表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/74

DAY70 朱色に咲く華の火蓋

ドン

ドンッ…


銃声と共に朱華と隼人の、戦闘が始まる。


隼人「くっ⁉」


隼人の放った弾丸は虚しく空を切る。

同時に膝に激痛が走り、隼人は思わずそこを押さえた。

隼人の足元には、

ゴルフボール大の鉄球が転がっている。


隼人は銃を素早く構え直し、朱華を狙うが…。


隼人(いない?)


視界の先に朱華の姿は無く、

隼人は目の端で捕えようと細かく視界と頭を動かす。


視界の右端に朱華の影が映る。

隼人が円を描くように、

足を後ろに半歩ズラし、体を半歩右に動かす。


隼人の照準は朱華の姿をとらえる。

一瞬早く朱華は右こぶしを叩きつけようとする。


隼人も一瞬早く反応し後ろに下がると、

視界から朱華の姿が消える。


隼人(低い⁉)


気が付くと朱華が懐深く踏み込んできている。

膝の脱力と共に大きく歩幅を伸ばす。

器用に曲げたひざ下を、

横から回し入れるように推進してくる。


隼人(タックル‼)


隼人は一歩足を後ろに下げ、

朱華と間合いを取ろうとするも…

曲げたひざ下の足を器用に動かし、

更に間合いを詰め、踏み込んでくる。


隼人は危機感を感じ体勢を整え反撃を試みる。

ここで朱華は、

定石には無い動きをする。


朱華は推進力を利用し立ち上がり、

同時に隼人の銃を強く握りこむ。


隼人の右の腕を中心に、

腕を跨ぐように右足を放り投げる。


朱華の右脚が地面に着地すると同時に、

左脚が跳ね上がり、隼人の首を刈り取ろうとする。

隼人は間一髪の所で躱すが、

銃身がテコの作用で手首の関節に負荷を与える。


銃を手放し、隼人は朱華から距離を取る。

朱華は立ちながら

エビ反りの体勢を保ち、

隼人をあざ笑うように見つめている。


隼人(……まずいね。僕の苦手なタイプかも。)


隼人は長い間、

特殊部隊で戦闘技術を教えてきていた。

研鑽に研鑽を重ねれば重ねる程、

太刀打ちできない才能がある。


隼人(…天才肌の本能タイプ)


格闘技は、技が注目されがちである。

・どんなパンチを撃ったのか?

・どんな蹴りを当てたのか?


しかし実際に戦う人間は、

膨大な予習と反復練習で強くなる。


特に守る技術は、

どれだけ練習したかによって、実力差を左右する。

後は身体能力の差と相性と運で勝負が決まる。


朱華の戦闘の組み立て方で、隼人は確信した。


隼人の目の前にいる女は、

積み上げた練習量すら、

センスで踏み潰してくる稀有な存在だと


隼人の脇腹から、

黒く濁った染みが広がっていく。

ここまでくる間に、

弾丸が脇腹に食い込んでいる。


隼人「(はーどうするかな…?)はぁはぁ。君、総合格闘技か何かしているの?レスリングとか?」


隼人は回復する為に、

朱華とあえて会話をする。


朱華「んー………だ・ま・れ!」


朱華が奪い取った銃を遠くへ投げ捨て、

隼人に一直線に襲い掛かる。

隼人は素早く身構えるが、

朱華の足元が地面から離れる。


一馬「ドロップキックーゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」


瑠奈が声に反応し後ろを振り返る。

すぐ後ろで、

大声を上げる声に、瑠奈の顔が強張る。


瑠奈「誰?」

女「彼(錬次)の事、少し見せてくれる?」

瑠奈「あ、あなた…は?」

葵「私は葵です。話は後でね。ちょっと待ってて。」


葵は小さな瓶を取り出す。


瓶の中身は”アンモニア液”が入っていて、

錬次の鼻のすぐ下に瓶口元を数回動かす。


”アンモニア”の強烈な匂いに、

錬次の意識が強引に引っ張り出される。


錬次「ゴホッゴホッ、臭っ!えっ何この匂い…」


咳き込み、起き上がる錬次。


誠「錬次君!」

瑠奈「錬次っ!」


目覚めた錬次に一馬は近づいていく。


錬次「だ、誰だ?」

一馬「おいおいおいおいおいおいおいおいおい!寂しい事、言うじゃないの?お前の大親友の一馬様を忘れたとは、ひでぇー不届き者だなぁーたたっ斬る。」


一馬は握りこぶしを錬次の胸に軽く叩きつける。


錬次「か…かず、一馬?天海…一馬?マジで?テンちゃんかよ?」

一馬「ああ、そうだよ!ボロボロじゃねえか。でも生きててよかったよ。」


瑠奈と誠は錬次の態度に驚き、

瑠奈は一馬を睨みつける。


一馬は瑠奈の視線に気が付いていたが、

葵の肩を叩き、朱華と隼人の方に向かう。


黒羽(クロウ)「六花…戦況は?」

六花「黒羽(クロウ)?いつのまに?」

黒羽(クロウ)「ああ、葵が危なかったんで合流した。」

六花「葵が?ねぇ、葵大丈夫なの?って、(あれは?)なぜ葵が何故あいつ等の所にいるの?」


黒羽(クロウ)が黙ったまま、

朱華と隼人の戦いを見つめている。


女性ならではの関節の柔らかい可動域に、

立体的な近接戦闘スタイル。

そして女性とは思えない腕力と、野生勘。


野性的な嗅覚が、天才的な判断力を生み出す。


***(合流の少し前)*******


黒羽(クロウ)「おい、葵いるか?おい!あの馬鹿どこにいって」


葵が黒羽(クロウ)の後頭部を、本で殴りつける。


一馬「ピュゥゥー(口笛を鳴らす)ナイスゥ!」


黒羽(クロウ)「いっ痛ー何するんだよ‼」

葵「馬鹿って言ったでしょ?馬鹿はアナタよ!…あれ、一馬?一馬じゃない?どうしたの?やっぱり仲間になりに来たんでしょ!」


一馬「うんうん僕、葵ちゃんの為なら火の中水の中ゾンビの中にでも入ります。はい。」


黒羽(クロウ)「(苛々)随分と仲良しだな?おいっ!」


黒羽(クロウ)は苛々しながらも、

葵が生きている事に安堵した。


一馬「冗談はさておき、葵ちゃん…協力して。」

葵「協力?できる事なら別にいいけど…」


一馬は大まかな流れを葵に説明する。


・合流して、葵は瑠奈たちの保護に回る。

・一馬が朱華と戦う。

黒羽(クロウ)はとりあえず、口出しはしない。


葵「……本当に、朱華姉と戦うの一馬?」

黒羽(クロウ)「……朱華は絶対実力主義だからな。どちらにしてもこのままなら、一馬の仲間が殺される。葵…嫌だろお前、そういうの?」


葵は俯いたまま考え込む。

葵が顔を上げ何度も頷く。


葵「わ、わかった。一馬…朱華姉、すごく強いよ?」

一馬「黒羽(クロウ)から、来るまでに聞いた。」


黒羽(クロウ)は一馬に朱華の戦闘スタイルを聞いていた。

朱華の本業は、プロレスラー。


好戦的な性格で負けず嫌いな為、

あらゆる格闘技術を習得していた。

その習得方法の殆どが道場破りだった。


しかし朱華の戦い方で

特筆すべき所は野生の勘だ。


当たるはずの攻撃が当たらない。

意外な攻撃の組み立て方をしてくる。

先の先でも後の先でもない。

その時の適切な攻撃行動を直観で行う。


**********


黒羽(クロウ)(隼人さんでも勝てない。相性が悪い。一馬…気合入れろよ。)


一馬は防戦一方の隼人を、

見つめながら朱華に近づいていく。

朱華が拳を叩きつける瞬間、

一馬が横から割って入る。


朱華の右手首を握り、

右腕を支点に跨るように右脚を振り抜く。


右脚が地面に接地した瞬間に、

左脚で朱華の首を刈り取ろうとする。

朱華が掴まれた腕を視点に、

両足を脱力させ一馬よりも態勢を低くする。


振り子のように動く朱華の体重が、

一馬に乗りかかり、一馬の態勢を崩す。


一馬の顔が下がり床を見つめた瞬間、

一馬の左目を朱華の抜き手が狙う。

一馬は寸前の所で抜き手躱し、

腕を拘束を切り朱華から距離を取る。


朱華は仰向けになりしばらく動かない。


朱華は頭を掻きながら、

起き上がり髪をかき上げる。


朱華はその場をうろうろしながら、

一馬を見つめ品定めしている。


朱華「お前…おっさんの仲間なの?」

一馬「………ああ。」

朱華「私は、お楽しみの最中に水を差されるのが嫌いでね…」

一馬「ああ、俺も同じだ。」

朱華「じゃあ……………なぜ?」

一馬「何ですか?弱い者を虐めるのが趣味ですか?ダサいなぁーとてもダサいなぁーアンタよりもお強い男が居るのになぁー。本当に強い相手は?正直、内心ビビッてるんじゃないの?怖いなぁー怖いなぁー。…てね。」


朱華の形相が変わる。

身体全身から殺気が充満している。

力みで筋肉は膨張し、

興奮で血管が浮き出る。


朱華が口を開こうとした瞬間…。


一馬「こいよ!遊んでやる。」


朱華が目元を強張らせながら、笑みを浮かべる。

しかし笑みは直ぐに消える。


朱華「上等っ」


朱華攻略の火蓋が切って落とされた。

月明りが、2人の輪郭をなぞる様に照らす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ