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DAY58 鉄管の暴力と巨体の殺意

空気が冷え込んでいき、

赤い雲がゆっくりと流れていく。


一馬の周囲には

赤い眼の汚染ネズミと巨体ゾンビが襲い掛かる。

大き目のネズミだが動きは早く、

巨体ゾンビは大きいな筋肉で力を見せつけてくる。


焼夷弾(しょういだん)”を装填した

G17(グロック)より小型なG19(グロック)に持ち替える。

巨体ゾンビの攻撃を掻い潜り(かいくぐり)

”ボウイナイフ”を脇腹に押し付け引き斬る。


背後に回り、距離を取り

焼夷弾(しょういだん)”を撃ちこむ。


めり込んだ”ホローポイント弾”は

力強い白色光と共に

火を噴き巨体ゾンビを焼き尽くす。


汚染ネズミは白色光の紫外線にあてられ、

勢いを失い、強い光に方向感覚を失っている。


一馬「熱ッ!!」

黒羽(クロウ)「チッ、あの馬鹿…近すぎる。」


一馬の服の一部が焼き焦げる。


焼夷弾(しょういだん)”の

強い白色光が出す熱は”約3000度”。


一馬は巨体ゾンビに接近し、

頭に”ボウイナイフ”を叩きこむ。


鈍足なポルータが

一馬に向かい近づいてくるが、

焼夷弾(しょういだん)”を撃ちポルボム(ポルータ爆弾)に活用する。


ポルボム(ポルータ爆弾)

周囲の汚染ネズミと

汚染ゾンビを吹き飛ばし酸で溶かし始める。


その奥で一際

威圧感がある禍々しい雰囲気を感じる。


ドクンッ


一馬の心臓が

締め付けられるように大きく音を出す。


葵「黒羽(クロウ)…アレって。」

黒羽(クロウ)「チッ…ああッブルートだな…」


一馬は今まで戦っていた

巨体ゾンビと違う事を即座に感じとった。


練次と2人で倒したヤツと同じ個体…

今まで相手にしていた巨体ゾンビと勘違いしていた。


一馬(アイツだ!アイツに間違いない…)


一馬は練次との連携を思い出す。

一馬は頭で戦いを反芻(はんすう)する…

深く息を吐き、一馬の集中力が一層高まる。


巨体ゾンビの個体名は『ブルート』

他のゾンビと違う所は、

攻撃行動が人間のソレに近い。


太く大きな筋肉に、

見た目通り…否それ以上の力がある。

更に動きが滑らかで、反応も早い。


葵「一馬…」

黒羽(クロウ)「おい…こっちも集中するぞ。

アイツ以外は寄せ付けさせない!いいな!」

葵「う、うん」


黒羽(クロウ)

周囲の群の一掃に集中する事に舵を切った。

瞬間的に一馬にブルートとの

戦いに集中させる事こそ生き残る活路だと判断した。


その瞬間、ブルートは

大きな配管パイプを片手に

一馬の方へ雄叫びを上げながら走り出す。


同時に一馬も”ボウイナイフ”を握り直し、

ブルートに向かい走りだす。


一馬がブルートの懐に入る前に、

ブルートの配管パイプが視界の隅に入る。


一馬(ヤバぃッ!!)


ブウォン…


キレのいい轟音が空気を緊張させる。

頭を下げ身を屈めて何とか躱す。


一馬は勢いを殺さず、

ブルートの懐に踏み込んでくる。


一馬(!!!

……ブルートが…傾いていく?)


黒羽(クロウ)「カズマァー!!!!」


一馬の膝が崩れ体制を崩してしまう。


反射的に体制を整え距離を取るが、

一馬の意識は朦朧としている。


一馬(あっ?えっ!?…なんだ???)


ブルートは追撃を辞めない。

一馬が距離を詰め、

脇の下から後ろへ回り込み回避する。


左目の視界が、

黒く滲んでいく。


一馬(痛ッ…視界が…

最初の一撃…(かす)っていたんだな…ヤバ)


僅かに触れた

ブルートの配管パイプで頭から血が流れてくる。


血は(ひたい)を伝い、

左目を侵食し始める。


神経が集中した眼球に、

塩分濃度が一定で濃度が高い血液。

更に固まりやすい性質が、

角膜を刺激し染みるような激痛が走る。


ブルートは振り向き様に、

配管パイプを振り抜いてくる。


一馬の脇腹に、

配管パイプが入り込む。


間一髪”ボウイナイフ”で防いで見せるも、

圧倒的な力に腕ごと押し込まれ吹き飛ばされる。


一馬「はぁはぁはぁ」


何とか体制を保ち動き回ろうとするが…。


一馬(くっ、折れた…)


一馬の肋骨にヒビが入ってしまう。

激痛とストレスで、

今迄の疲労感が波のように押し寄せてくる。


黒羽(クロウ)「葵ー”焼夷弾(しょういだん)”の残りは?」

葵「あと1発…」

黒羽(クロウ)Sucks!(最悪だ)…殺しても殺してもキリがね」


黒羽(クロウ)は一馬を視界に入れつつ、

周囲のゾンビの一掃に集中している。

最後の”焼夷弾(しょういだん)”を撃ち、

残りは通常弾で応戦する。


黒羽(クロウ)も一馬と同様、

手と肩の激痛で思うような動きが出来ていない。


ジュッ…

パチパチ、パチ…

ボンッ!!


突然、野外用UVライトが一斉(いっせい)に光を失う。


ポルータの酸性体液が、

エンジン式発電機に付着していた。

付着した体液は

少しずつ侵食していき、電気回路を切断する。


紫外線から

解放されたブルートは咆哮を上げる。


ガチャンッ!


黒羽(クロウ)「チッ、ジャムった!葵ッ」

葵「は、はいッ」


”AX338”の弾が引っかかり、

弾を撃つことが出来なかった。


”AX338”は比較的、

ジャムが起きにくいスナイパーライフルだが

条件がそろえば作動不備が起きてしまう。


黒羽(クロウ)の腕は、

怪我の激痛で力が出ない。


黒羽(クロウ)「ボルトの引きが甘かったか?

弾のマガジンへの装填が悪いのか?

原因はどちらにしても今起きるのは不味い!」


停電によるUVライトの消灯に、

弾詰まりによる戦力低下は最悪の状態。


狂乱の血死潮(クリムゾンムーン)が終わるまで、あと1時間。


**********


一馬「はぁはぁ…はぁはぁ」


一馬は現実と朦朧とした意識を、

行ったり来たりしている。

周囲のゾンビは

黒羽(クロウ)の戦力低下で押し寄せてきている。


ブルートが何か叫んでいるが、

正直一馬の耳には届いていない。

向けられる殺意に、

一馬の体が反応する。


流れ込んできたゾンビを

ブルートが邪魔だと言わんばかりに吹き飛ばす。


一馬もゾンビを交わしながら

ブルートに近寄っていく。


混戦する戦況に、

黒羽(クロウ)と葵は一層焦りを感じる。


一馬は無防備な感じで

ブルートへ近寄っていく。


黒羽(クロウ)「葵ッまだか?」

葵「もう少し…」


焼夷弾(しょういだん)”用に準備した

”モシンナガン”は5発しか装填出来ない。

連続5発の通常弾では

汚染ゾンビを一掃するには限界がある。


一馬とブルートの距離が縮まっていく…。

歩み寄る間に、一馬の感覚に変化が起る。


一馬から周りから音が消え、

空気が張り詰め色が消えていく。

ブルートが配管パイプを

真上から振り下ろしてくる。


ザシュッ…


葵「ク…黒羽(クロウ)

ねぇ、ねぇってば一馬」


ザシュッ

ドンッ

ドンドン…


黒羽(クロウ)「チッ…わかってるよ…」


ブンッ

ドンッドン……

ドンッ

ザシュッ


黒羽(クロウ)(アイツ…)


黒羽(クロウ)「Transient Hypofrontality

【トランジェント・ハイポフロンタリティ】…」


赤い月に照らされた雲はまだ途切れてはいない。

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