DAY100 闇の中の宴
深い闇に灯る、非常灯が点滅している。
グシャッ
錬次「ぶふうううう」
朱華「なんだいッ!もう限界か?」
錬次「んなわけねーよ!っと」
大き目のトラックが抜けるスロープを下りると、
行き場を失ったゾンビの群れが、目を覚ます。
隼人は銃をホルダーに戻して、ナイフで応戦する。
接近戦において銃よりもナイフの方が速く立ち回れる。
一馬もボウイナイフをしまう。
そして一回り以上小さいサバイバルナイフに、持ち替える。
隼人はゾンビを捌きながら進んで行く。
荷物を出し入れする搬送エリア。
トラック荷台の高さに合わせた、小上がりの足場。
隼人は飛び込む様に、駆け上がり登って行く。
隼人は周囲を確認し、上への出入り口を探す。
一馬「あー何なんだよ!どんだけ居るんだよっ突入直後っすよ?一馬君奮闘して疲れまちた。」
隼人「あはは、まだ、余裕そうだけど?」
一馬「いやいやいやいや、もうげっそり!でしょ?」
錬次「ふうー」
朱華「どうだ?」
隼人「そうだね、従業員用の階段なら進めそうかな。」
一馬「さっさと回収して帰ろう。」
錬次「おう」
朱華「しっ」
朱華が一馬達の会話を止め、耳を澄ませる。
ガサッ
ゾンビの遺体が滑り落ちてきただけだった。
隼人「行こう」
従業員用の階段を登って行く。
電気が通っていないので暗くて視界が悪い。
懐中電灯を左手で構えながらゆっくり進んでいく。
ゾンビに襲われ、
死んでいった者達の亡骸が照らされる。
朱華「臭っ」
地下1階にあたる場所は、食品倉庫になっていた。
冷蔵庫や冷凍庫の電源は落ちており、
腐敗した匂いがこびりつき、鼻を刺す。
がぁああああ
潜んでいたゾンビが死角から、一馬を襲う。
一馬は身を半分ほど動かす。
一馬の作る空間に吸い込まれる様に、
ゾンビの攻撃が空を斬る。
そして、一馬のナイフがゾンビの後頭部を貫く。
奥へ進むと食料品は回収され、ゴミも散乱している。
隼人「・・・時間が経ってるね。」
雑に開けられた缶詰が、黒く変色し硬化している。
腐った食品もよく見ると、
床に溶け、硬く張りつく。
ゾンビは器用に階段の上り下りはしない。
惰性で雪崩れ込む様に動く。
決して音を立ててはいないのに、
上からのゾンビの反応は無い。
分厚いコンクリート構造のおかげなのか、
ゾンビの特性なのかわからない。
錬次「なんにもねーよ」
朱華「シケてやがる」
隼人「上なら何かあるかも」
隼人は壁に打ちつけられた、
ショッピングモールの店内地図を確認する。
1階部分に、大型の食料品売り場がある。
一馬「嫌な、間取りですね」
地下1階の倉庫とは違い、広く展開された間取り。
正常な世界で、多くの家族が集う空間・・・しかし。
一馬「覚悟決めた!よし、行きます」
キィィイイ・・・
錆と埃で扉は軋み、
重くるしい空気を流し込む。
・・・がぁぁ・・・ぁぁ
隼人が拳を上げる。
朱華は我関せずとズカズカ進んで行く。
一馬と隼人は目を合わせ、
呆れる様に、朱華の跡に続く。
隼人に合図をし一馬は横へ移動し始める。
ゾンビの背後に回り、
後ろから頭蓋骨へナイフを突き刺す。
倒れるゾンビを抱え、
ゆっくり床へとゾンビを降ろす。
錬次も一馬の動きを見るや否や、
ゾンビに回り込み頭をねじ切る。
錬次は武臣と行動するようになり、
確実に戦闘や戦略の幅が広がった。
そんな中、朱華は堂々と歩き続ける。
朱華の姿が見えていないように、
ゾンビが横を素通りしていく。
一馬「???」
一馬は隼人と顔を合わせるが、
隼人も肩を上げ、わからない仕草をする。
ゾンビが朱華に背中を向けた瞬間・・。
朱華はゾンビの頭をねじ切り、
分れた胴体を蹴り上げる。
ガランガラン・・・
一馬(馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿・・・・)
があああああ・・・
ドドドドドドドド
一馬「馬鹿あああああ!朱華っ!おい」
朱華「あはっ一馬、最っっ高の顔!!」
悪戯な笑顔を見せる朱華。
一馬「うるせー」
隼人「やるしかないね、錬次君」
錬次「おう!」
広い空間に広がり4人は戦闘態勢に入る。
ショッピングモール特有の広さ。
バラエティー豊富なゾンビ達が、
狂気を帯び襲い掛かる。
香ばしい汗と血の匂い、
そして新鮮な生肉を求め、狂喜し近づいてくる。
一馬「朱華っ!ついて来いよ」
一馬は息を整える。
全身の感覚を一つ一つ確かめる。
指の動き、皮膚の感覚、空気の感覚、
視界に入る情報、武器の感覚、呼吸は・・・。
一馬の空気が変わる。
朱華はそんな一馬の姿に興奮を覚える。
朱華(やっぱり最っっ高)
一馬はゾンビの半歩先の動きをする。
ゾンビの動きを演算し、逆算していく。
記憶と目の良さと、反射神経がなせる技。
朱華は考える事を止める。
一馬の戦闘力の高さに、
身をゆだね動く事に決めた。
一馬の反応に合わせる様に、
朱華の動きが速く回転し始める。
朱華特有の嗅覚と勘。
感覚だけで一馬の動きとリンクし始める。
隼人(台風だねアレは・・・今回はゾンビに同情するよ)
隼人は錬次の動きを確認しながら、
一馬と朱華の戦いを見守る。
深い闇の中で、狂喜と狂気が歌い踊る。




