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本命の攻略対象は誰だ!?

中学校を卒業して接点がなくなったことで、陽向に一方的に片想いしていた人たちが攻略対象から外れた。

プライバシー的にはアウトだが、俺は恋愛ゲームの親友キャラなので、陽向に恋愛感情を抱いている人やそうなる可能性が高い人が攻略対象として分かってしまうのだ。今までは他学年も含めて30人かそれ以上はいた。それにしても大体1クラス分くらいの人たちが陽向に憧れてたって凄まじいな。


「今の攻略対象は......葉月だけか」


葉月は最初の印象こそ最悪だったが、月日を重ねるごとにどんどん良いやつになっていった。

自分の言動を反省してしっかりと謝罪をした時点で将来大物になるかもしれないと思ったが、本当にその通りになるかもしれない。男女関係なくたくさん友達がいるし、人望も厚い。卒業式の日に後輩たちに取り囲まれて号泣されていたからな。

そんな葉月と陽向が付き合う......正直めちゃくちゃ良いと思う。もちろん2人の意思が一番大事だが、もしお互いが想い合ったとしたら......


「最強カップルになるんじゃね......?」


陽向のちょっとだけ消極的なところを葉月が補って、時々考えなしに突っ走ってしまう癖がある葉月を陽向が補う。うん、すごく相性が良さそうだ。でも、肝心の2人に思い合っている様子は全く見受けられない。葉月は単純に恋愛に興味がなさそう。てか本人がそう言ってたし。陽向は高校が舞台の恋愛ゲームの主人公だから高校生になるまで恋愛感情を持てないように制限をかけられているのではないかと予想しているが、実際はどうなのだろう。





俺は、入学式の日にこの予想が当たっていることを知った。

栄宮高校の入学式が行われた日の夜、いつものように陽向のパラメータを確認するとあることに気付いた。


知力:90 体力:75 気力:40 外見:95 センス:70 ♡


まず気力がめちゃくちゃ下がっていることに驚愕した。今までパラメータが上昇することはあっても下がることはなかったからめちゃくちゃ心配になった。気力はおそらくメンタルの強さ的なものを表していると考えているから、陽向に何かあったんじゃないかと不安にもなった。そしてもう一つ、謎のハートマークが一番端に付くようになった。これは親友キャラとして本能的に理解できた。

これは誰かに恋愛感情を抱いている証だ。


「初めての恋をして、メンタルが揺らいでるってことか......?」


高校に入学していきなり恋をするなんて、一目惚れだろうか。それとも高校生になって恋愛感情がアンロックされたから恋をしていることに気付いたのか?

どちらにせよ相手が気になる。攻略対象である葉月なのか、これから攻略対象となる誰かなのか。明日になったらすぐに問いただしたいが、入学式の翌日に気になるやつ出来た? なんて聞くのは流石にキモすぎるからもう少し待とう、夏休み前......はちょっと俺が待てない。一ヶ月後くらいならどうだろう、たとえばゴールデンウィーク明けとか。うん、ちょうどいい。

ゴールデンウィークが明けたら聞こう。高校にもだいぶ慣れてきたけど気になる人とか出来た? とさりげなーく聞こう。大丈夫、精神年齢はアラフォーだしこのくらいいけるはず。





「......」

「おーい、陽向?」

「......え、今何か喋った?」

「あ、いやごめん、ちょっと呼んでみただけ」

「そうなんだ......別に謝らないでいいよ......」


朝の電車の時点でもう見るからに様子がおかしい。

下り方面だから空いてはいるが、座れはしなかったので2人でほとんど開かない方のドアに寄りかかっているとぼんやりした目で窓の外を見つめ出した、と思ったら俺のことをガン見しだした。これはもしかしなくても初恋のせいだよな。嘘だろ、本当に大丈夫なの?

こっそりパラメータを確認してみると、やっぱり気力は40のままだ。


「陽向? 次乗り換えだぞ」

「あ、えっ、もう? 早いね......」

「まぁすぐだからな。てか今日本当に大丈夫か?」

「大丈夫ー......」


ああ、全然ダメそう。今日はクラス写真の撮影があるのに、こんなぼーっとした状態で撮られたらせっかくのイケメンが台無しだ。

陽向は結局今日はほとんどぼーっとしていて、写真撮影のときだけ同じクラスの俺が無理矢理正気に戻してなんとか撮った。

そんな様子が1週間続いて、ずっとこのままだったらどうしよう、と焦っていると突然陽向の気力が150に上昇した。この数値を見たときは流石に自分がおかしくなってしまったと思ったが、何度パラメータを確認しても気力は150のままなので本当に気力が上昇したんだと思う。それにしても150か。今まで勝手に100が上限だと勘違いしていたから本当にびっくりした。


「じゃあ他のパラメータもまだまだ上がるのか......?」


水城陽向という存在のポテンシャルが底知れなさすぎて逆に恐ろしくなってきた。陽向に恋をされた相手は大変だな。もし陽向が持っている力の全てを向けられたら......そうなったらほとんどのヒロインは即陥落するんじゃないか?

あれ、それって恋愛ゲームとしてはつまらなくない?

まぁそんなことはどうでもいい。中学の卒業式以降女神からの干渉はないし陽向が好きなようにやればいいんだ。





そして迎えたゴールデンウィーク明け。ついに気になっている人がいるのか聞く日が来た。

名前順で後ろに座っている陽向の方に振り向いて、気になってる人とかいんのか? とフランクに聞くだけだ。大丈夫、大丈夫......


「なぁ陽向」

「なに?」


話しかけてしまった! どうしよう、めちゃくちゃ緊張する! 声が裏返ったりしないように気をつけなければ。よし、いくぞ。フランクに、軽い感じで。


「もう入学して一ヶ月くらい経つじゃん。気になるやつとか出来た?」


うおおおお、聞いてしまった!!!

高校に入ってから新しく追加された攻略対象の中に陽向の好きな人はいるだろうか。攻略対象になっていないとその人のプロフィールと好むタイプが分からないからサポートの難易度がめちゃくちゃ上がるんだけど、果たしてどうなる?


「......教えてほしい?」

「教えろよー! 俺さ、こう見えても結構情報通だから気になるやつの趣味とか好みが教えられるかも......」


そう言いかけて何も喋れなくなってしまった。

あまりにも真剣な顔で俺のことを見るから。あっけに取られている内に、今度は陽向が口を開いた。


「友樹って言ったら、どうする?」

なんとなく高校紹介

栄宮高等学校(えいみやこうとうがっこう)

陽向、友樹、葉月が通っている高校。

栄宮を代表する県内有数の進学校で、勉強だけではなく体育祭や文化祭などのイベント事にもしっかり力を入れる、メリハリのある評判の良い学校。

3人の通学時間は50分くらい。

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