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DAY65 炎の中に灯る縁

夜が濃くなり影が一層深くなっていく。


銃弾が絶え間なく

ガレッジ(軍用大学拠点)東棟へ撃ちこまれる。


隼人と瑠奈は

銃撃の雨の中4階の先へ進み…

錬次は誠と合流し

非常階段を降り3階に避難する。


窓から差し込む光だけを頼りに

錬次は奥へと進んで行く。


誠は身を縮めながら錬次の後をついていく。

錬次が意気揚々と歩き進んで行くから、

誠は生きた心地がしない。


突然、暗闇から

傭兵が錬次に向かいナイフを突きつけてくる。

錬次は誠を突き飛ばすと同時に

頭を引き身を捩りナイフをよける。


傭兵は足元の位置を整え

即座にナイフを振り回してくる。


「ぐはぁ…」


一瞬早く錬次の拳が

傭兵の脇腹にめり込む。


傭兵の足元が、数センチ浮き上がり、

地面に着地する瞬間…

錬次の右こぶしが傭兵の顔の輪郭を歪める。


窓から差し込む光で、錬次の表情が浮かぶ。

錬次の表情に笑顔の欠片もない。


いつも能天気に、

楽しそうに戦う錬次を見ていたので、

誠は意外で驚いていた。


傭兵の死角から追撃が錬次を襲う。

傭兵のナイフが下から錬次の腹へ…


ミシミシミシミシ…


「あ…ががががが」


傭兵が口に溜まる唾液を垂れ流す。


ナイフは数センチ手前で止まり、

ナイフを持つ手首を錬次が強く握る。

万力の様な錬次の握力に

少しずつ押しつぶされる手首の骨。


錬次が右こぶしを、傭兵の胸目掛け放り投げる。


「ぐがぁはっ」


バキッ!


傭兵の手首が下に垂れ下がり、

たどたどしく後ろに数歩後退する。

錬次が両手で傭兵の襟を掴み、

引っ張り込んだ勢いに合わせ、頭突きをかます。


傭兵は安全具のヘルメットを装着していたが、

力加減に躊躇が無い錬次の頭突きに脳震盪を起こす。

全身から力が抜け、

錬次の両手にぶら下がる。


誠「あっ」


誠が傭兵に捕まり、傭兵は錬次を睨みつける。

錬次は振り向きざまに、

両手にぶら下がる傭兵をぶん投げる。


誠「え?ちょ…」


傭兵の体重は軽く見ても

70キロ前後なのにも関わらず、

錬次は軽々と放り投げ、

傭兵は凄い勢いで誠を目掛けて飛んでくる。


傭兵は誠から手を放し、

飛んでくる傭兵を避ける。


「!!!」


黒い大きな影が傭兵を包む。

いつの間にか錬次が目の前に立っている。


傭兵は反撃しようと体勢を整えようとする。


しかし錬次の拳が間髪入れず

振り下ろされ、意識ごと持っていかれる。

錬次は歓喜もせず無言で周囲を見る。


誠「……」


錬次は誠に手を伸ばし、

誠を立ち上がらせる。


**********


父親の顔は知らず、

借金から逃げるように母親と街を離れた。


錬次は小学校の高学年に上がる前に

一馬と別れ離れになる。

一馬と離れしばらくして、

錬次の身長が大きく成長する。


男運の無い依存体質の母は、

どうしようもない男を好きになる。


男は錬次と母親に、酔っては暴力を繰り返す。


金をむしり取るクズ男…。


母親の生活力が追い付かず、

錬次は小学生の頃からバイトをする。

既に小柄な高校生ぐらいの体躯をしていたので

年齢を誤魔化す事は簡単だった。


中学に上がる頃には学校には行かず、

土木や建築現場で肉体労働に励む。


孤独を決め込んだ烏合の奴らが、

錬次に喧嘩をしかけ返り討ちにする毎日。


家に帰ると寄生虫のような男が、

偉そうに(わめ)き散らしている。

母親も暴力を振るわれた怒りを、

錬次にぶつけてくる。


そして事件は突然起こってしまう。


母親に包丁を向け、

威嚇し脅す所に、錬次が帰宅した。


劣等感の塊である

”寄生虫クズ男”が酔って包丁を振り回す。


「お…錬次…金は…ん?なんだょその眼は…気に食わねぇ…なんだ?なめてんのか?おいっ!馬鹿にしてるだろ?おい!オイッ!」


錬次は”寄生虫クズ男”を殴り倒す。


一度殴ると歯止めが効かず、

錬次は続けざまに殴り続けた。

母親が止めに入るも、

母親を突き飛ばし殴り続けた。


グサッ!


腕を刺されて錬次の手が止まる。

母親が手に包丁を持って震えていた。


母親を突き飛ばし、

仁王立ちになり睨み下ろす。


錬次は刺された事より、

錬次より”寄生虫クズ男”を守った事がショックだった。


動かない”寄生虫クズ男”に

すり寄る母親を背に、家を出た。


警察には通報される事は無かった。


事情を知る親方の家で、

世話になる事になった。


高校生の年齢に上がる頃…。


母親に刺された腕に

傷を隠す為のタトゥーを入れた。


時は過ぎ、

親方の家から独立し部屋を借りた。

溜まったお金で

一度やってみたかったゲーム機を買った。


錬次「ゾンビゲーム…」


オンラインプレイ対応FPSクラフトゲーム。


終末を迎えたゾンビの世界で、

物を作りながらゾンビを倒してまくるゲーム。


錬次「7日に一回…イベント…

よくわからんからやってみて考えよう。」


ヘッドマイクを付け

誰かが立ち上げたルームを探す…。


錬次「TENMA100(一馬)…」


TENMA100(一馬)(こんにちは。初心者の諸君…私についてくればあなたも速攻熟練者になる事間違い無し。楽しく気楽に遊びに来てください。いえ遊んで下さい。ゾンビからあなたをお守りします。)


錬次「ははっ。

なんか変な奴そうだな…コイツにしよう。」


TENMA100(一馬)「おっいらっしゃい。えっと…Razor_77…レイザーセブンティセブン…こんにちは。宜しくお願いします。初見さんですよね。」


錬次「(なんか懐かしい感じ)よっよろしく…です。」


錬次はローマ字の綴り(つづり)を間違え

ハンドルネームはレーザーセブンティセブンになった。


親方や職場では可愛がってもらい、

オンラインの世界で友人もできた。


錬次「テンちゃん何しているかな…」


錬次にとってTENMA100(一馬)との

ゾンビゲームは最高の休日の過ごし方になっていた。


________


______


____


錬次「ふぅーマコちん…行先教えて。」


誠「あっうん。あのね…」


誠は冷静な錬次を初めて目にする。


いつもは子供みたいにはしゃいでいるのに、

今目の前にいる錬次はとても頼もしく感じる。


誠「4階に行く階段は塞いであるみたいだから2階から進むしかないかな…4階に戻るのもありだけど…」

錬次「2階から行こう。」

誠「…わかった。」


錬次(マコちんは俺が守る…隼人さん…瑠奈…待ってろよすぐに追いつく。)


錬次はスレッジハンマーを手に取り、

強く握りこむ。


錬次の鉄のように固い意思が、熱を帯びる。

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