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黄金極振りバーサクガール、VRMMO配信中! 〜攻撃するたび『1G』ドロップするスキルで稼いでたら最強になってた〜  作者: 或鬼ながら
ブレイクアップ・メルトダウン

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#89. 遺されたもの


 サード・ダンジョン《旧アルファス城塞跡》

 またここに戻ってくるとは──そう思いながら、カナメは崩れた城を見上げる。

 まだ内部をじっくり探索したことはなかったが、隠し部屋など本当にあるのだろうか。

 サード攻略者も続々と増えている。


「マップ的に……この壁の向こうよね」

「うーん、入口が見当たらないな……」


 ペタペタと石壁を叩くが、隠し部屋にありがちな一部が押せたりする仕掛けはないようだ。


「反対側も見てきたけど、なんもあらへんよー」

「これは、恐らくギミックがある。この部屋を手分けして調べてみよう」


 隠し部屋に繋がっていると思われるこの場所は、書斎のようだった。

 窓から差し込む陽の光が、書斎の机を照らしていた。


「……青」


 机上には、青い羽根ペン。

 この国で青色は神聖な色だ。

 聖騎士団・団長が青い鎧を身に付けるように──。


 ──いや、まさか。

 この書斎はその騎士団長……ジークリウスの?


「ちょっと失礼しますよ〜……」


 皆が書斎の本を調べる中、カナメは机の引き出しを開けた。


「鍵と……青い花びら。やっぱり、ここはジークリウスの書斎か」

「ねーねー! この本鍵かかってるよ!」

「それだ!」


 ツバサが見つけた鍵付きの本。

 引き出しの中にあった小さな鍵と本の鍵穴は──ピッタリ一致。

 カチリと小さな音を立てた。


「……よ、読めない。リオさん、読めたりしないですか?」

「これは……魔導書だな。指で文章をなぞればいい」


 カナメは適当な一文を指でなぞる。

 すると文字がほのかに発光し、部屋の空気が渦巻いた。


『聖騎士の魔力により、《青の魔導書》の効果が発動します』

『スキル【ゴルトライザー】に効果が追加されました。1秒ごとに1Gを獲得し、クリティカルヒット時にボーナスを獲得します』


「す、スキル強化!? うわ所持金が地味に増えてってる」

「わお! あたしもあたしも! ……って反応しない! なんでぇ!」

「ここが青騎士の書斎でそれが《青の魔導書》ならば、条件があるのだろう」

「……となると、称号か」


 ──《眠れぬ騎士へ青薔薇を。》

 称号獲得により条件を満たしていたカナメのみ、《青の魔導書》でスキルの強化が可能。

 しかし、肝心の隠し部屋への行き方はないようだ。


「どこなぞっても反応せぇへんな……」

「隠し部屋とは無関係とは思えないけど……ん?」

「どないしたんカナメちゃん」

「いや、この背表紙……変な柄だなあって」


 よく見たら他の本も似たような──しかし全てバラバラの形をしている。


「これ背表紙で絵にならない?」

「ふむ、パズルか……やってみよう」


 ビブリオフィルの指示のもと、手分けして本棚に詰めていく。

 半分ほどが埋まると謎めいた柄は一つの形になっていき、絵の全体像が見えてきた。

 そうなれば完成は近い。


「よし、これでラスト!」


 最後の一冊──《青の魔導書》を嵌め込むと、本棚の奥から解錠音が木霊した。


「この絵……青騎士と、アネモレナス?」

「昔は交流があったのかしらね」


 空には白い竜。

 青騎士の視線の先には城がある。

 森を彷徨っていた騎士が白い竜に導かれ、無事国に戻ってきた。そんな絵だ。

 本棚の扉を開けると、隠されていた部屋に続く階段が下に伸びていた。


 旧アルファス城・地下室。

 わずかな光が差し込み、かろうじて部屋の全貌が見える。

 壁には魔法陣が張られていて、この部屋が崩れないよう補強しているようだ。

 けれども天井の四隅にはクモの巣が張り、書斎よりも埃っぽい。

 こんな場所に本当にあるのかと一同不安を抱いたが、マップが指し示す通り《設計図α》はあった。

 古びた木製のテーブルに広げられていたが、状態は良い。


「これで目的のものは入手したわね。本パズルに時間を取られちゃったし、早いとこ次行きましょ」

「うーん……設計図を隠す必要ってあるのかな」


 恐らくかつてのアルファスも、片翼となったアネモレナスを助けようと義翼を作ろうとしていたのだろう。

 だがそのためにこれだけの仕掛けを用意し、部屋を隠すのは納得がいかない。


「何かお宝が……っと、これは?」


 やたらと置かれた木箱を開くと、小瓶が敷き詰められてた。

 中には淡い青色の液体が入っている。

 手に取ってみると、アイテム名が表示された。


「《グロウ・ポーション》……? 光ってるようには見えないけど」


 アイテム名はあれど、アイテム説明がない。

 しかし木箱は全てポーションで、保存状態良好。

 隠し部屋にあったところを見るに、国にとって大切なものだったに違いない。

 ひとまず木箱ごとインベントリに格納し、カナメはその場をあとにした。


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