DAY69 分岐の先に立つ虚実
ザッザッザッザッザッ
ザッザッザッザッザッザッ
ザッザッザッザッザッザッザッ
迷路のように封鎖されるガレッジを
2人の男が走り回る。
黒羽「一馬、この先には進んだことは?」
一馬「ほっほっ…え?先…?」
黒羽に一馬は、
リポイスを伝えている。
一馬は走りながら、
頭で整理しながら話し出す。
初回のガレッジ攻略は
あっさり幕を閉じた。
元々、ガレッジは
軍が占拠し管理していた。
ゾンビの侵入対策として、
至る所に地雷を設置させてあった。
軍が撤退する際、
撤去し忘れた地雷がいくつか残っていた。
その一つを一馬が勢いよく踏み抜き、起爆させた。
黒羽「はあ?地雷を踏み抜いた?バイクで?…ぷっ、あーははっはっははははははははっはははははは」
一馬が鬼の形相で黒羽を睨みつける。
一馬「仕方ねぇーだろ!もう話してやらん」
黒羽「ヒー、悪い悪い。いいから話せ…ふぷ…ゴホッ」
黒羽は必死で笑いを堪え、
一馬は不服と言わんばかりに睨みつける。
しかし、生存戦略として
状況の説明は必要だと判断し、
一馬は走りながら、渋々話を続ける。
一馬のリポイスは、本来なら始まりの一日目に戻る。
しかし変電所で仲間を失い、自殺を図ったその日を境に、
リポイス先にランダム性が生まれた。
一馬のスマホには”死亡ペナルティー”の一文。
黒羽「自害…ランダム…死亡ペナルティ…?」
当初は同じ出来事や同じ道筋をたどる事が、
正解だと一馬は考えていた。
ここで、”死亡ペナルティー”による
法則崩れが、一馬を悩ませる。
戻る位置と日にちの歪みが、
一馬の行動原理を強制的に変えることになった。
黒羽「朱華と逢った事があるって言っていたよな?」
一馬「ああ。でも実際に顔を合わせたのは、2回だけで残り1回は接触しなかった。」
一馬の推測では
”セーブ”ポイントは無いが、
”分岐ポイント”が存在するのでは?
と考え確信に変わったのは、
ガレッジ初攻略のリポイス。
戻され飛ばされた所は、
”スクラップの街”の10日目だった。
一馬は変電所へ引き返そうと考えたが、
地下下水管の大爆発で地面が陥没していた。
黒羽「お前と逢った所か?」
一馬「ああ、お前が俺にボコられた所だよ!」
黒羽「はは、チッ、面白い冗談だな…おい」
走りながら2人は睨み合うも、
一馬は話を続ける。
爆発による地盤沈下が
リポイス先の世界線で存在する事実が、
”分岐ポイント”がある事を確信した。
マリアのギバーに
よく足を運んでいる2人組の事を確認する為に、
一馬はとりあえずマリアのギバーへ足を向ける。
黒羽と葵に合流する為に動き出す。
この行動で初めて朱華と顔を合わせる。
朱華は背が高く、容姿端麗で、
遺伝子レベルのサディストだ。
“女王様”という像を思い浮かべるなら、
朱華以外あり得ない…そう言い切れるほどだった。
黒羽と葵は、
基本動き回っているので拠点にいなかった。
その代わり、一馬は傭兵に、
捕まり朱華におもちゃにされる。
鎖で繋がれ連日連夜、
ゾンビの侵入ルートに立たされる。
黒羽「……ああ」
黒羽が同情する表情が、
一馬の古傷を刺激する。
・下水道爆発の痕跡の保存
・朱華との出会い
・瑠奈達と隼人との再会
・仲間が死なない世界線の認知
・上がる攻略の難易度
・新展開と停滞
・黒羽と葵の死
・リポイスで出来る事、出来ない事
・作れる物と、作れない物
・それぞれの役割と攻略のパズル
黒羽「……なんとなく理解はしたが、俺とアイツを死なせない理由は?ヨルガンドを倒す為に必要だとなぜ?断言できる。」
一馬「俺が10回も死んだ理由の一つだよ。”焼夷弾”…お前が居ないと作れないんだよ。」
黒羽は少し考え込む。
納得するように頷く仕草を示す。
黒羽「とりあえず続きは後だ…」
一馬「ああ、そうだな」
**********
「ぐはぁ、はぁはぁはぁはぁ」
「錬次君‼」
隼人と瑠奈が錬次と合流する。
隼人の視界に映る男達は、
錬次と誠そして知らない男。
男は錬次の胸ぐらを掴み殴りつける。
隼人は急いで駆け寄り、
男をナイフで切りつけに行く。
男はナイフを持つ隼人の腕を中心に、
腕で小さく円を描くように、ナイフを捌き躱す。
武臣「仲間…だな。名前は?」
隼人「倒したら教えてあげるよ」
武臣「わかった…俺は、タケオミだ。」
隼人「はいはい」
武臣も隼人もベース戦闘術の違えど、
どちらも近接戦闘に特化した熟練した戦士だった。
腕を取り合い、足元を崩しにかかる。
立ち位置を取り合い、
”先の先”を取り合う。
瑠奈「誠!手伝って、早く」
瑠奈はその隙に錬次の救出をする。
拮抗する接近戦を制したのは隼人だった。
何も握っていない手に
”骨のナイフ”が握られている。
音声認識を利用した、
簡易クラフトテクニック。
武臣の右内腿には骨のナイフが深く突き立っていた。
その痛みで、武臣の反応が一瞬鈍る。
その隙に隼人はメインナイフから手を離し、
ハンドガンへ持ち替えていた。
右腰から抜いたままの角度で、
武臣の左内腿に弾丸を打ち込む。
武臣は一瞬早く銃口の位置をズラも、
弾丸が肉をえぐる様に掠めていく。
武臣「ぐっ、ふん」
武臣が力押しで右こぶしを突き出してくる。
隼人は身を低くして、
武臣の懐に潜り込み体をくっ付ける。
右内腿に刺さった
骨のナイフを持ちひねる様に押し込む。
武臣が激痛で膝から力が抜け、
武臣の動きに合わせ、隼人が勢いよく突き放す。
武臣に向かい隼人は銃を構える。
パン
パン
パン
パンパン…
大きな空間に、
手のひらを強く叩く音が響く。
二人の女が、室内テニスコートに姿を現す。
一人は背の高い女。もう一人は小柄な女だった。
背の高い女は
不敵な笑みを浮かべ、歩み寄ってくる。
隼人「………」
女「退屈だと思って来てみたら、武臣?無様な姿だなあーおいっ‼」
武臣「………」
隼人「(やれやれ、本命の登場かな)あなたは?」
女「んっ?それより私と一戦しないか?もし私を満足させれば全員生かして帰してやるよ…負ければ…そこの女以外は殺す。」
六花「朱華様…」
朱華「いいかい色男…」
六花「朱華様」
隼人「(戦闘狂タイプね)ルールは?」
朱華「ルール…あは、無いね‼いいよ使いなよ。その水鉄砲…あははははははは」
隼人「では、遠慮無く」
ドンドンッ!
隼人は返事と共に攻撃態勢に入る。
大きな空間に響く銃声が、空気を震わせる。




