59.憂だった何か
じわじわと伸びるpv数……ありがとござます
「これが最後のピース…………使えるのですか、憂様?」
「あぁ、問題無い。起こし方は知っている」
最後のピース、それはプリン君だった。
夏休み前のKILLER討伐戦から約二ヶ月、未だにプリン君の意識は回復しておらず、今も特別治療室の中で眠っていた。見るからに身元不明のヤバい奴だが、そこは杉江が色々と手を回していたみたいだ。
「起こし方って……プリン君の体はボロボロで、しかも四肢が無いのよ? とてもじゃないけど戦えるとは」
「まぁぶっちゃけ陽動役だしな。殺意の怪物って呼ばれてんだ、ひと暴れ位すんだろ」
他に戦力になりそうなのがプリン君だけだったとは言え、このまま加えるのはいささか不安が残る。
「その事ですが......多分問題無いと思います」
だが、その不安に答えたのは意外にも冬木であった。
「何故そう言い切れる、冬木」
「はい♡ それは"魔体の四肢を借りれば良いから"です♡♡♡」
「ん? どういう事だ」
「そもそも魔体契約とは"自分の肉体を媒介に悪魔の肉体を一時的に借りる契約"です。腕を魔体にしたい時は普通は自分の腕を媒介にしますけど……別に腕以外でも問題ないんです♡」
魔体契約で媒介される自分の肉体は特に指定されていない。つまり「プリン君の胴体を媒介すれば魔体は使える」と言う倫理観を無視した考えであったのだ。しかし、今更そんな事を気にする人間はここには居ない。
「なるほど。良かったな、死ねる可能性が上がったぞ」
「ほ、本当ですか!? えへへへ、嬉しいです♡♡♡」
「それで、冬木。奴らの居場所は分かったのか?」
「えぇ。ちょうど今調べ終わったところよ」
冬木の調べ物、それは____陰陽師達の拠点。
「彼らの居場所……陰陽師の拠点は本栖神社、その地下よ」
本栖神社は本栖区に存在する唯一の神社だ。陰陽師の代表格の安倍晴明を祀る晴明神社など、陰陽師と神社には深い関係があるのだがそれはまた別の話。
御井率いる第四陰陽寮の本拠地が今、本栖神社の地下施設だという事が判明した。
「本栖神社、か」
噛み締める様に呟く憂。
数秒間の静寂が過ぎると、憂は集まった悪魔達に向かい言い放つ。
「決行は今夜。俺の人生を壊し、母さんを殺させたあいつらを____叩き潰す」
腹底から冷たくなるような重い声に冬木は興奮し、杉江はゴクリと息を飲んだ。
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憂達同盟組の陰陽寮襲撃、御井達第四陰陽寮のONE対策、表に姿を表さない者達の思想。
嵐の前の静けさか。目立った動きは無く、あっという間に空は暗闇に包まれる。
「…………」
害虫、そして柚子との戦いで瓦礫の山と化した俱鳥那高校。その上に憂は立って居た。
何故襲撃する前に母校に来たのか、それは「自分の母が何処で眠っているか分からなかった」から。未だ瓦礫に埋もれているかもしれないし、撤去され別の場所に運ばれているかもしれない。
そう、憂は自分の母が今どうなっているのか興味が無かったのである。
大事なのは"母が殺された"という事実だけ。
(母さんの心配も碌にしないで何が復讐だ。親不孝にも度が過ぎる)
自分を卑下する。が、そこに一切の罪悪感は無い。
「…………」
憂はその場に屈み、抱えていた紫苑の花束を瓦礫の前に供える。そして、目を瞑り今は亡き母に合掌をする。
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「いってらっしゃい」
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今はもう見れぬ母の微笑み。
何の前触れもなく瀬流家の幸せは終わりを迎えた。
何気ない日常を送ることはもう二度と無い。
終わりというのはいつだって突然で残酷だ____反吐が出るくらい最低に。
出来ることならあの頃に戻りたいと、憂だった何かは夜に涙を流した。
次回、陰陽寮襲撃。
おまけ
現在プリンくんは特別治療室から強引に連れ出されており、車椅子に座っています。もちろん意識はありません。
完全な捨て駒扱い…同盟組クズしか居ないな!!()
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