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DAY77 爆轟に崩れた北東戦線

赤い月が照らす空に、

大きな狼煙が立ち上がる。


キィイイイイイイイイイイイイイイ…ン


鳴りやまない耳鳴り。

視界は歪み、思考はまとまらない。

頭だけが、ゆらゆらと揺れていた。


「………」


何かが聞こえるような…。


「………い」


何かが聞こえている?

意識が朦朧とし、状況把握する事すら放棄している。


「…おい、六花!」


六花の意識が広がる様に戻っていく。

六花の眼の前に黒羽(クロウ)が立ち、叫び声を荒げる。


黒羽(クロウ)「おい、立てるか!隼人さんッ」

隼人「こっちは任せ…て」


ダダダダダダダダダダ

ダンッダンッ


黒羽(クロウ)「ほら、行くぞ!」


黒羽(クロウ)が屈んで、

六花を強引に立ち上がらせる。

六花は立ち上がり周囲を見渡す。


爆発に巻き込まれた傭兵の亡骸と、

吹き飛んだゾンビの残骸。


六花は状況把握に努めるも、

銃声も黒羽(クロウ)の怒声も聞こえない。


六花「朱華…様」

黒羽(クロウ)「チッ、それどころじゃねえよ!いいから行くぞ……隼人さん」


隼人は手をあげ、

黒羽(クロウ)達を援護しながらその場を離れる。

隼人は周囲に視線を素早く回しながら、

状況と分析を行う。


南側、元々の侵入経路は捨て

今回は北東と北西にポイントを絞り待機していた。


北東には広い運動場がある。

ひらけた地形ゆえに、

ゾンビの侵入導線をコントロールしにくく、

防衛地点としては最も脆い。


広い空間は遠距離が得意な隼人と黒羽(クロウ)で固め、

六花の指揮で傭兵を多く配置した。


東西は近接戦闘最強の一馬・朱華・錬次を配置し、

東西で挟むように、

瑠奈と武臣に傭兵を数人で、誠と葵の護衛に回る。


隼人は援護しながら思考を高速回転する。

隼人の疑問は「なぜ、爆発したのか?」この一点である。

今回の戦闘において、

地雷を用意する程の素材は無かった。


しかも強固な建物側を吹き飛ばす程の破壊力の爆弾。

隼人の視界の奥に一体のゾンビが映る。


胸元に赤い光が点滅している。

防弾ベスト中央に爆弾をくくりつけている。


隼人「…デトネーター…ははっやば(笑)」


ゲームでは高難易度になると出てきた起爆型ゾンビ。

防弾ベストに大柄な体で、胸の中央に強力な爆弾ついている。

赤いランプが胸元で点滅していて、

銃弾を当てたりナイフを当てると衝撃で起爆し爆発する。


コンクリートの壁を吹き飛ばすほどの威力。


隼人は思考は静かに水面のように速度が落ちる。


ダン……


弾丸は一直線にデトネーターの胸元を貫く。

胸元から大きな光が広がり周囲を巻き込む。

爆風と共に大きな音が、

ワンテンポ遅れて聞こえてくる。


隼人は腕で顔を隠し、

身を屈め爆風から身を守る。


2回目の爆発で建物が崩れ、

ゾンビの侵入経路を塞ぐ。

デトネーターに追従していたゾンビ共も、

爆発に巻き込まれ吹き飛ぶ。


隼人の狙い通りではあるが、

この短い時間に2体もデトネーターが現れた現実。

隼人の嫌な予感が直ぐに再現される。


ドォオオオオン


大きな爆発音と共に、

ガレッジ(軍用大学拠点)南西から大きな煙が上がる。


走りながら隼人は状況整理に入る。

北東は侵入は回避できたが、動けなくもなった。


南西で爆発は起きた。


だが、迷路のような構造上、

そこからゾンビが最短で雪崩れ込むには無理がある。

それでも、別の脆弱箇所を掻い潜って、

群れは流れ込んできていた。


隼人「(でも…時間の猶予はないね…)黒羽(クロウ)!中央班と合流しろ!」

黒羽(クロウ)は隼人と視線を合わせ、大きく頷く。


隼人はギアを一段上げ一馬の元に走る。

走りながら隼人の視界の隅に、

ゾンビの群れが確認できる。


2つ目の想定が的中していた。


要塞の様なガレッジ(軍用大学拠点)の、

脆い部分を掻い潜りゾンビの群れが流れてい来ている。


長い間メンテナンスもされていない

腐敗したバリケードなど、

圧倒的な暴力の前ではハリボテ同然だった。


ダンッ

ダンダンッ…ダン


隼人は動きながら、ゾンビの数を減らす。

建物と窓に造られた

鉄格子の隙間を利用し弾丸を打ち込む。


隼人(やばい…クライヤー!)


隼人がクライヤー(叫喚型)に気づき、

反応し銃弾を撃ち込む。

クライヤー(叫喚型)の頭を打ち抜きクライヤー(叫喚型)が倒れる。


しかし、重なる様に、

もう一体のクライヤー(叫喚型)が立ちすくむ。


隼人「まじ…」


クライヤー(叫喚型)が大きく口を開き、奇声を放つ。


その音は人間の耳にはあまりにも不快で、

隼人も耳を塞がずにはいられない。


一瞬、隼人の動きが固まる。

その時、上からスキャヴァーが襲い掛かる。


隼人「くっ!」


スキャヴァーは隼人に覆い被さり、

喉元へ牙を突き立てようとする。

隼人は器用に体を捻り、その一撃をかわす。


ドンドンドン


ハンドガンに持ち替え、

スキャヴァーの腹部に弾丸を打ち込む。

スキャヴァーに痛覚があるかはわからないが、

驚いたように隼人から離れようとする。


しかし隼人はスキャヴァーの肩を掴み、引き寄せる。


スキャヴァーが体を離した事により距離が出来、

スキャヴァーの顎に銃口を突き上げ打ち抜く。


ドンドンドン…


隼人はスキャヴァーの体液を

大量に浴びたがスキャヴァーは力尽きる。


スキャヴァーを振り払い、

隼人はすぐさま戦闘態勢に入る。

死角を狙ってくるかのように、

ゾンビが襲い掛かってくる。


ドンドンドン

ドン

ドン

ザクッ…

ドンドン


隼人は後退しながら、

ゾンビを回避し次々と倒していく。


ザシュ…


隼人「ぐっ」


折れ、ねじ曲がった鉄の柵が突き出し、

隼人の腕を切る。


素早くガンホルダーに銃を収め、

ゾンビの手を捌き頭をねじ折る。

崩れるゾンビの動きとリンクするように、

銃をガンホルダーから抜き頭を打ち抜く。


ドンドン…カチ


横から来るゾンビに、

ハンドガンのグリップを叩きつける。


流れるようにマガジンを落とし、

左手すでに装備していたマガジンを取り出していた。


ハンドガンにセットし、銃を構える。


ドンドンドン…


ゾンビの追撃を躱し、

懐に踏み込み頭に一発。


もたれ掛かってきたゾンビを引き込み、

盾代わりにして、もう一体へ押し付ける。


間に挟んだゾンビを利用し、

体勢を入れ替えゾンビの後ろに回る。


ドンドンドン………


隼人は周囲を確認する。

窓際にはゾンビはいるが、

隼人に襲い掛かってくるゾンビは始末した。


隼人「ハァハァハァハァ……」


隼人は汗を拭い、深呼吸をする。

再び一馬との合流を目指す。


赤い月が深く暗い影を落とす。

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