、うん」
一馬「強引に進むには、力業が必要だ!」
瑠奈「う、うん」
一馬「朱華と錬次は腕力と機動力、俺と隼人さんは対応力。」
瑠奈「・・・」
一馬「サポートをしながら速攻をかますには、人数を増やせば増やすほど不利になる。」
隼人「1体1なら対応できるけど、それ以上は難しいんだよ。」
一馬「ここは屋上で攻撃は全て遠距離だろ?瑠奈も黒羽も置いて行くのにも意味がある。」
一馬は瑠奈に歩み寄り、肩に手を置く。
一馬「焦るな!今出来ることをしてくれ。」
一馬が肩に置いた手に力を入れる。
瑠奈「・・・まかせて」
一馬「よし!隼人さん時間が無い、行こう!」
隼人「だね!OK下へ向かおう。」
スロープを駆け下り、
ショッピングモールの正面入り口の裏手に回る。
廃車や瓦礫に埋もれた先に、
地下へ続くスロープが見える。
瓦礫をよじ登り、先へ進む。
隼人「なるほど・・・」
スロープまで、ゾンビが紛れ込まないように、
スロープを廃車と瓦礫の壁で覆っていた。
スロープに降りるには高低差があるが、
長めの脚立がスロープに放置されている。
一馬「なんて言うか、計画的に作った感じっすね。」
隼人「間違い無いかな。補給係が事故にあって、みんな餓死したんだ、そんなところかな。」
朱華「時間が無いんだろ?さっさと降りるぞ」
朱華は軽やかにスロープまで飛び降りる。
膝を柔らかく使って着地し、前転で勢いを殺す。
ガァー
朱華「!!!」
朱華にゾンビが襲いかかる。
朱華は低い体勢から、ゾンビの懐をくぐり抜ける。
ガガガガガ
抜けた先にもゾンビがいる。
錬次「うおおおおお」
錬次が朱華を襲ったゾンビに向かい、
飛び降りながらスレッジハンマーを叩きつける。
続いて隼人と一馬もスロープへ飛び降りる。
ドンッ
隼人は降りた勢いで前に転がり、
すぐさま体勢を整え銃弾をゾンビに撃ち込む。
一馬は錬次の肩に手を置いて、
スロープの壁を地面の様に蹴り走り始める。
ボウイナイフを抜き、
朱華の目の前のゾンビの頭を叩き割る。
ゾンビの肩越しからゾンビが姿を見せ、
朱華はゾンビの頭を殴りつける。
ドンッドンッドンッ
隼人は闇から這い出てくるゾンビを撃ち続ける。
コンクリートの壁を伝う様に、
銃声が空気を震わす。
日が陰り、深い闇を作り出す。




