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黄金極振りバーサクガール、VRMMO配信中! 〜攻撃するたび『1G』ドロップするスキルで稼いでたら最強になってた〜  作者: 或鬼ながら
ブレイクアップ・メルトダウン

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#91. 星灯りの洞窟と、カニ。


「うひゃ〜あ、すごい勢いの水飛沫だ」


 ルナデルタ周辺の豊かな森からさらにその先の渓流地帯。

 ピッケルを携えた炭鉱夫達が前にしたのは巨大な滝の裏側に隠れていた《星灯りの洞窟》だ。

 マップ上に必要素材が示されていなければ気付くことはなかったかもしれない。


 滝壺に落ちないよう慎重に崖の端を進み、洞窟内へ。


「天井が光ってる!」

「おお〜、星灯りって言うだけあるね」

「この明るさなら松明も光魔法も要らへんな」


 洞窟には星空が広がっていた。

 青い小さな星々を眺めながら、《魔鉱石(マナカイト)》と《星稀晶》を求め探索する。

 ……が、しかし。


『これは……』

『どうした?』

『画面変わらんな』


「えー、三十分経ちましたがひとつも見つけられません。それどころか帰り道が分からなりました」

「どうすんのよ、ここで立ち往生はまずいわよ?」

「一度ファストトラベルでルナデルタに帰還するという手もあるが……」


 迷路のような洞窟で入り直せば見つかるという保証はない。

 故に、ここまで来て手ぶらで戻るのは避けたい。


「ツバサ隊長、いかが致しましょう?」

「……前進あるのみ! 進めー!」

「サー、イェッサー!」


 意気揚々と探索を再開するカナメとツバサ。

 歩き疲れたコユは大盾に座りながらその様子を微笑ましく眺める。


「あの二人元気いいわね……若いっていいわ」

「君もまだ充分若い部類だと思うが」

「せやせや。ハタチなんてまだ子どもやんな! コユちゃんがそないなこと言うたらウチらなんて……」

「あの、これ配信中よ」

「……ウチ十七歳やから何言ってるかわからへん」

「私はまだ三十路ではないから一緒にしないでほしいな」

「あと一、二年で仲間入りやろ! 同じもんや!」


『もう言ってて草』

『まだお姉さん』

『守備範囲内です』

『むしろ望むところ』


 実年齢をバラしてしまったところで、五人は違和感に気付く。

 地形が既に通った道と似ているのだ。


「さっきも分かれ道だったよね……? ほら、そこの岩の形がおんなじ」

「これは……迷ってるとかそういう話じゃないようね」

「無限ループか。厄介だな」


 恐らくは正しい道を進まないと目的の《魔鉱石(マナカイト)》もしくは《星稀晶》には辿り着けない。


「こっちは急いでるのにー! もう二手に分かれちゃう!?」

「いや、モンスターがスタンバってたら戦闘が長引くかもだし、みんなで行きたい。攻略しよう」

「……そうだね、そうしよう! では作戦会議を始める!」


 議題は、正規ルートの進み方。

 必ず法則があるはずだ。


「岩の位置が方向を示してたり?」

「形は自然的だし、これはただのオブジェクトだと思うわ」

「ほんなら、まずは右へ二百歩とかやない?」

「そこまで広い空間ではないな」

「うーん……」


 首を捻って考えても、妙案浮かばず。

 星空を──いや天井を見上げたツバサは、ぼんやりと洞窟の星々を眺める。


「あれ、この天井って……星座?」

「え? どこ?」

「ほらあそこだよ! 分かれ道のとこ!」


『どこ?』

『そこだよ』

『だからどこだよ!』


 目を凝らしてみると、確かに星座のように見える。

 二本の分かれ道に、それぞれ牡羊座(アリエス)山羊座(カプリコーン)

 だが、どちらが正解の道なのか。


「正しい星座の道へ進むのなら、誕生日順でええんやない?」

「そうなると、まずは牡羊座(アリエス)だ」


 左側の道を進むと、さらに二手の分かれ道。

 星座を探すのは一苦労だが、どうやら見つけるのが得意であるらしいツバサがすぐに発見してくれたおかげで順調に進めた。

 これも日夜問わず空を眺めていたからだろうか。


「今度は三方向に!? 蠍座、射手座、蟹座! けど蟹はもう通ったから実質二手だ! せんせ、どっち!」

蠍座(スコーピオン)だな。次は射手座(サジタリウス)だ」


 こうして最後の魚座(ピスケス)の道を進み、炭鉱夫達は辿り着いた。

魔鉱石(マナカイト)》の鉱脈。

 青い光を放つ巨大な鉱石群はもはや宝石の塊だ。

 しかし、異様に空間が広々としている。

 まるで「動きやすくしておきました」と言わんばかりに。


『おっと』

『怪しい匂いがプンプンするぜ』


「これ、ボス出る?」

「出るね。これは確実に」


『戦闘準備した方がいいね』

『さて、鬼が出るか蛇が出るか』

『出るならせめて鬼がいい』


 やはりそう簡単には採掘させてもらえないようだ。

 空間の中央付近まで進んでも反応がなかったので、囮となったカナメが《魔鉱石(マナカイト)》目掛けてピッケルを振りかぶる。

 キィィン────と静かに木霊し、砕けた《魔鉱石(マナカイト)》が地面に転がった。


 グラリと地面が揺れる。

 揺れは徐々に大きくなり、洞窟中央の土が盛り上がっていく。

 何かが、這い出ようとしていた。


「……あれ、揺れが止まった?」


 カナメが拍子抜けした──瞬間。

 地面から突き出た巨大な爪が土を巻き上げた。

 紺碧の爪は、太く大きい。蟹のそれ。

 体躯は巨大だが──姿は蟹。

 しかし蠍の尾が付いており、背中の甲羅には大型弩砲(バリスタ)を背負っている。


「これはもしかして……合体してる?」

「蟹、蠍、射手の三種盛りコンボね」

「大きいな……適当な家屋であれば爪で解体できるだろう」


『閉所で戦う相手じゃねぇ』

『混ぜるな危険』

『カニとはな……』


《サジット・スコルピオキャンサー》──Lv.65。

 レベルはほぼ同等。勝てない相手じゃない。

 ならば、前進。カニ漁の開幕だ。


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