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6. ナビゲーションシステム

--10:00--


何事もなく夜が明ける。



「おはよー!朝ご飯作ったからみんなで食べよー」


最後の2時間が見張りだった朱里がみんなが寝ている間に朝ご飯を作ってくれたようだった。

朱里の提案に四人で食卓を囲む。



「みんなよく寝れたか?」


そう賢一が話しかける。


正直熟睡できたとは言い難い。こんな状況では寝れないのも仕方ないのだが。



「正直あんまり寝れなかったけど、目を瞑ってるだけでも全然違うしね」


そう答えると他の三人も同じようだった。



「見張りの時間にいろいろナビを調べてみたんだけど、昨日のうちに食料調達しておいて正解だったね。一週間分の食料で1キルポイント必要みたいだ。しかも、アサルトライフルやらロケットランチャーなんて物騒な物までショップで買えちゃうらしい」


賢一がそう言うと自分のナビを三人に見せる。

ショップ機能を見てみると昨日二人が当たったクロスボウや日本刀に加えてアサルトライフルやスナイパーライフル、ロケットランチャーにプラスチック爆弾などありとあらゆる物が買えるようだった。



「見たところ、Bランクまでの武器やCランクまでの防具が買えるみたいだね。でも、【守護の指輪】のような特殊能力がある武器や防具は見当たらなかった」


売っているのは馴染みのある武器や防具で、とんでも能力の武器や防具はガチャで当てないといけないのだろう。



「【転移石】のような特殊な消耗品なら売ってるみたいだけどね」


ショップ機能の消耗品の項目にタッチすると昨日諒が当てた転移石の他にも銃弾やクロスボウの矢などの消耗品が並んでいる。その中には馴染みのない名称のアイテムもあり、これが賢一のいう特殊な消耗品のことだろう。



「ランクっていくつまであるんだろう?Sとかかなー?」


朝食のトーストを齧りながら朱里が言う。



「ヘルプ機能でランクについて調べてみたんだけど、SSS〜Eまでの8段階評価のようだ」


ロケットランチャーでさえBランクなのに、SSSランクなんてどんな兵器が出てくるのか想像も付かない。



「こりゃ、気軽に外に出ることもできないな」


諒が目玉焼きを頬張りながら言う。


食事を食べ進めながら今後の方針について話す四人。



「現状ではしばらくこの家に篭ってたほうがいいと思う。電気や水道もいつまで使えるか分からないけど、野宿するよりマシだしね。それに、情報がまだまだ少ないからナビについてもっと調べておきたい。幸い、食料は2〜3週間は持ちそうだしね」


賢一の提案に三人も同じ意見のようで、情報が集まるまでこの家に立て篭もり、各々が情報を集めることとなった。




--19:00--


四人で夕食を囲みながら各々が集めた情報を共有する。

情報をまとめると、ナビには様々な機能が存在していた。


電話機能にチャット機能、パーティ機能、ショップ機能、アイテムボックス機能、ランキング機能、掲示板機能、ヘルプ機能そして、拡張機能があった。


電話機能とチャット機能は友達登録がされている者同士でしか使用できない機能のようで、友達登録するためにはナビ同士が近くにないと登録できないようだった。

そのため、先程四人で友達登録をした。


パーティ機能は近くにいる最大4人までがチームを組める機能で、パーティを組むとパーティメンバー限定でチャットと通話ができるようになり、パーティメンバーの位置情報を共有することができるようだった。

早速、四人はパーティを組んだのだが、パーティを組む際に注意事項が表示される。

その内容は以下のようなものだった。


1.パーティを組んだメンバーの殺害禁止。

2.パーティ脱退後、48時間経過するまで元パーティメンバーの殺害禁止。

3.殺害した場合、ペナルティでその人も死亡する。


というものだった。


パーティ機能の本筋はパーティを組むことで安全を確保できることであり、通話機能や位置情報の共有はあくまで補助的な役割であると思った。


ランキング機能については、まだ一回目の更新が行われていないため、本日深夜0時までは使用できないようだった。


掲示板機能は誰でも自由にスレッドが建てられるようで、現在ほとんどのスレッドが離れ離れになった家族や恋人、友達などの安否を確認するためのものになっており、先程優人以外の三人は掲示板に書き込みをしていた。

他のスレッドには地域ごとの情報が書き込まれているようで、ここで殺人があっただとか、あそこは危険なので近づかないほうがいいだとか、あの建物が火事になっていただとか、そういう情報が溢れていた。


拡張機能はその項目をタップすると"あなたのナビゲーションシステムは拡張機能が開放されておりません。拡張しますか?"というポップアップが出てくる。

そして、選択肢の【はい】をタップすると"キルポイントが不足しています。拡張機能を開放するには10キルポイントが必要です"というポップアップが再度出現し、開放されるまで利用できないようだった。



四人は集めた情報にあーでもない、こーでもないと意見を交えながら夜が更けていった。




--0:00--


初めてランキングが更新された。

早速ランキングを見る四人。


ランキングには1位から100位まで順番に名前と顔写真、獲得キルポイントが表示されており、下までスクロールすると1〜100までページがあり、101位以下は次のページに進むことで確認できるようだ。また、ページ上部には検索バーがあり、名前や獲得キルポイント数を入力することで絞り込みも可能なようだった。


ランキングに目を通すと1位の人物の獲得キルポイントは89キルポイントと書かれており、すでに80人以上の人を殺したと思われる人物に恐怖を覚える。


そして、2位以下を見ていくと何十ポイントとキルポイントを獲得している人達が並んでおり、殺し合いが行われているという現実を今更ながら実感する。


ランキングを見終わった四人は昨日と同じように見張りを決めて就寝した。


それから次の日には電気などのライフラインが使えなくなったが、それでも賢一の自宅に立て篭もった。

掲示板機能を使って家族の安否を調べたり、新たな情報が無いか調べながら何事もなく過ぎていった。





ジェノサイドゲームが始まって4日目の深夜3時のことだった。


見張りをしていた俺は交代の時間になったので、次の見張りである朱里を起こす。



「おーい、起きろ朱里。交代の時間だぞ」


「う〜ん。おはよ優人。大丈夫だったー?」


「うん、何も無かったよ」


「よかった。顔洗ってくる…」


そう言って眠そうに目を擦りながら洗面所に向かう朱里。

水道は使えないが、飲料水を代用して必要最低限の生活はなんとか送れている。


戻ってきた朱里がソファに腰を掛けるのを確認して就寝しようと歩き出した時だった。



バァーンーー



何かが爆発したような音が外から聞こえた。

二人はびっくりして顔を見合わせる。そして、すぐに賢一と諒を起こしに寝室に向かった。


二人が寝室に着くと既に賢一と諒は起きており、何があった?と焦った表情で二人に尋ねる。

もちろん原因を知らない二人は分からないと首を横に振って答えたが、危険が迫っていることを直感的に理解した四人は急いでそれぞれの荷物を持って家を飛び出した。


家を出ると近くのアパートが炎上していた。

深夜3時にも関わらず、燃え上がる炎によって周囲は夕方のような明るさになっている。



助けてぇーー


誰かの叫び声が聞こえる。

四人は反射的に叫び声に向かって走り出した。


アパートの近くまで辿り着くと、遠目からアパートの階段のすぐそばで足を怪我した女性が倒れているのを発見する。


女性は四人に気が付くと這いつくばりながら必死に手を伸ばして助けを求める。

四人が助けに向かおうと走り出した時だった。



パァーンッーー



一発の銃声が鳴り響くと女性がうつ伏せに倒れた。

ピクリとも動かない。


コツッコツッと誰かが階段を降りてくる音が聞こえる。




「手間かけさせやがって!やっと死にやがった!」


「お前はバカか!?あんな死に損ないに貴重な銃弾使いやがって!」



そう言いながら、アパートの階段から二人の男が降りてくるのが見えた。

突然の出来事に体が固まる。

二人の男が階段を降りて、先程まで生きていた女性を乱暴に蹴って仰向けにする。



「チッ!何も持ってねえじゃねえか!」


女性の身体を調べて何もないことに苛立ちを表すスキンヘッドの男。



「まあ、これが手に入っただけマシだろ」


先程、女性を撃ち殺した拳銃をスキンヘッドの男から取り上げて、嬉しそうに眺めながら派手な金髪の男が答えた。

そう言うと、金髪の男は不意にこちらに目をやる。


金髪の男と目が合う優人。


蛇に睨まれた蛙のように緊張で動けない四人。





「まだ、獲物が残ってるようだぜ!」


金髪の男がニヤリと笑った。

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