54.友達
文字量調整用の改稿の為短めです。。。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。。。
倶鳥那高校に入学した柚子はすぐに調査を開始した。しかし異変らしきものは特に見つからず、何も起きないまま高校二年目を迎えてしまった。
「やはり御井隊長が自分を高校に通わせたいだけではないか」と思い始めたその時、"ある噂"が学校中に広がる。
それは「瀬流憂は殺人事件の犯人」という噂。
瀬流 憂。本校の生徒にして、「世紀の猟奇的殺人」と呼ばれた古出 灯央殺人事件の関係者だ。
報道した翌日から学校中に噂が流れ始め、全校生徒が異常なまでの「瀬流 憂個人に対する憎悪」を抱いていたのである。これは異変と見て間違いないだろう。
「何故瀬流の噂なのか」、そこまでは分からないが魔眼使いに巻き込まれている可能性はかなり高い。そう判断した柚子はすぐさまコンタクトを取る事にした。
「冬木さん、可愛いよね」
「わかるわぁ……って誰!?」
「俺? 俺は柚子、廷出 柚子。よろしく‼」
これが憂とのファーストコンタクト。
怪しまれないように優しく話しかけ警戒を解く。後は最低限の接触さえ出来れば良かったのだが、それでも憂と話し続けたのは噂による同情からだろうか。
「殺人鬼が殺人鬼っていうかい? それに、心配しなくても俺は人を噂で判断しないから」
「そうか……ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」
しかし、人から感謝されるのは…………気分が良かった。
「残念だけど、冬木さん狙いは結構競争が激しいから諦めた方が良いよ」
「うるせ、女神の冬木さんに比べてお前は悪魔だな」
「はっはっは」
同年代から冗談を言われるのは…………面白かった。
その後も休み時間になる度に好みや流行りの話題など、他愛ない会話をする憂と柚子。任務以外でこんなに会話を続けたのは生まれて初めてだ。
憂と話すのは…………楽しかった。
「ねぇ、憂」
「ん、どうした?」
「友達って、どう作るんだろうね」
楽しさからか、つい自分の悩みを相談してしまった。「こんなミスは初めてだ」、そう反省する前に憂は柚子にとって予想外な答えを出す。
「友達って作ろうと思って出来るもんじゃねぇだろ」
「…………えっ」
「えって、お前」
呆れたような顔をする憂であったが、その考え方は柚子とって意外過ぎたのだ。だがそんな事、憂が知っているはずも無く、呆気に取られる自分を他所に話を続けた。
「友達なんて、偶然知り合って、適当に喋って、それでいつの間にかなってるもんだろ」
「偶、然……」
「偶然」、何故かその言葉を聞いた途端、胸にあったモヤモヤが消えてしまった。「自分の悩みはこんなにも単純な事だったのか」と腑に落ちたからだ。
「と言ってみたものの…………僕自身そんなに居ないから説得力皆無だけどな」
「じゃあ、俺達って友達なのか?」
「……そうだな。僕達は友達だ」
そう言って不器用に笑う憂。その笑いにつられるように、柚子は"本当の笑顔"を浮かべた。
~~~
「…………そうだ、憂とは偶然知り合ったんだ」
偶然の出会い......だが、その出会いが生きた人形をただの人にしてくれた。
「偶然の出会いに、俺は救われたんだ……!!」
特別でも何でもない、初めての友達との大切な思い出だった。
「だから俺は、憂を殺さないッ!!!!」
だからこそ柚子は選択する____"殺す"でも"殺さない"でもない、自分が望む"第三の選択"を。
「”憂を助ける”......それが、俺の正義だァァァァァ!!!!!!」
その言葉に呼応するかの如く、柚子の構える拳銃が鈍色に輝く。
そして、"憂を助ける"を選んだその瞳には紅に染まった覚悟が宿っていた。
感想☆ブクマは作者のモチベを上げます。
Twitter→@iu_331




