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DAY88 雷鳴が轟く贈り物

雨音が大きくなり、雷が姿を見せる。


トーマスはガレッジ(軍用大学拠点)にたどり着く。

何度かこの辺りには来た事はあるが、

今回のような凄惨な状態は初めて見る。


ガレッジ(軍用大学拠点)の奥へ進むと、

人が居た気配はあるが、人影はない。


トーマスは狂乱の血死潮(クリムゾンムーン)

ガレッジ(軍用大学拠点)付近の建物でやり過ごした。

今回の狂乱の血死潮(クリムゾンムーン)は、

比較的静かだったので印象的だった。


しかし少し遠くを覗けばゾンビの集団が、

川のようにガレッジ(軍用大学拠点)へ向かって行く。


トーマスは思い出すだけで身の毛がよだつ。

雨足が速くなってきているが、

立ち止まっている暇はなかった。


一馬がガレッジ(軍用大学拠点)を出発したのなら、

早くしないと追い付かなくなってしまう。

トーマスは折り畳みの自転車を担ぎ、

ガレッジ(軍用大学拠点)を超える。


強い横風と雨に煽られ、

トーマスの体力をすり減らしていく。

視界が悪く、

漕げども漕げども進んだ気がしない。


雨で塞がれた視界から建物が見える。

トーマスの脳裏にもしかしたらと過る。



廃倉庫の輪郭がくっきり見えてきた。

倉庫の周辺には先客の痕跡がある。

地面にタイヤ痕と足跡・・・。


トーマス(・・・・・)


警戒心が働くも、

それ以上に体力も限界にきている。

出来る限り音をたてないように、

慎重に扉に手をかけドアを開ける。


ギィ


トーマス「え?」


トーマスの視界が暗くなり意識を失う。


トーマスが目を覚ますと

パンツ姿で手足が、

結束バンドで固定されている。


朱華「おい」


トーマスの腹部に、

朱華の長い脚が振り抜かれる。


トーマス「うぐぅ、な、な、何しやが」

朱華「おい、ブタはブーブーだろ?」


容赦のない蹴りが、トーマスを襲う。

トーマスの恥辱の時間が始まる合図だった。


***(数時間後・・・)*******


トーマスを朱華から解放した一馬は、

ひとまず雨具を片付け、詰所に戻る。


トーマスは朱華に怯えながら、

パイプ椅子に腰かけ固まっている。

朱華は離れた所で、

酒を飲みリラックスしている。


一馬「トーマス・・」


トーマスは一馬に気づき満面の笑顔を見せる。


一馬「ところで何でここにいるんだ?」


一馬は素朴な疑問をぶつけていく。


トーマスは戦えないわけでは無いが、

生物学者が本来の姿で最低限の戦闘力。

生きてやっと戻れたギバーを、

離れる理由が見つからない。


トーマス「一馬・・お前を追って来たんだ。」

一馬「んっ?なんでだ?」


ガチャガチャガチャ


複数の人間が入ってくる音が聞こえた。


隼人達も周囲の捜索から帰って来た。

瑠奈や錬次達も、

周囲の補修と確認から戻ってくる。


一馬「まぁ話は後だ。とりあえずみんなに紹介する」


一馬は戻って来た奴から順番に声をかける。


朱華「アイツは私が捕まえた・・・ふふ」

六花「流石です朱華様・・」

葵「はじめまして。誰ですか?私、葵って言います。」

黒羽(クロウ)「・・・・・」

武臣「・・・・・」


朱華たちは相変わらずのマイペースで、

それぞれ好きな事をやりながら聴き耳を立てる。


隼人「一馬くん・・・誰か紹介してくれるかな?」

一馬「はい、こいつは・・・」


トーマスはギバーの主人であるジョーカーの弟。

この世界のターニングポイントである

「変電所」で隠れていた生物学者。


元々は細菌学者の妻「アリー」と共に、

変電所へ向かうも菌感染の犠牲者となる。

そして感染と共に生まれた子供と

取り残される形で変電所を占拠していた。


瑠奈「こ、子供・・・は?」


一馬は首を振る。

一馬はトーマスの子供の死を見届け、

負傷したトーマスを連れギバーへ戻った。


隼人「なるほど。一馬くんはトーマスさんの命の恩人でもあるんだね」

トーマス「・・・はい、一馬には返せないほどの借りがあります」


一馬「おい、借りなんてみずくさいな」

錬次「そうそう、返さなくて問題ナシ!」

一馬「おい、わかって言ってんのかよ」

錬次「まったく!で、何?」

一馬「マコちーん・・」


誠「あっはいはい。錬次くんお腹すかない?」


誠は錬次を連れて詰所から離れる。


一馬「大方こんな感じです」

隼人「なるほど、それで一馬くんを追って来た理由は?」


トーマス「俺を死の大地へ連れて行って欲しいんだ」

隼人「護衛?って事、目的は?」


トーマスは頷く。

続けて死の大地へ向かう理由を話し始める。


緊急アラートが鳴り、

ヨルガンド出現後に一馬は出発した。

その後、部屋と倉庫を片付けていると、

細菌学者であるアリーに研究資料を発見する。


研究資料には細菌の事はもちろん、

ワクチンの製造方法も記されていた。

そして、製造が出来る人物リストもあった。


そのリストの中に、

死の大地付近のギバーを拠点としている。


本来は顔も見たくない男だが、

アリーと同じく非凡な細菌学者。


黒羽(クロウ)「・・・・ワクチン。どんなものだ?感染しない程度なら・・」


トーマスは黒羽(クロウ)の話を遮る。


トーマス「殺すワクチンだっ!」


ゾンビを無力化させるワクチンを、

トーマスは作ろうとしていた。


落雷が地面を叩き、破裂音が響き渡る。

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