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DAY102 死が形創る世界

辺りはすっかり暗くなり、

獣の遠吠えが聞こえる気がする。


一馬達を拉致していたグループは、

ウイルス研究の第一人者「オリバー」が率いている。


幸か不幸かわからないが、

当初、目的としていた事が同時に達成された。


隼人「ここは?」


最初は倉庫だと思っていた場所だが・・。

隼人と黒羽(クロウ)が尋問をしている。

傍にトーマスも一緒に居る。


一馬は大きな建物内を見て回る。


一馬「教会?」


教会内の木材は、

燃料の為、全て解体していた。

しかし、内装を隅々観察すると、

凝った造りが、所々目に止まる。


黒羽(クロウ)「おい、ここは?」


オリバー「・・・・チッ」


トーマス「・・・オリバー、俺はお前に会いに来たんだ」


オリバーは眉間に皺を寄せ、

怪訝な顔でトーマスを睨みつける。


オリバー以外は、手足を拘束し、

目隠しと口に布を噛ませ端に寄せている。


ここで黒羽(クロウ)が、

オリバーの頬を平手で強く叩きつける。


オリバー「痛ッ!なに」


更にオリバーの頬に平手の追撃を叩きつける。

オリバーの口の中が切れ、

口元から血が溢れ始める。


トーマス「お、おい!」


隼人はトーマスに向かい指を一本立て、

トーマスの発言を抑止する。


オリバーは手足を縛られ、

膝をついた状態で黒羽(クロウ)を睨みつける。

黒羽(クロウ)の目に感情は無く、

軍用ブーツのつま先で腹部を突き上げる。


オリバー「ぐえぇぇぇ・・・ゴホッゴホッ」


苦しそうに倒れ込むオリバーの髪の毛を掴み、

黒羽(クロウ)は強引に起き上がらせる。


そしてもう一度腹部につま先を叩きつける。


オリバー「ぐあぁぁぁ」


一馬が黒羽(クロウ)の行動に気が付き、

急いで近づいてくる。


隼人は一馬を制止させ、

動向を見届ける様に合図する。


黒羽(クロウ)はもう一度、

オリバーの体を起こし、蹴り上げる動きをする。


オリバー「ま、待った!ゴホッま、待ってくれ!きょ、教会だ、住宅エリアのきょ、拠点にし、している。」


隼人「目的は?」


オリバー「も・・・・・」


黒羽(クロウ)が腹部に、

軍用ブーツのつま先を三度叩きつける。


一馬(うわあ、えっぐぅぅぅぅ)


オリバーの腹部の筋肉は、

三度の蹴りで内出血を起こしている。


筋繊維と毛細血管が破裂し、

腹筋の防弾性は失われている。


オリバー「おえええええ・・ゴホゴホ、ハァハァハァ」


黒羽(クロウ)は丁寧に、

オリバーの上体を起こし、蹴り上げる動きをする。


オリバー「ひ、ひ、被検体探しだ!ゴホッゴホッ」


隼人「被検体?何の?」


オリバー「そ、それは」


タタタタタタタ


誰かが勢いよく走ってくる足音。


隼人と黒羽(クロウ)

気配に気が付いた頃には、

オリバーに、

冷たく光るサバイバルナイフが近づく。


一馬「朱華!」


間一髪の所で、朱華の腕を掴み、

身体ごと一馬が止めに入る。


朱華「離せっ!私が殺してやる!」


一馬「落ち着け、ドウドウドウドウ・・(召喚魔法!召喚獣・・)武臣さぁぁぁぁぁん」


武臣が朱華に近づき、

朱華を羽交い絞めにしてオリバーから距離を取る。


隼人「本当に殺されるよ?・・・・あらら」


殺気に晒されたオリバーは、失禁してしまう。


オリバー「ウイルス適応者を探している。」


オリバーはアリーと同様ウイルスの研究をしている。

しかし方向性は真逆で、

アリーは治療前提で、オリバーは・・。


トーマス「て、適応・・者だと?おまっ・・」


一馬「ど、どゆこと?」


隼人「平たく言うなら”生物兵器だよ”」


一馬には適応者が、

イコール生物兵器の図が想像できない。


隼人「よくわからないよね?」


黒羽(クロウ)「一馬、お前が今まで戦ったゾンビの元は何だ?」


一馬「え?いきなりクイズかよ・・人間、だろ?」


一馬は答えた瞬間、悪寒が全身を駆け巡る。


隼人「一馬君、いままで戦ったゾンビは、少なくとも自然発生では無いという事だよ」


オリバーはバツの悪そうな表情を浮かべる。


一馬「オリバー、お前がこんな世界を?」


オリバー「ち、違う違う!超生物のじ、実験をしていたのは事実だが、この世界の惨事には直接かかわりは無い。」


黒羽(クロウ)「直接?」


オリバー「えっ?あー」


黒羽(クロウ)が四度目のつま先を叩きつける。


オリバー「ぐあああああああ」


トーマス「|クレイドル製薬《CRADLE CORPORATION》・・オリバー!クレイドルなのか?」


オリバーはトーマスを睨みつけるが、

トーマスの問いに小さく何度も頷いている。


隼人「クレイドル?」


この世界においてトーマス以外は知らない名前。

一馬達は外の世界から迷い込んだ人間だから当然である。


一馬「おい、トーマス。説明しろ」


トーマス「わ、悪い。|クレイドル製薬《CRADLE CORPORATION》昔、アリーとオリバーが働いていた場所だ。」


|クレイドル製薬《CRADLE CORPORATION》は、

製薬会社として最大手の大企業である。


市場シェアの八割を、

|クレイドル製薬《CRADLE CORPORATION》関連の製品が占めていた。


国との繋がりも根深いものがある。


表向きのイメージとは別に、

軍事プロジェクトのウイルス研究も行っていた。


オリバー「お、俺はそこの研究員だったんだよ・・・」


トーマスとアリーとオリバーは、

元々大学の同級生である。


アリーとオリバーは、

|クレイドル製薬《CRADLE CORPORATION》に就職した。


アリーとオリバーは大学内でも成績優秀で、

どちらも菌研究部門に抜擢される。


しばらくして、アリーとトーマスは結婚する。



オリバー「ゴホッ、おいアリーは?」


トーマス「・・・」


オリバー「おい!答えろっ」


トーマスの目に涙が浮かぶ。


口を真一文字に食いしばり、

強く両こぶしを握りこむ。


オリバー「くそっくそっくそっ」


隼人と黒羽(クロウ)が目を合わせ、

一馬はトーマスの肩に手を置く。


2人のすすり泣きの音が、

教会に響き溶け込んでいく。

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