DAY64 荒廃に潜むもう一つの脅威
瑠奈たちは
ローザのギバーから小さいギバーへ移り、
今はガレッジを東から向かっている。
死の大地に近づくにつれ、
なぜか錆臭く生臭い匂いが漂ってくる。
誠「うわぁ大きいですね」
瑠奈「ほんと…」
錬次「マコちん食べ物無い?」
隼人「大きいよね。外国の大学は…」
隼人は周囲に注意を払う。
ただでさえ巨大なガレッジは、
有刺鉄線やセメントの防壁、
溶接され、固定化された鉄骨の柵など…。
電子柵やセメントのバリケードが、
あらゆる所に配置されている。
侵入導線や移動ルートを制限し、
ゾンビの侵入を徹底的に防いでいる。
隼人(まっ流石は軍事施設…
維持する人間が居ないとはいえ
要塞の様な強固な作りだね…)
瑠奈「隼人さん…どこから入りますか?」
隼人「とりあえず周囲を確認してくるよ。
とりあえず…
瑠奈ちゃんと誠さんと錬次君は待機ね。」
誠「はい。」
瑠奈「わかりました。」
錬次は手を挙げ隼人に返事をする。
隼人はとりあえず侵入経路を探す為、
ガレッジの周囲を見て回ることにした。
ガレッジは
西棟と東棟に分かれていて、
中央に大きな講堂と広場がある中央棟がある。
隼人は経験上ガレッジの
中央施設は分断されていると推測する。
隼人(東か西からかしか、
入れないようにして…あるよね。)
少し高い所によじ登り、
スナイパーライフルのスコープを覗く。
左右から上下へ、丁寧にレンズを覗き確認する。
レンズに違和感が映りこみ
西棟から少し
距離を置いた場所に車両らしき物が映る。
隼人は乗り捨てられた
廃車の可能性も考慮したが
遠目に見ても車両が
手入れされているように感じる。
隼人「(先客がいるかもね……)まいったね。」
隼人は目ぼしい
侵入ルートを見つけ瑠奈達の元に戻る。
隼人「とりあえず
1階用具倉庫の窓から侵入しよう。」
隼人は歩きながら指示をしていく。
隼人はガレッジ内の
ゾンビはそこまで増えてはいないと推測していた。
隼人「後、僕と錬次君と誠さんは
多分入れないから瑠奈ちゃんが先に侵入して
2階非常階段のドアを内側から解除して。」
アプリでロープ梯子をクラフトする。
隼人「瑠奈ちゃんこれ…」
隼人は”M360J “サクラ””を瑠奈に渡す。
ガレッジに来る前に立ち寄った
小さなギバーで購入しておいた拳銃。
日本警察向けに生産されたモデルで、
軽量で扱いやすく、瑠奈の腕力でも取り扱いやすい。
隼人「銃の撃ち方はわかるよね?」
瑠奈「はい。」
隼人「よし。ホルダーと弾薬用ポーチ…」
隼人は侵入の準備と瑠奈が
ガレッジ内で戦闘のリスクを考慮していた。
隼人「ごめん。負担かけるけど宜しく。」
瑠奈「任せてください。」
窓は背の高い場所に設置してある。
硝子の破片を丁寧に取り除き
瑠奈は横に長い窓に体を滑り込ませる。
大柄な隼人に錬次は当然ながら
中肉中背の誠は無理だろうと瑠奈は思う。
瑠奈はカビと埃の匂いにせき込む。
口元を布で覆い、
ペンライトで辺りを照らす。
まだ陽は落ちてはいないが、
東棟は既に影が落ち暗くなっている。
ドアノブを回し数センチ隙間を空ける。
隙間から覗き込み
ライトを動かし周辺を確認する。
瑠奈
ゆっくりドアを開き
靴の裏で音を潰すように歩きはじめる。
左右に大きな講義室があり
中央に廊下が伸びている。
瑠奈「これ…隼人さんの言う通りね…」
東棟の1階出入口は
溶接と鉄板で出入りは不可能になっている。
隼人は事前に2階を指定した理由の一つ。
瑠奈はゆっくり進みながら
講義室を確認していく。
死角からの攻撃を懸念して、
慎重に進むように隼人に念を押されていた。
瑠奈
2階に続く階段までたどり着き、
ゆっくり上へと昇っていく。
「がぁっがががががが」
2階に潜んでいたゾンビが
瑠奈に牙を向けてくる。
ゾンビの勢いを利用し
身を低くしゾンビを後方へ1階へ突き落す。
ゾンビの腐った足が折れ、
這いつくばるように階段をよじ登る。
瑠奈は頭蓋にククリナイフを突き刺す。
2階から、うなり声が聞こえてくる。
瑠奈は階段を駆け上がり、
階段から安定した場所まで移動する。
案の定、ゾンビが2体ほど
瑠奈に向かって近寄ってくる。
動きが鈍いゾンビは瑠奈の敵ではない。
2体のゾンビの頭蓋を割り、
しばらく耳を澄ませて周囲を警戒する。
そこに微かに反射する何かが
微かに瑠奈の視界の端に映る。
瑠奈は咄嗟に身を伏せる。
バリンッ!
ガシャンガシャン…。
瑠奈(狙撃!?…)
隼人は瑠奈にもう一つ伝えていた。
隼人(もし遠くから
狙撃されるような事があったら
身を低くしてほふく前進ね)
瑠奈はその言葉を思い出し、
非常階段まで肘を動かし体を移動させる。
鍵を回しドアを開ける。
外に出るも
ドアの覗きガラスが狙撃され割れる。
身を低くし梯子を下へ垂らす。
3人が昇って来るまで、
瑠奈は背中でドアを抑えている。
隼人「瑠奈ちゃん大丈夫?」
瑠奈「なんとか…それより」
隼人は人差し指を立て
瑠奈の話を遮る。
誠と錬次の眼を見て、
瑠奈と上に行くように促す。
隼人はその後を着いていき
4階まで上がるように指示をする。
ガレッジは
2階と4階に東西を繋ぐ廊下がある。
ガレッジ内は
バリケードは有っても封鎖はしない。
隼人「みんな戦闘の警戒だけしておいて…
人間の部隊か賊か…とにかく何かが居る。
少なくとも僕達より大人数かな…。」
日が落ち辺りが暗くなる。
4階に侵入し取りあえず
講義室に身を寄せる。
隼人「誠さんは奥のトイレで隠れていて…
瑠奈ちゃんは僕と来て…錬次君は待機していて…」
3人は静かに頷く。
瑠奈はM360J “サクラ”を手に持ち
隼人の後ろをついて動く。
人影が見える…講義室を抜け
傭兵の背後に回る。
隼人が後ろから首を絞め
傭兵の意識を飛ばす。
隼人が傭兵を講義室に引きずり込み
瑠奈がロープで手後ろに縛り
足も縛り背中で足と腕のロープを固定させる。
隼人は耳を澄ませ別の部屋の錬次に合図をする。
錬次は大きな体を低くしながら
不器用な動きで合流する。
東西を繋ぐ通路まで慎重に進む3人。
錬次の死角からの1発は
破壊力があり、傭兵も一瞬で意識を飛ばす。
通路にはドラム缶が
細かく配置されていた。
ドラム缶には燃えた跡があり、
最近まで使っていた形跡がある。
隼人「(これは…組織化した嫌なタイプの奴らだね…)錬次君…誠さんを連れてきて。ココは早く抜けるが吉だよ。」
ガレッジの空間に
不気味で暗い殺気が立ち込める。




