DAY105 清らかに伸びる、華と花
意識がゆっくりと起こされていく。
目を開けると、葵の姿が視界に映る。
黒羽「ここは・・・は!?」
黒羽は起き上がり警戒態勢に入る。
葵「く、黒羽?」
朱華「何だ?死んでないのか・・・」
黒羽に歩み寄りながら、
瓶の酒を口に含み笑う。
黒羽は殺気を放ち、
朱華を睨みつける。
葵「えい!」
葵は黒羽のオデコを、
軽くチョップで叩きつける。
葵は、殺気漂う空気を、天然で切り裂く。
黒羽は驚いた様子で、葵の顔を見つめる。
朱華は葵の行動を、不思議そうに眺める。
朱華「ぷっ!あはははははははははは」
朱華が豪快に笑い出す。
黒羽は驚き、朱華に視線を向ける。
朱華が黒羽の目を見つめる。
黒羽は再び朱華を睨みつける。
朱華「その娘に感謝しろ!葵?だったか・・話は明日だ。武臣!」
大柄な男が部屋に入ってきて、
パイプ椅子に座り銃を握りしめる。
朱華は武臣の肩を叩き、部屋を出ていく。
黒羽は直感で、
武臣と呼ばれる大柄の男が、手練れだと感じる。
黒羽「葵、話ってなんだ?」
葵「え?えーっと」
葵は黒羽の質問に、
少し気まずい反応を示す。
黒羽「チッ、おい!」
武臣「いいから今は黙ってろ・・」
黒羽「あっ?チッ、葵・・」
葵「へへへ、明日にわかるから。ね!」
黒羽は葵の反応に嫌な予感が走る。
強引に逃げる事は出来るが、
葵の様子をみると、そんな気は失せていく。
黒羽は不満げな顔をしながら、
寝転がり背を向ける。
葵は壁に背を付け、膝を抱える様に座り目を閉じる。
鳥のさえずりが聞こえてくる。
辺りはまだ暗く、空気が少し冷え込んでいる。
ふと横を見ると葵は寝息をたてながら、寝ている。
部屋の入り口を陣取っていた武臣は居ない。
黒羽は葵の頭を撫で立ち上がる。
警戒しながら部屋を出ると、
朱華と武臣が通路窓から外を眺めている。
朱華「起きたのか?葵は?」
黒羽「あ、ああ」
黒羽は朱華の立ち振る舞いに、目を奪われる。
モデルのように背が高く、手足が長い。
服の上からでもわかる、均整の取れた体つき。
左右対称な顔立ちに、メリハリのあるボディーライン。
外見だけでフィジカルギフテッドの塊なのがわかる。
朱華「おい、葵を起こせ!」
武臣は部屋に入り、葵を起こす。
葵は寝ぼけ眼を擦りながら、
小さく口を開け長い欠伸をする。
黒羽は葵の仕草を見ると、
毎回殺気を削がれてしまう。
黒羽「おい、あんた!話ってなんだ?」
朱華「・・・お嬢ちゃんが一緒に戦いたいんだとさ」
黒羽「はあ?」
黒羽は葵を睨みつける。
葵はバツが悪そうに顔を逸らす。
黒羽「おい!葵、誤魔化すな説明しろ」
朱華「お前は、お嬢ちゃんに感謝するべきでは?」
黒羽「ああ?」
朱華「私はあの時、
お前を殺すつもりだった。武臣に殺すように指示をした」
黒羽は朱華を睨みつける。
黒羽は朱華との戦闘で、
首と腕を決められ、頸動脈を締め上げられた。
気絶し、武臣が絶命させようとした瞬間、
葵が大声で、武臣を止めに割り込んでくる。
葵「ダメーーーーー
殺すなら私を倒してからにしてっ!」
朱華「あ?」
戦闘力など、微塵も感じさせない葵が、
怖気ることも無く、噛みつく勢いで武臣を止める。
朱華は葵の姿を見て、
狐につままれたような気分になった。
朱華は必死に男を守ろうとする葵を見て、
冷めた感情に、色がついた気がした。
葵は恐怖に鈍感なわけでは無い。
覚悟と熱い情が、葵の芯を支える。
朱華「(気に入った・・)武臣、もういい・・ほっとけ」
朱華は葵に笑いかけ、その場を離れようとした。
葵「あ、あの!」
朱華を大声で呼び止める。
葵「わ、私を・・私達を仲間にしてくれませんか?」
朱華「・・・なぜだ?」
葵「・・・・」
朱華「2度は言わん。なぜだ?」
葵「か、カッコいいからです」
朱華「・・・・なんだと?」
葵「もう高慢な黒羽を、
あっと言う間に倒しちゃうんだもん」
葵が満面の笑顔を朱華に向ける。
朱華「あっ、キュン」
葵「え?」
朱華「いや、ゴホン。
別に構わないが、男が納得するのか?」
葵は首を傾げる。
葵「んーなんだかんだ、
お願い聞いてくれるから大丈夫です。私、説得します」
黒羽は渋々、仲間になる事を了承する。
危なっかしい葵をほっとけない黒羽を、
朱華は少しだけ気の毒に思えた。
ガレッジを離れ、
朱華は初めての、狂乱の血死潮を経験する。
朱華にとってはストレス発散のイベント。
初挑戦にも関わらず、あっさり乗り越えた。
拠点になりそうな場所に、先客がいた。
先客は朱華を見るなり斬りかかってくる。
ナイフを構える姿は、なかなか堂に入っている。
身長は大きくなく、骨格は小さい。
朱華(女か・・・)
女「お前達、出ていくなら殺さない」
周囲を武装した人間が、
朱華たちを取り囲んでいる。
朱華「(銃は・・持ってはいないな)
で?お前達は?」
六花「私は六花・・・ここの仲間を守っている。去れ」
朱華は六花を見つめ、少し思考を巡らせる。
朱華「おい!提案だ。」
葵「提案?」
朱華「ああ、私とサシで勝負をして負けたらいう事を聞く。どうだ?」
朱華の直観は当たる。
周囲の仲間は戦闘に不慣れで、
六花だけが、戦闘能力が高いと直感した。
朱華「どうだ?」
朱華は両手を掲げ、ナイフから手を離す。
地面に転がるナイフを見つめ、
六花は朱華に舐められていると感じる。
六花「後悔させてやる」
六花がナイフを捨て、地面に叩きつけられる。
そのまま六花が朱華に襲い掛かる。
朱華は笑みを浮かべ、待ち構える。




