DAY81 最強のチーム
焦げた匂いと硝煙の匂いが立ち込める。
瑠奈と黒羽達は、
朱華と錬次の姿を見つける。
黒羽「チッ」
ダダダダダダダ
休む暇もなく、
ゾンビの群れが襲いかかる。
黒羽が、
瑠奈の様子に落ち着きがない事に気がつく。
黒羽「おいっ」
瑠奈「……」
黒羽「おいっ」
瑠奈の肩を掴み、
意識を向けさせる。
瑠奈はそれでも朱華と錬次から視線を逸さない。
黒羽も周囲を見渡す。
黒羽(一馬がいない‼︎)
黒羽はなんとなく、
瑠奈の探しているものが一馬である事を察した。
黒羽「おいっ!一馬は大丈夫だ」
瑠奈「え、え?」
黒羽は頭を掻きながら、
吐き捨てるように呟く。
黒羽「一馬はこんな事じゃ死なない。いいな」
短い黒羽の言葉に、
瑠奈の目に力が灯る。
瑠奈は走り出し、
ゾンビを足場に朱華の元へ飛び出す。
朱華は瑠奈の姿を目の端で捉え、笑みを浮かべる。
朱華の動き方が変わる。
力押しで戦っていたが、
瑠奈を見るなり軽やかに動き始める。
錬次のスレッジハンマーが、
風切り音を出しながらゾンビに叩き込まれる。
タガの外れたゾンビの力押しにも、負けない怪力。
錬次の死角から、ゾンビが襲いかかる。
錬次は気配を感じる振り返ると、
武臣がゾンビの頭を鷲掴みにし、制止させる。
錬次は武臣を一瞥して、
周囲のゾンビとの戦闘に集中する。
六花はショットガンを構え、
周囲のゾンビに散弾を撃ち込んでいく。
朱華と瑠奈に近づく大きな影。
黒羽「朱華ー離れろ!!」
黒羽は大きな声を発し、
ライフルを朱華達の方へ向ける。
レンズの先に、デトネーターが映り込む。
ドンッ…
強く叩かれ、ライフルから飛び出した弾丸は、
空気を割き、デトネーターへと向かう。
デトネーターの頭蓋を撃ち抜く。
胸の起爆ランプが、静かに消えた。
デトネーターは倒れ、
ゾンビの群れが踏みつける。
デトネーターの爆弾は起爆しない。
黒羽(頭だな…何かしらの信号で繋がってるんだな…。)
朱華と瑠奈の動きがシンクロし始める。
瑠奈は朱華の動きを目で追い、朱華の動きを模倣する。
朱華は瑠奈に手本を見せる様に、
空間を泳ぎながらゾンビをなぎ倒す。
錬次と武臣の怪力コンビも、
偶然だが、息のあった動きを始める。
六花(いける!このチームは強い)
六花は瑠奈がこれ程、動けるとは思っていなかった。
そして生き生きと技を魅せている朱華の姿が、
何よりも嬉しく感じていた。
かつては朱華の技を学ぼうと試みたが、
身体能力はの限界があった。
それでも捨てずに信頼し、そばに置いてくれてる朱華。
たまに退屈そうに、
寂しそうな顔をみせる朱華を見ると、
心がサワついていた。
六花「(朱華様を楽しませて…)黒羽!後ろ任せて」
黒羽は頷き、
ライフルからハンドガンに持ち替え、
ゾンビを次々と倒していく。
黒羽はゾンビと対峙しながら、
隼人と一馬の姿を探す。
黒羽(さっさと来いよ…)
**********
一馬と隼人は鳥の群れに苦戦を強いられている。
建物の中に避難すれば合流が遅れ、
最悪距離が離れてしまう可能性があった。
隼人「(上から行くしかないが…まいったね。)一馬君。一馬く…」
隼人は一馬の方を向くと、
一馬は鳥の群れから視線を外さず集中していた。
一馬の眼球は細かく早く動き続ける。
元々の目の良さに加え、戦闘で鍛えられた動体視力。
視界に捕えた物を瞬時に記憶する。
一馬の頭の中は、
演算をするかのように情報を整理している。
隼人は何が起こっているかはわからないが、
一馬の様子をじっと見守る。
一馬「隼人さん」
一馬の情報処理が終わる。
隼人「なに?」
一馬「あの群れの中央に1羽だけ動きがズレている鳥がいます」
隼人「ズレてる?」
一馬「はい、特徴はあまり差は無いですが、あえて言うなら少し小さくて胸元が少し白い?かな…」
隼人はスナイパーライフルに持ち替え、
レンズを覗き込む。
群れの中心で1羽だけ少し下位置で飛んでいる。
一馬「あいつ撃てますか?」
隼人は笑みを浮かべる。
一馬「僕が出てひきつけます。」
一馬は隼人の返事も聞かず、影から飛び出す。
隼人は一馬の意図を読み取ったのか、
静かに態勢を整え、スナイパーライフルを鳥の群れに向ける。
群れの動きに合わせるように、滑らかに銃身が動く。
群れは一馬に気づき、
反転して一馬に向かって、猛進してくる。
隼人「ふぅぅぅぅぅぅ………」
スッ
ゆっくり吐き、軽く息を吸い呼吸を止める。
ドンッ
スナイパーライフルの反動に預けるように、
上半身が後方に揺れる。
弾丸は大外から、数体のゾンビ鳥を貫き、
目標の鳥を正確に貫く。
一馬の猛進している鳥の勢いが止まらない。
一馬「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ボトボトボトボト
一馬の目の前で、鳥たちが急転直下に落ちていく。
一馬は腰が砕け、座り込む。
隼人の方を見ると、
一馬の姿に笑いながら手を振る。
隼人が一馬に近づき手を差し伸べる。
隼人「大当たりだね。さすが」
一馬「はは、漏れそうになりました」
隼人「あははは」
一馬「先に進みましょう」
隼人「だね、行こう」
一馬と隼人は再びみんなの元に向かい走り出す。
赤い月はまだ沈まない。




