67.骨の天使と魔人
更新が遅れてすみませんでした。。。
一方、本栖神社の裏側にて。冬木と須藤は熾烈な戦いを繰り広げていた。
「あはははははは!!!! どォしたんですかァ!! 私をォ!! 殺すんじゃないんですかァ!!」
「くッ!!」
(何この子!! チョー強いんですけど!! やべ、殺されるぅぅ!!)
冬木は"巨大な脊髄"を振り回し、須藤の体を徐々に削り取る。【自殺をしてはならない】肉体的制約によって「殺される為に手加減する事」が出来ない結果、冬木の戦闘能力は最大限にまで引き上げていた。
死ねない死にたがりと戦いを嫌う臆病者……どちらが優勢になるかは火を見るよりも明らかだった。
「はぁ……憂様から紹介された"死に場所"ですから多少は期待してたのに…………残念です」
動きを止め溜め息をつく、その顔には"絶望"が浮かんでいた。「こいつでは私を殺す事は出来ない」と心の底から絶望したのである。
故に、遊びはここまで。
殺せないのなら生かしておく意味が無い。
"パキッグキゲキィ"__奇妙な音が鳴らしながら十を超える巨大脊髄を背中から生み出した冬木。そして羽のように自身を包み込むその姿はさながら"骨の天使"と言えるだろう。
「死んでください」
冬木の言葉を合図に一斉に須藤に襲いかかる脊髄達。ただでさえ脊髄一本に苦戦していたのだ。当然避けられるはずもなく、須藤はあっという間に脊髄達に埋め尽くされてしまうのだった。
「はぁ……また、死ねなかった…………あら、これは」
溜め息をつく冬木の足元には先の攻撃でボロボロになったであろう須藤の白い布が落ちていた……そう、身体を貫かれ血塗れになっているはずの白い布が。
「全く……油断も隙も無いわね」
その声に冬木はゆっくりと口角を上げた。
「へぇ……生きてたんですね、お姉さん」
「まぁね。今まで手加減してたし、これぐらい余裕よ」
砂煙から現れたのは須藤……だが、その姿は幼女でもキメラでもない"青肌で高身長の女性"。
普段、須藤が戦闘用に使っているキメラフォームは遠隔操作型。強化パーツを付ける事によってパワーアップが出来る一方、本人が居なくなると動きが雑になるデメリットが存在していた。
そこで新たに開発した戦闘スタイルが今の須藤__直接操作型、通称:魔人フォーム。本人が直接肉を着て操作する事により、近接能力が大幅に強化されている。
「期待しても……良いんですよね……!!」
「……脊髄、魔具じゃなくて魔体でしょ? でも普通、内臓を全部担保にしてもそんな風にならないわよね?」
「えへへ。さっき沢山食べたので」
そう言って冬木は笑いながらお腹をさする。
第三契約とは言わば「体の一部を代償に悪魔の肉体を借りる契約」。当然代償に出来る肉体に限界がある為、須藤の言う通りその量の魔体は有り得なかった。
しかし、冬木の魔具はそれを可能にする。
モクラスの魔具は「食べた人肉を無限に保存する」、食い溜め専用の能力を持つ【無蔵の胃】だ。これだけは脅威にはならないのだが、この魔具の恐ろしい所は「食い溜めた人肉を好きなタイミングで消費出来る」事……つまり。
「……そゆこと」
"食物は血となり肉となる"。【無蔵の胃】は食い溜めた人肉を代償に魔体を無限に借りる事が出来る最悪の魔具であったのだ。
だが今更能力が分かった所で意味は無い。陰陽師達を食べきった時点で既に出番は終わったのだから。
「あはは!! さぁ、私を殺してください!! 次こそ必ず絶対に!!」
冬木は一目見て確信する、「コイツは私を殺しうる存在だ」と。頬を紅潮させ体の至る所から脊髄を生み出していく。
「あははは!! 殺せ!! 殺セ!! 殺せェェェ!!!!」
巨大な脊髄が先の倍の数で須藤に襲いかかる。でも大丈夫彼女なら避けてくれる私の期待に応えてくれる私を殺してくれるこの私をとち狂った私を壊れた人形の私を今度こそ殺してくれるすぐに殺してくれる殺しいて欲しい今この瞬間この場所が私の死に場所になるんだやっと死ぬんだやっと終わりに
「舐めんなよクソガキ」
だが、須藤は一撃も避けようとはしなかった。無論攻撃が止まっておらず、須藤の体からは血や臓物が溢れ出している。
「え……ちょ、何じ!?」
あまりにも予想と乖離した現実に呆然とする冬木…………しかし一瞬の休息も束の間、須藤が自身の顔面を思いっきり殴り飛ばす。
「決めた」
そして、須藤は倒れ込む冬木に対し"ある宣言"をする。
「貴方だけは__絶対に殺さない」
「…………あ?」
その一言に、冬木はこの戦いで初めて"殺意"を覚えた。
魔人フォームは「須藤の成長した姿」をモチーフにしています。
見た目は悪の女幹部みたいな感じです。
追記:魔人フォーム解説を載せました。後、諸事情で63、64、65話を修正させて頂きました。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。。。




