5. ガチャ
ナビから電子音が鳴る。
四人はそれぞれ、自身のナビを手に取って操作する。
ナビにはメッセージが届いたことを示す通知が画面に表示されており、四人はすぐにメッセージを開いた。
メッセージの内容は先程の説明でもあったブロンズガチャチケットの交付のお知らせで、使い方などが記載されていた。
「まだ、頭の整理が追いついてないけど、とりあえずガチャを引いてみないか?」
そう賢一がみんなに提案する。
三人は頷くと、メッセージに載っている手順通りにナビを操作する。
ショップ機能のガチャの項目にタッチするとソーシャルゲームでよくある様なガチャポンが表示される。
三種類のガチャが存在するようだった。
ガチャポンにはそれぞれ、【ブロンズガチャ】【シルバーガチャ】【ゴールドガチャ】と書かれており、ブロンズガチャは10pt、シルバーガチャは50pt、ゴールドガチャは100ptという様に消費されるポイントが記載されている。
そして、ブロンズガチャの所にだけ、所持チケット:1枚と表示されていた。
「ソシャゲでよくあるガチャみたいだな」
ナビを見ながら三人に話しかける。
「試しに僕が引いてみるよ」
そういうと賢一はブロンズガチャをタップする。
画面に銅色をしたガチャポンと"タップしてね"という文字が表示され、陽気な音楽が流れ出す。
一呼吸して賢一が画面をタップした。
そうすると、ガチャポンの中のカプセルがグルグルと動き出し、しばらくして排出口から勢いよく赤色のカプセルが飛び出してきた。
画面中央にカプセルが止まると白い光を放ちながらカプセルが開いていく。
画面が切り替わるとガチャの中身が表示された。
ーーーーーー抽選結果ーーーーーー
【クロスボウ(矢10本セット)】
ランク:C
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「クロスボウか。ランクCってのが良いのか悪いのか分からないな」
ガチャの結果を見て呟く賢一。
賢一がもう一度画面をタップすると最初の三種類のガチャが表示される画面へ切り替わる。
「賢一!クロスボウ出してみてよ!」
朱里が急かすと賢一はナビを操作する。
しばらくすると
「あったあった。ガチャで引いた武器はアイテムボックスって所に収納されるみたいだ」
そういって賢一がナビの画面を三人に見せる。
アイテムボックスを開くと4×4の合計16マスが表示され、一番左上のマスにクロスボウのアイコンが表示されていた。
クロスボウのアイコンをタップすると画面にポップアップが表示される。
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"具現化しますか?"
【はい】【いいえ】
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賢一は三人の顔を一瞥すると、【はい】のボタンをタップした。
何もない空間から急にクロスボウと筒に入った10本の矢が出現する。
その光景に四人は驚きが隠せないようだった。
「本当にこれは現実か?」
諒は信じられないという表情でクロスボウを見る。
「説明であったとはいえ、間近で見るまでは半信半疑だったんだけどな…」
オーバーテクノロジーをこの身で体感したことによるワクワクと、とんでもないことに巻き込まれてしまったという不安が入り混じる。
そんな気持ちを吹き飛ばすように優人は三人に声をかける。
「次は俺が引いてみる!」
先程の賢一と同じようにブロンズガチャのガチャポンをタップする。
勢いよく出てきたカプセルは賢一と同じ赤色だった。
カプセルが開くと同時に画面が切り替わる。
ーーーーーー抽選結果ーーーーーー
【日本刀】
ランク:C
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ガチャから出てきたのは【日本刀】。ランクはCで先程の賢一と同じランクのようだ。
「俺も賢一と同じCランクだな。Cランクの武器が出やすいのかな?」
そう言いながらナビを操作して日本刀を具現化してみる。
優人の手元に鞘に入った日本刀が出現した。
日本刀を鞘から引き抜くと刃渡り70cm程の反りの入った綺麗な刀身が姿を現す。
「銃刀法も何もあったもんじゃないな」
と苦笑いを浮かべた。
そして、次は諒がガチャを引くこととなった。
ガチャポンから勢いよく出てきたカプセルは俺達と同じ赤色だった。
結果画面が表示される。
ーーーーーー抽選結果ーーーーーー
【転移石】
ランク:C
〈説明〉
転移石を持った状態で念じることで
ランダムな場所へ転移することがで
きる。また、自身と身体が触れた状
態であれば、最大2人まで転移可能。
[使用可能回数:1回]
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「なんだこれ?」
ランクは賢一と優人と同じCランクだが、二人とは違い、聞いたこともない転移石という抽選結果に困惑する諒。
「説明が書いてあるぞ。読んでみろよ」
そう優人が促すと、転移石の説明を朗読する諒。
説明を読み終えると、とんでもない能力に顔を見合わせる四人。
「もうびっくりするのに疲れたわ。要するにワープできる石ってことだな」
呆れた表情で話しながら、ナビを操作して転移石を具現化する諒。
転移石は角の取れたツルツルの丸石に見慣れない文字の様な物が印字された石だった。
「こんな石がワープねぇー…」
遠い目をしながら、転移石を何度か空中に投げてはキャッチする諒。
お前、そんな物騒なもん適当に扱って大丈夫かよ?と転移石をみかんの様に投げて遊ぶ諒を見て三人は呆れて声も出なかった。
そんな諒を放っておいて自分のナビを操作する朱里。
「最後は私ね!みんなより良いもの当てちゃうから!」
そう意気込んでガチャポンをタップする。
勢いよく排出口から飛び出したカプセルは今まで見たことない銅色のカプセルだった。
「「「おおー!」」」
思わず声が出る朱里以外の三人。
ーーーーーー抽選結果ーーーーーー
【守護の指輪】
ランク:B
〈説明〉
この指輪をつけた者が念じることで
指輪から半径2mの簡易結界を展開
することができる。
[クールタイム:24時間]
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「なにこれ!?めっちゃ当たりっぽくない!?」
テンションが上がった朱里が騒ぐ。
俺達男三人も初めてのBランクにワクワクしながら説明を読む。
「守護の指輪ってことは多分、自分を守ってくれる能力ってことだよな?でも、この簡易結界ってなんだ?」
他の三人も首を傾げる。
「クールタイムってのは一回使ったら次に使えるまでの猶予時間のことだろう」
賢一が言う。
「とりあえず使ってみたら?」
諒が転移石を放り投げながら提案する。
「でも、一回使ったら24時間使えないってことだよね?大丈夫かな?」
不安そうに答える朱里。
「僕も使ってみたほうがいいと思う。いざという時に思ってた能力と違ってたらまずいし」
賢一の言葉に納得して守護の指輪を具現化し、出現した指輪を付ける朱里。
「じゃあ、使ってみるね!」
朱里から距離を取る三人。
こうかな?こうかな?と守護の指輪の使い方が分からず、試行錯誤する朱里に声を掛けようとした瞬間。
突然指輪が発光し、朱里と三人の間に薄い膜の様な水色の結界が展開される。
「「「「おおー!」」」」
四人が同じタイミングで声を上げる。
「なんかすごいねっ!多分心の中で"守護の指輪"って唱えたら発動するみたい!」
興奮する朱里が三人に説明する。
展開された結界に近づき、恐る恐る触れる賢一。
「すごい。結界の外からは中に入ることが出来ないみたいだ。どのぐらいの強度があるんだろう?朱里、結界に攻撃してみていい?」
「うん!いいよー!」
「じゃあ、優人。その日本刀で結界を切ってみてくれ」
コクリと頷くと鞘から日本刀を引き抜き、結界の前で構える。
朱里に当たらない様に注意しながら思いっきり日本刀を振り下ろした。
バキッーー
凄まじい音とともに結界にヒビが入る。しかし、ヒビが入った結界はまだその形を維持している。
「優人、もう一回やってみてくれ」
そう賢一に指示されると俺は、再度日本刀を振り下ろした。
バキッーーパリンッーー
日本刀の攻撃に耐えられず結界が崩れ落ちる。崩れ落ちた瓦礫はそのまま跡形もなく消え去った。
簡易結界の強度は中々のものだった。この強度なら銃弾の1発や2発ぐらいなら耐えられるだろう。
「すごいね!これなら安心して使えるね!」
「さすが、Bランクってところか!よかったな朱里」
喜ぶ朱里を祝福する諒。
夢中になってガチャを引き終えた頃には時刻は既に深夜2時を回っていた。
「もう今日は遅いから早く寝たほうがいい。今後の方針は起きてから話し合おう」
そう言うと賢一は2時間交代で見張りをすることを提案し、最初の2時間は自分が見張りをすると言って、三人は賢一の言葉に甘えて就寝することとなった。




