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DAY107 広がる野望と積もる雪

空気は一段と冷え込み、雪が窓から覗き込む。

一馬は思わず窓際に向かい、空を見上げる。


一馬(マジかよ!難易度Maxの雪エリアとか・・)


ゲームの世界で雪が降るエリアが存在する。

行動力は削がれ、体力も奪われる。


エリアならではのゾンビや敵が姿を見せる。


オリバーの全身から力が抜けている。

トーマスとオリバーは恋敵で、

アリーがトーマスと結ばれた後も、

アリーの事を思い続けていた。


世界が荒廃後も、

オリバーはウィルスの研究を続けていた。

見解の相違があったがオリバーも、

決してゾンビを増やし、

軍事利用しようとしたわけではなかった。


しかし朱華にした人体実験は、

ひいき目に見ても、畜生な行動ではあった。


隼人「あくまで僕達を保護しようとしたわけだね?」


オリバー「あ?ああ」


一馬「なんで眠らせる必要が?」


オリバーは俯き、

言葉を選びながら考え込む。


朱華は落ち着き、酒を飲む。

合流した六花が今にも噛みつきそうな表情を向ける。


オリバーは六花と目を合わせると、

寒気が全身を巡り、身震いする。


オリバー「て、敵意があったら

保護は出来ないからだ」


一馬「保護・・

殺してからだとダメと言う事?」


オリバーは何度も頷きながら、一馬を見つめる。


オリバー「俺たちは、

ギバーから離れ感染適応者を匿っている」


隼人「感染適応者・・なぜ、匿うの?」


オリバーは経緯の説明を始める。


朱華がオリバー達の実験施設に

捕らわれていた場所。

それは一馬達が目指している、

ギバーの研究施設の一部。


当時は感染適応者が、

実在するかどうかもわからない状況だった。


ゾンビの襲撃を躱し、

感染した人間を救う手段すらわからない。


しかしウィルスに強い個体は、

どの時代、どのウィルスにも存在しうる。


適応し順応する人間がいるのでは?


当時の研究施設で導き出された答え。

現在ギバーを仕切っている男は、

元軍人で|クレイドル製薬《CRADLE CORPORATION》の、

ウィルスを軍事利用しようとしていた人間の一人。


正確には計画に参加し現場指揮をしていた男。


オリバー「お、俺のやり方も、

褒められたものでないけど、

誓って軍事兵器を目的に、

研究を続けていたわけではない」


オリバーは朱華を逃がした責任を問われ、

しばらくして男の計画を知る事になる。

そして信用のおける人間と、

研究資料をもってギバーを後にする。


一馬「そのギバーはそんなに殺伐としているのか?」


オリバー「いいや、大きなギバーというだけで

そこら辺のギバーとは変わらない。表向きは・・」


一馬「表向き・・」


きな臭い話になってきたが、

トーマスが会う目的は結果達成された。


オリバーの話をどこまで

信じていいかはわからないが、

殺す気なら殺されていた。


一馬「トーマスの顔馴染みだから

命は助けてやる。代わりに・・」


オリバーは生唾を飲み込む。


一馬「お前の知っている事、全部説明しろ」


隼人「黒羽(クロウ)と六花ちゃん、

みんなの拘束を解いて」


一馬「朱華!文句ないな?」


朱華「・・・」


朱華は返事をしない。


場所を移し、オリバーとの話は続く。


ギバーを占領する男は、

この世界を統べるための兵器を探していた。

ゾンビは言う事は聞かない。

本能である食欲以外の行動は示さない。


食欲は行動のきっかけで、

食欲を満たす為では無く、

食事行動が攻撃行動になってるだけ。


死んでいるから飢えを感じる事は無い。

ただ食をするという反応と反射で動き回る。


オリバーは倒したゾンビを解剖する。


体液や体組織を分析していると、

ゾンビはタイプによって

ウィルスの型が違っていた。


生きている既存の人間の血も分析する。

血とウィルスを混ぜると侵食されるが、

侵食されないで拮抗する血を発見する。


大きく分けて3タイプある。


・感染は、しないで絶命するタイプ

・感染し、ゾンビになるタイプ

・感染は、してはいるが、ゾンビ化しないタイプ


隼人「ゾンビ化?

なんでニュアンスが違うの?」


オリバー「3つ目・・、

あいつらがもっとも欲しいタイプだから」


一馬「朱華の事だな」


オリバー「ああ、そうだ」


朱華の回復力は異常だった。

軽い切り傷なら1日ほっとけば完治する。

電気実験や焼き鏝(やきゴテ)で火傷を負っても、

数日すると完全にわからなくなる。


筋力の数値も高く、

食事を減らしても

常に筋肉の合成が行われている。


オリバーは朱華がいれば、

人類全員が

ゾンビ感染しないワクチンを作れると考えた。


さらにゾンビ化初期ならワクチンで、

人間に戻れるのではないか?とも考えた。


オリバー「でも、あいつらは

人間兵器にしか興味は無い」


隼人「人間の尊厳に興味が無い連中なんだね」


オリバー「ああ、

そして最近になって4タイプ目が誕生した」


一馬「ヨルガンド」


オリバー「そうだ!あいつら・・

ヨルガンドの登場で躍起になっている。

ヨルガンドは唯一ゾンビを統べる事ができる変異個体・・

ヨルガンドを捕まえる為には、

デルタ型のウィルスを保持している人間が必要なんだ」


隼人「なんで必要なの?」


オリバー「シンプルに感染しないからだ!」


隼人「なるほど」


感染しない事は単純だが、

人間が人間であるために必要な条件。

感染してしまえば、

人間として終わり、ヨルガンドの奴隷になる。


オリバー「とどのつまり

デルタの奪い合いが過熱して今に至っている。

あいつらの目的はヨルガンドを従え、

この世界の王になる・・そんな所だ。くだらねぇ」


一馬は隙間風に、一瞬身を震わせる。

気が付くと、地面が白く覆われている。

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