DAY95 纏まる個性
月が赤く染まり、死を連想させる。
一馬(なぜ?なぜ?そうなった)
狂乱の血死潮12時間前。
隼人「今回の作戦配置を伝えるね」
簡易的に書かれた建物と周囲の見取り図を広げ、
隼人が狂乱の血死潮対策を周知する。
5階建の高さを生かし、
籠城作戦で今回は乗り切る。
・最上層に隼人と黒羽
・5階にトーマス、誠、葵
・4階に瑠奈、六花
・2階に錬次、武臣
隼人「あと、えー地上に・・・」
一馬(地上に?)
隼人「朱華さんと一馬くん」
一馬「え?えっ?え!えー?えっ?き、聞き間違いっスか?今回、籠城のはずじゃ?」
隼人「うん、そう考えていたんだけど・・・予備弾の都合もあってね」
隼人は悪戯っぽい笑顔を一馬に向ける。
一馬「いやいやいやいや!ねっ!じゃないですよ!素材天国でしょ?ココ」
隼人「確かにそうなんだけど・・・クラフト速度にも限界あるし、わかるでしょ?」
一馬「そんな爽やかな笑顔で言われても騙されませんよ!」
黒羽はニヤニヤしながら一馬を見つめる。
黒羽「俺の提案だ!喜べ」
一馬「おまっ、ぶっ殺す!」
一馬が黒羽に食ってかかろうとした瞬間、
朱華が一馬の首に腕を回し、引っ張りよせる。
朱華「初めてのデート、楽しもう」
六花「変われ!クソ野郎」
六花は激昂し、瑠奈は一馬を睨みつける。
一馬「錬次は?」
隼人「錬次くんは武臣さんとバディーでサポートに回るよ」
一馬「ぷ、あはははははは!冗談でしょ?錬次がサポート?」
錬次「脳筋のテンちゃんには無理でしょ!」
錬次が想定外の角度からカウンターをぶち込んでくる。
一馬「の、え?脳・・・脳きん?お、俺が?おま、お前が言うな!お前が!だれがだれを脳筋だと」
一馬は錬次に飛び掛かろうとするが、
朱華のヘッドロックが外れない。
一馬(ば、馬鹿力が・・・)
隼人「理由は身軽で近接先頭が出来て、体力的に余裕があるからだよ」
一馬は隼人の言葉に動きが止まる。
思い返せば一馬の体力は、
いつの間にか回復していた。
隼人「朱華さんは元アスリートだからそもそもペース配分が上手だし、この中で次に接近戦特化し、身軽で体力あるのは、一馬くんだけだから。錬次くんも肉弾戦だけど、今回はサポートに回る」
錬次の勝ち誇った顔にムカつきは隠せないが、
一馬は渋々作戦に乗る。
***(現在、狂乱の血死潮中)***
朱華「かずま・・・一馬っ!」
一馬「おっと」
物思いにふけていたら、
狂乱の血死潮が本格的に狂気を帯びていた。
一馬はゾンビの動きに合わせ、懐を掻い潜る。
ボウイナイフを叩きつけ、
ゾンビの機動力を削いでいく。
突進の勢いで、倒れ込むゾンビの頭へ、1発・・・。
ドンッ
一馬「・・・・・・」
朱華の全身の毛が逆立ち、鳥肌が立つ。
戦闘モードに切り替わった一馬を見て身体が熱くなる。
殺気を帯びた一馬に、朱華は興奮を抑える。
瑠奈は一馬と朱華の様子を確認しながら、
周囲のゾンビに火矢を放つ。
六花も瑠奈と同じ階層で、援護射撃を繰り返す。
スムーズな動作で淡々と射撃を繰り返す。
六花「瑠奈・・・」
瑠奈「え?は、はい」
六花「朱華様からの伝言だ!私の戦い方をよく見て焼き付けておけ・・・と」
瑠奈は一瞬驚きで固まるが、
胸が熱くなり闘志が湧き上がる。
六花は瑠奈の目を見て笑みを浮かべ持ち場へ戻る。
最上層で銃声が響き続ける。
黒羽が体勢を固定し、
遠方から一馬と朱華の援護をする。
隼人は動きながら、
黒羽の護衛と、一馬達の援護を両方行う。
錬次と武臣は、取りこぼしたゾンビを処理する。
錬次は扱い慣れない拳銃を使い、
ゾンビを撃ちまくる。
武臣を錬次に、
銃の扱いを見せつけるように動く。
手元が分かりやすく、
錬次の目線まで持っていく。
丁寧に空のマガジンを落とし、
新しいマガジンを装着させる。
トーマスは双眼鏡で周囲を観察しながら、
ゾンビのログを残す。
隼人「データはあって困る事は無いから、トーマスさんは観察と調査に専念して」
トーマスは戦闘に参加する気でいたが、
特性を活かし、作戦を組む隼人。
一馬が信頼する理由を理解する。
誠と葵はクラフトをしながら、
弾の補充や矢の補充を行う。
クラフト速度は遅いが、
弾切れの方が洒落にならない。
パワーバランスが歪なチームは、
次第に形が整えられ、歯車が噛み合っていく。
朱華は両手にダガーナイフを握り、
器用にゾンビの頭蓋骨に穴を空けていく。
朱華と入れ替わる様に一馬は動き、
朱華が動くと一馬は攻撃を譲る。
感覚と嗅覚で、
一馬の動きを察する朱華と
目の良さと脳の演算量で、
朱華の動きを先読みする一馬。
隼人「うわぁーすごいね」
黒羽「チッ、どっちが怪物かわからねえ」
無駄が無い身体操作と、
躊躇のない状況の取捨選択が、
動きを2倍早く見せる。
瑠奈「・・・・・・す、凄い」
六花「・・・」
トーマス「あの女は何者だ?一馬も・・・あんなに強いなんて」
錬次「テンちゃーーーーん‼︎‼︎デカいの、来るぞ!」
一馬の視線に大きな影が見え、朱華と視線を合わせる。
朱華は笑みを浮かべ、加速していく。
一馬は朱華の後を走り、朱華の周囲を目視する。
狂気を叩きつけられた者達が、
試練を乗り越えて、大きく形を成す。




