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黄金極振りバーサクガール、VRMMO配信中! 〜攻撃するたび『1G』ドロップするスキルで稼いでたら最強になってた〜  作者: 或鬼ながら
ブレイクアップ・メルトダウン

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#94. 仮想の世界で夢を成す為


 各素材をインベントリに仕舞い、《古竜の巣》に戻ってきたカナメ達は設計図を開いた。

 アネモレナスの義翼に必要な素材は揃った。

 あとは作製するだけだ。


 アイテムクラフトはさほど難しいものではない。

 必要素材を設計図通りの正しい配置に並べれば完成。


「もう少しで飛べるから、待っててねレナちゃん!」


 ツバサの天真爛漫な笑顔を、アネモレナスはじっと見つめる。

 自分のために頑張ってくれる姿を目に焼きつけるかのように。

 そして、右翼を動かせるか確かめるように、静かに羽ばたく。


 アネモレナスの一連の行動は、カナメも見ていた。

 じきに空を飛べるようになるとワクワクしているようにも見えるが、その視線の先は空ではなくツバサだ。


 恐らく、飛ぼうとしている。

 自分のためじゃなく、恩人(ツバサ)を乗せるために。


「まずは義翼の骨組みからだ。《黒鉄鋼(アーテルタイト)》から配置していくぞ」

「「おおーーっ!!」」


《設計図α》を見ながら、それぞれ《黒鉄鋼(アーテルタイト)》を翼の骨格となるように地面に配置する。

 なかなか重量がありひとつを配置するのも一苦労。

 ふぅ、と一息吐いたカナメの額には汗が滲んでいた。


 さて。この段階で注意すべきは、右翼と同じ曲線かどうか。

 そして可動域に問題はないか。これを《設計図α》と睨めっこしながら注意深く修正していく。

 ここまで来てクラフト時に配置ミスで品質が落ちるなんてことがあれば、全て台無しになりかねない。

 ビブリオフィルの指示のもとカナメ達は位置調整をして、次は《魔鉱石(マナカイト)》の配置に移る。


「骨組みに《魔鉱石(マナカイト)》なんてなんに使うんや思うたら、関節部に使うんやなぁ」

「恐らく、アネモレナス本体から魔力を介し、飛行のサポートをするのだろう。言わば神経だ」

「なるほど、そう言われると翼膜に《星稀晶》を使うのも納得ね」


 骨組み素材の配置が終われば、あとは《設計図α》を押し当てるだけ。

 光が瞬き、すぐに加工された状態になる。


「おおーっ、かっちょいいー!」

「これなら飛んでる途中に折れる心配も無さそうだね」

「ね! けど真っ黒なのがなぁ……レナちゃん白いし、せっかくだからあとでペイントしてみるよ!」

「じゃ、次は羽根だね。羽根というか、翼膜だけど」


 同じ要領で羽根の作製に移る。

 アネモレナスは鱗があるように、鳥ではなくどちらかと言えば爬虫類寄りの見た目。右翼も飛膜タイプだ。

 なのになぜ《設計図β》は羽根と書いてあるのか。


 カナメは《設計図β》を見てみるが、その形状はとてもじゃないが翼と呼ぶには心もとない。

《嵐飛竜の翼膜》を骨組みに被せても、翼の半分程度にしかならない。これでは風を受けきれず、そもそも飛び上がれない。

 となれば《星稀晶》に何か秘密があるのか。


「《星稀晶》、別名《星を見る石》……特殊な魔石であり、魔力を送ることで重力を軽くする効果がある……! 《魔鉱石(マナカイト)》の魔力を《星稀晶》で受けて飛びやすくしてるのか!」


《嵐飛竜の翼膜》は足りないのではなく、半分もあれば充分に風を操り、掴むことができる。

 その名に違わず、嵐の中でも問題ない飛行性能だ。


《嵐飛竜の翼膜》と《星稀晶》を並べ、《設計図β》を押し当てる。

 すると翼膜に薄い結晶が纏い、長さが足りなかった部分は光の角度で虹色に見える美しいベールになっていた。


「骨組みも白くペイントして……っと、よし! あとは骨組みと羽根を組み合わせるだけ!」


 完成した骨組みと羽根を、交互に見つめ──五人は違和感に気付いた。

 そう、この二つの部品を合体させる方法がないのだ。


「このままくっ付けたら自動的に……ってわけじゃなさそうね……」

「で、でも必要素材はこれで全部だよ?」

「……そもそもこの設計図、それぞれアルファスとルナデルタ、別々のところにあったわよね。考えられるとしたら……」

「そもそもこの設計図は完全ではない……か。有り得る、いやそうとしか考えられんな」

「そんな!? ここまで来たのに……っ!」


『共同開発はしてたけど、その二つを持ち寄って組み合わせるまでは行かなかったのか』

『飛行実験もしてないんじゃないか?』

『出来たとしても飛べるか怪しいってマジ?』

『試作品の設計図かよ!』

『理由はまあ……アレだろうね』


「……大火の赤龍。アルファスがレヴァリオスに襲われたから、計画が頓挫したんだ……」


『理解』

『異界の龍はこんなところでも牙を剥くか』

『むしろよく残ってたな』

『どっちも燃えそうになってたの草なんだ』


 防御の魔法陣と白樹の耐火性でなんとか残った義翼設計図。

 だが、それぞれが独立したパーツだ。


「──キュウア」

「レナちゃん、ごめんね……あたし達じゃ、どうにも……」


 ツバサは肩を落とし、作りかけの義翼に視線を落とす。

 飛べないのなら、意味がない。

 空は遥か遠く、手の届かぬ場所にある。


 だが、それでも。

 カナメはこの状況で──『諦める(ギブアップ)』など認めない。


「……まだ方法はあるはずだ。ボルダーに聞いてみよう。何か知ってるかも……あと、ジークリウスの書斎ももう少し探すよ」

「了解。とりあえず近場のボルダーからかしらね」

「ふ、二人とも……なんで」


 このクエストにヒントなどない。

 それなのに、どうして諦めないのか。


「愚問だね。ここまで来てクリアできないなんて許さない。それとも、ツバサは夢を諦めるの?」

「あ、諦めたくなんてないよ!」

「だよね。それが夢だもん。私だってそう簡単に諦められない。お金は欲しいし、ゲームも楽しみたい、友達とはもっと仲良くなりたい。私の欲望は誰にも止められない」


 ヒメの隣で胸を張って歩ける自分になるまでは、走り続ける。それがカナメ、金瀬ユメの夢なのだ。


「素直に欲に従って、思いっきり楽しもうぜ」


 落胆するのは、やれることをやってから。

 まだ諦めるには早すぎる。攻略法を模索し続けるのが『ゲーマー』だ。


「ごめんカナメちゃん。あたし弱気になってたかも。飛びたいって本気で思ってるなら、諦めるべきじゃなかった」

「理由はまた、聞かせてくれる?」

「やっぱりバレてた……? 先生にも嘘が下手って言われるんだよ……」

「その先生にちょこっとネタバレ聞いちゃったけど……全部は、ツバサから聞きたいな」

「うん、必ず」


 青い瞳が力強くカナメを見据える。


「じゃあ、行こうか。第二ラウンド……!」

「俄然やる気が湧いてきたっ! 待っててレナちゃん、ひとっ走り行ってくる!」


 残り三時間を切ったタイマーを横目に、カナメ達は《妖精国ルナデルタ》へファストトラベル。

 まずは、鍛冶師ボルダーをあたってみよう。


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